インビザラインの効果はいつから実感できる?矯正治療を成功させるには?
- 公開日:2022/12/08
- 監修者:増岡尚哉
- 更新日:2025/12/02
1999年にアメリカのアライン・テクノロジー社で販売が開始されたマウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置(製品名インビザライン 完成物薬機法対象外)。ワイヤー矯正に比べて、比較的新しい治療方法なので、本当に効果があるのか不安に思う方もいるのではないでしょうか。
しかし、この治療方法はワイヤーと比べて目立ちにくく、取り外しも可能なことから、2024年9月現在、これまでに世界100カ国以上、1800万人以上(同社調べ)に使用されてきました。
今回はそんなマウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置(製品名インビザライン 完成物薬機法対象外)治療の仕組みや、効果が実感できるタイミング、治療を成功させるコツについてご説明します。
【目次】
1.インビザラインの効果は早ければ2カ月で実感する人も
1-1 クリンチェックで効果を視覚的に実感
1-2 インビザラインの特徴と効果
1-3 インビザラインで歯が動く仕組み
2.インビザラインの矯正治療を成功させるための4つのポイント
2-1 医師の指示を守る
2-2 1日22時間以上装着する
2-3 器具の装着に慣れる
2-4 通院頻度を守る
3.インビザラインの効果が実感できない場合
3-1 ①動いている実感がわかない
3-2 ②思ったような改善がされていない
3-3 ③かみ合わせが悪化した
4.よくある質問(Q&A)
5.当院ではセカンドオピニオンにも対応しております。
インビザラインの効果は早ければ2カ月で実感する人も
マウスピース型矯正装置(インビザライン・薬機法対象外)でも、ワイヤーによるブラケット矯正でも、長期にわたる治療が必要なため、効果がいつから実感できるのか気にする方も多いようです。
マウスピース型矯正装置(インビザライン・薬機法対象外)による治療では、歯の移動に合わせて作られた複数のマウスピースを定期的に交換していきます。一つひとつ、若干、形が異なるため、マウスピースを取り替えるごとに、歯が移動していることを実感できるでしょう。
歯列矯正によって歯が動く距離は、1ヵ月でわずか0.5mmほどといわれています。そのため、例えば「歯と歯の間に隙間があったのが埋まってきた」というような、目に見える変化を感じられるまでの期間には個人差がありますが、早い患者さんだと「2カ月で効果を感じた」という患者さんもいらっしゃいます。
なかなか変化を実感できなくても、治療前と後の歯並び画像を見比べることで、明らかに改善を感じることができるでしょう。
クリンチェックで効果を視覚的に実感
インビザラインの大きな特徴は、治療開始前に「クリンチェック」という3Dシミュレーションで歯の動きを確認できることです。
「まだ歯が動いている実感がない…」という時でも、シミュレーション画像と現在の歯並びを見比べることで、治療の進行度を視覚的に確認できます。これは従来のワイヤー矯正にはない大きなメリットです。
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インビザラインの特徴と効果
歯列矯正というと、歯に銀色の金具を取り付ける「ブラケット(ワイヤー)矯正」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
ブラケット矯正は口を開けた時に目立ちやすく気にされる方も多くいらっしゃいますが、透明なマウスピースを使用した矯正治療では、治療中の見た目や装置の使用感などに違いがあります。
マウスピース型矯正装置(インビザライン・薬機法対象外)では、以下のようなメリットが挙げられます。
- 透明で目立ちにくい
- 食事や歯磨きの際に取り外し可能
- 金属ではなくプラスチック製で、口内を傷つけにくい
- 痛みが少なく快適
このような多くのメリットがあります。
一方で「本当に効果があるのか」と不安に思う方もいますが、インビザラインは適切な力(1枚あたり0.25mm)をコントロールして歯を動かす設計のため、無理のない効果が期待できます。
インビザラインで歯が動く仕組み
そもそも、マウスピースによってなぜ歯が動くのか気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
人間の歯は、それぞれが歯槽骨という骨で支えられていて、歯と歯槽骨の間には「歯根膜」という繊維が存在します。通常、歯根膜は一定の間隔を保っているのですが、マウスピースによって歯に力が加えられると歯槽骨の中で歯が動き、それに合わせるように歯根膜も引っ張られます。
歯根膜は、このバランスが崩れた状態を修正しようと細胞の力を借ります。歯と歯根膜の間隔が窮屈になった側には骨を溶かして隙間を作り、間隔が広がった側には、骨を作って間隔を埋める…こうして歯は移動したまま、歯と歯根膜の距離も元通りになります。矯正治療では、骨を溶かしたり作ったりする、私たちの体に備わっている仕組みを利用して歯を移動させるのです。
