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MA矯正歯科ドクターブログ

こんにちは、エムアンドアソシエイツ矯正歯科の増岡です。
歯列矯正をお考えの方の中には、マウスピース矯正とワイヤー矯正、どちらがいいのか?と迷われる方も多いようです。
今回は、ワイヤー矯正と比較して、マウスピース矯正のメリットとデメリットについてお話します。




ワイヤー矯正のデメリットをカバーした方法「マウスピース矯正」

当院で使用しているマウスピース型矯正装置(製品名インビザライン、完成物薬機法対象外)は、2006年に日本での発売が始まって以来、15年以上が経ちました。その間に世界中でもマウスピース矯正は広がり、現在世界中で1300万人以上の患者さんに提供されてきました(2022年6月現在)。

なぜ、そんなに早いスピードで普及したのでしょうか?

それは、マウスピース矯正が、ワイヤー矯正のデメリットをカバーしている方法だからです。
ワイヤー矯正は、歯の表面又は裏面にブラケットという矯正器具をつけて、ワイヤーを通して、歯を矯正していく方法で、歯並びのさまざまな症状を改善できます。

しかし、以下のようなデメリットから、いざ始めると躊躇される方もいらっしゃいます。

【ワイヤー矯正のデメリット】
 ●    矯正装置が目立つ
 ●    口内を傷つけやすい
 ●    歯磨きがしづらく、虫歯や歯周病のリスクが高くなる
 ●    違和感や痛みが出やすい
 ●    固いものや粘着性の高いものを食べると外れやすい
 ●    歯科医によって技術力が影響されやすい

インビザラインの創始者、ジア・チシュティー氏も、ワイヤー矯正の経験者であり、上記のデメリットからマウスピース型矯正器具「インビザライン」を開発しました。
次の章では、インビザラインの例にして、マウスピース矯正のメリットをご紹介します。

マウスピース矯正のメリット


マウスピース矯正のメリットは以下のものがあります。

 ●    目立たない
 ●    口内を傷つけにくい
 ●    取り外せるので、歯磨きができ、歯の環境を清潔に整えやすい
 ●    ワイヤー矯正に比べ、違和感や痛みを感じにくい
 ●    固いものや粘着性の高いものを食べると外れやすい
 ●    飲食中は取り外せるので、ワイヤーのように矯正器具が外れることはない
 ●    ワイヤーに比べ、通院頻度が少なくてすむ(ワイヤー:2週間~1月ごと、マウスピース:1~2か月ごと)
 ●    金属アレルギーのリスクがない

インビザラインは透明なポリウレタン製で、ワイヤーよりも目立たず、ソフトな感触です。最近は目立たないワイヤー矯正として、裏側(舌側)矯正やホワイトワイヤーがありますが、いずれも金属製ですので、金属アレルギーのある方には不向きです。
また、口当たりもワイヤーほどは硬くなく、痛みや違和感が出づらいという点も魅力です。

1日20時間という装着時間を守れば、食事中や歯磨きの場合など、取り外しも可能です。ワイヤーですと、なかなか歯ブラシが上手にできずに、虫歯や歯周病リスクも高まります。その点、インビザラインは取り外しをして歯磨きができるので、口内環境をきれいに保つことができます。

マウスピース矯正のデメリット

一方で、ワイヤー矯正と比べ、マウスピース矯正のデメリット としては以下のようなことが挙げられます。

  • ● 取り外しが可能なので自己管理が求められる
  • ● 紛失の可能性がある
  • ● 装着時間が短いと歯が動かないため使用状況が悪いと治療期間が長くなる
  • ● 適応できない症例もある
  • ● 新しい治療法のため治療結果の長期安定性についてはワイヤー矯正よりも不明確である
  • ● 医療機器法対象外の医療用具であり、医薬品副作用被害救済制度の対象外である
  • マウスピース矯正は、自分で取り外すことができるので、装着時間をしっかりと自分で管理することが必要です。1日20時間という装着時間が守られない場合には、目標通りに歯が動かないため、治療期間が長くなる場合もあります。
  • また、重度の受け口や出っ歯など、マウスピース矯正では対応できないものもあります。医療機器法対象外となっており、顎関節症などの指定症例以外は保険は効きません。ただし、医療控除の対象になる場合もあり、当院では無料でお手伝いをさせていただいております。

マウスピース矯正の取り扱い医院が乱立することによるデメリットも

これ以外に現状でマウスピース矯正を検討される場合のデメリットとして、

取り扱い医院が急速に増えていて違いが分かりにくい(どうやって選べばよいかわからない)

ことが挙げられると思います。


従来型のワイヤーを使った矯正法は細かな調整が必要で、ブラケットと呼ばれる金具を歯の正しい位置に設置しないと歯並びがまっすぐになりません。またワイヤーを曲げる技術が正確ではないとうまくかみ合わせを整えることはできません。そのため矯正歯科を勉強するには歯科医師になった後に、少なくとも5年程度の年月が必要でした。

それがマウスピース型矯正装置(製品名インビザライン完成物薬機法対象外)の登場により、誰でも簡単に矯正治療を始めることができるようになったと錯覚されてしまいました。


マウスピース矯正装置での歯の移動方法はワイヤー矯正とは違います。ワイヤー矯正よりも得意な歯の移動方法もあれば、不得意な移動方法もあります。

医院選びに迷ったときの1つの判断基準として、日本歯科矯正専門医認定機構(JBO)や日本矯正歯科学会(JOS)、日本成人矯正歯科学会(JAAO)の認定医や専門医、指導医などの資格を持っているかどうかがあります。
例えば、当院の場合ですと、日本矯正歯科学会 認定医と指導医の資格を持った矯正医が多数在籍しておりますが、その資格をとるのに、以下の条件があります。

【日本矯正歯科学会 認定医の条件】
●    学会指定研修機関にいて、5 年以上、矯正歯科臨床研修経験を持つ者
●    学会の認めた刊行物に矯正歯科臨床に関連する論文を発表した者 など

【日本矯正歯科学会 指導医の条件】
●    認定医であること
●    12 年以上の学会会員であるとともに、矯正歯科の臨床、教育、研究に専従している者
●    申請時点において基本研修機関に常勤する者。
●    大学の附属病院で主に矯正歯科治療を行なう診療科において、矯正歯科臨床に関し3 年以上の教育歴および相当の研究業績を有する者

資格認定には、厳しい審査があるため、一定レベルの技術と経験が求められます。
他に「専門医」という資格がありますが、その歯科医院にこれらの資格のある医師がいるかどうかも、医院選びの判断基準となります。
矯正医院を選ぶ際は、このような資格とともに、医院の実績や評判、事前に初診カウンセリングで丁寧に説明してくれるか、また医師の相性等も加味して、総合的に判断するのがおすすめです。

マウスピース矯正とワイヤー矯正、どちらがいいのか?


現在、技術的にも製品的にもマウスピース型矯正装置での矯正治療は、従来のワイヤー矯正と比較しても遜色のない結果が得られます。

もし、マウスピース矯正の歯科医院選びでお困りでしたら、ご自分と同じようなかみ合わせの方が実際にどのように治っていくのか?などについてお聞きされると良いかもしれません。

みなさんのマウスピース矯正治療が快適に進みますように。

関連記事:マウスピース矯正の特徴と注意点(コラム)