ズレたらどうする?インビザライン その1
こんにちは、エムアンドアソシエイツ矯正歯科の増岡です。
マウスピース 型矯正装置(製品名インビザライン:薬機法対象外)による矯正治療では、クリンチェックを元に作製された マウスピース と実際の歯の移動との間にどうしてもズレが生じてしまうことがあります。
マウスピース矯正における クリンチェック の重要性
今回はズレが起きる原因についてのお話です。
よく私はセミナーなどで、『インビザライン治療は減点法』であるとお話ししております。
インビザライン治療では治療が始まる前にクリンチェックと呼ばれるシミュレーションを作成し、これを元にマウスピースが作製されます。クリンチェックで設定された治療ゴールを100%とすると、完全にシミュレーション通りに進んで初めて100%の治療結果に到達することができます。
しかし、多くの場合、様々な原因でマウスピースと実際の歯の移動との間にズレが生じてしまいます。
なぜズレが生じるのか
ズレが起きる原因としては
- 使用時間が短い
- 取り外しの回数が多い
- 歯の形からズレが生じやすい
- 移動量が多い。
- 難しい移動を行っている。
などが挙げられます。
・使用時間が短い
これはマウスピース矯正においては致命的です。決められた時間マウスピースを装着していただき予定の位置に歯が移動した上で次のマウスピースに進む必要がありますから、使用時間が短く予定された歯の移動が完了していない状態で新しいマウスピースを装着しても効果は期待できません。
・取り外しの回数が多い
1日に何回も取り外しを行うと少ない取り外し回数の場合よりもマウスピースの変形が起きやすいです。また取り外しの際には歯に多少なりとも引っ張られる力がかかりますので余計な負荷がかかる可能性もあります。取り外し回数は少ない方望ましいと思います。
・歯の形からズレが生じやすい
マウスピースタイプの矯正装置は歯の表面全体をマウスピースで覆います。そのため歯の形が大きくて凹凸がはっきりした形の歯ほどしっかりと覆うことができるためズレが生じにくいです。歯の形による不利を補うため、歯が小さく凹凸があまりない形の患者さんではアタッチメントが多くなる傾向があります。
・移動量が多い
矯正治療による歯の移動量が多いほどマウスピースの枚数も増えていきます。マウスピースの数が多ければ少しずつのズレが積み重なっていくことで、毎日頑張って使用していてもある時点で目に見るほどのズレとなって現れることもあります。
・難しい移動を行っている
マウスピースが不得意とするような移動でも歯並びを治す上で必要であれば行っていきます。移動量が多い場合にも当てはまることですが、このように治療を開始する前から難しい移動を行うことが分かっている場合、当院ではクリンチェックを確認していただく際に、この部分はズレが生じやすいですとか、この部分は移動に時間がかかりますなど、事前に細かくご説明をさせていただいております。
マウスピース矯正のデメリット について
マウスピースと歯のズレは1mm程度の量になりませんと、なかなか目で見て判断できません。しかし、一方でズレが多くなりすぎると元通りにするまでに多くの時間を要してしまいます。
また、ズレが起きにくいようするために歯に設置するアタッチメントも、一度ズレが出始めると逆にズレを大きくしてしまう原因になってしまいます。
当院では基本的に2か月に一度の通院頻度で、もしズレが生じた場合にもズレが大きくなる前に対処するように定期的にチェックを行っております。
それでもズレが出てしまった場合、どのように対処するのでしょうか?
ズレたらどうする?インビザライン その2