しかしながら、歯にかける力は強ければいいというわけではなく適切な力があります。マウスピース型矯正装置(インビザライン・薬機法対象外)では、マウスピース1枚あたり0.25mmというわずかな移動量で設計していくことで、力をかけすぎたり力が弱くなりすぎたりすることがありません。常に適切な力をコントロールすることができるのがインビザラインの強みの一つです。
また事前にシミュレーションを行って治療を進められるため、後から無駄な微調整を行う必要がありません。これにより、ワイヤーとマウスピースで感じる痛みや違和感が違うのにも関わらず、トータルの治療期間はほとんど変わりません。症例によってはマウスピースの方が早くなる場合もあるほどです。
目標となる歯の位置まで、回り道をせずに歯を動かしていけるのも、この治療方法の大きなメリットの一つではないでしょうか。
インビザラインの矯正治療を成功させるための4つのポイント
1.医師の指示を守る
マウスピース型矯正装置(インビザライン・薬機法対象外)の大きな特徴の一つとして、患者様自身で矯正装置(マウスピース)を管理することがあります。そのため、患者様ご本人がきちんと医師の指示を守ることも、治療成功の秘訣となります。
2.1日22時間以上装着する
マウスピース型矯正装置(インビザライン・薬機法対象外)は、担当医の指示のもと、自宅で定期的にマウスピースを交換します。ただ交換するだけでなく、装着時間も重要です。
マウスピース型矯正装置(インビザライン・薬機法対象外)が推奨する装着時間は1日22時間以上。この装着時間を守らないと、歯を動かすのに必要な力がかかりません。
マウスピース型矯正装置(インビザライン・薬機法対象外)は、患者様ご自身で自由に取り外しが可能ですが、食事や歯磨きの際に外したまま放置してしまうと、決められた装着時間を下回ってしまうことがあります。
装着時間が短くなると、マウスピース型矯正装置(インビザライン・薬機法対象外)治療の効果に影響するだけでなく、マウスピースの形と実際の歯並びが一致しなくなる原因にもなります。外す時間は最小限にしていただくのが、治療成功のポイントだといえるでしょう。
3.器具の装着に慣れる
もう一つのポイントは、マウスピースの装着に慣れていただく必要があるということです。
マウスピースを指ではめた後、よりフィット感を高めるために、「チューイー」というチューブを噛んでいただく場合があります。装着時にアライナーチューイーを使用した場合と使用しなかった場合ではわずかな差が生まれ、そのわずかな差が積み重なると、最終的な治療の結果を左右する可能性がありますので、担当医の指示に従っていただく必要があります。
4.通院頻度を守る
これはどんな矯正治療にもいえることですが、通院頻度を守り、経過を確認しながら治療することが大切です。とはいえ、マウスピース型矯正装置(インビザライン・薬機法対象外)は数か月に1度程度の通院回数ですみ、負担が少ないのも嬉しいところです。
インビザラインの効果が実感できない場合
①動いている実感がわかない
歯の移動は非常にゆるやかなので、短期間では変化がわかりにくいことがあります。そんな時は治療前の写真と現在を比べるか、クリンチェックで確認しましょう。
②思ったような改善がされていない
装着時間が不足していると、想定通りに歯が動かないことがあります。1日22時間以上の装着を徹底しましょう。
③かみ合わせが悪化した
まれに治療計画に無理があり、かみ合わせが悪くなることもあります。その場合は担当医に再度確認し、必要であればセカンドオピニオンを検討してください。
よくある質問(Q&A)
Q1. インビザラインは本当に効果がありますか?
A. 世界で1800万人以上が治療を受けており、多くの症例で効果が実証されています。
Q2. どのくらいで効果を実感できますか?
A. 早い人で2カ月ほど。一般的には半年〜1年で変化を感じやすくなります。
Q3. 効果が感じられなかったらどうすれば?
A. 装着時間不足や治療計画に原因がある場合があります。まずは担当医に相談し、必要に応じてセカンドオピニオンを受けましょう。
Q4. 見た目以外の効果はありますか?
A. 噛み合わせ改善による咀嚼効率の向上、虫歯や歯周病の予防にもつながります。
当院ではセカンドオピニオンにも対応しております。
インビザラインは、早ければ2カ月で効果を実感でき、クリンチェックで治療の進行を確認できる点が大きな強みです。
ただし、成功のためには「医師の指示・装着時間・通院頻度」を守ることが欠かせません。万一効果を感じられない場合も、原因を明確にし、必要であればセカンドオピニオンを受けることで改善の道が開けます。
インビザラインについて不安や疑問がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

監修者:増岡尚哉
歯科医師・歯学博士(D.D.S. , Ph.D.)|マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置(製品名インビザライン 完成物薬機法対象外)の講師として歯科医師向けに講義・講演活動をしています。
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