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歯列矯正の基礎知識コラム

大人になってから、歯並びが気になり始めたことはありませんか?もしかすると、毎日欠かさず動かすお口だからこそ、歯並びが変化してきているのかもしれません。

実は、大人になって歯並びが変化することはよくあります。できれば、歯並びはキレイなままがいいですよね。歯並びの変化は、予防することも可能です。今回は、「加齢により下の歯並びが悪化する原因」、「悪くなった歯並びを放置するリスク」、「悪くなった歯並びを改善する方法」などについてお伝えします。

【目次】
1.加齢により下の歯並びが悪化する原因について
2.悪くなった歯並びを放置するリスクとは?
3.悪くなった下の歯並びを改善する方法
4.大人になって悪化した歯並び、インビザラインで治療可能です

加齢により下の歯並びが悪化する原因について

大人になってからも、日々の習慣や加齢に伴って、歯並びは変わることがあります。それは、小さな力であっても毎日継続してかかることにより、筋肉や骨などに影響を与えることで歯並びが変化します。どのようなことが歯並びを変化させる要因となるのか、具体的な例を5つご紹介します。

1.口周りの癖による影響

何気ない癖でも、日常的に行っていると歯や顎骨に継続的に力がかかり、そのことによって顎骨の変形や歯並びが悪くなる原因になることがあります。その原因となる「癖」について具体的にご説明します。

頬杖をつく癖

頬杖をつく状態は、顎骨を手に乗せている状態になります。そのため、頭の重みや手の圧が顎骨にかかり顎骨の歪みに繋がることがあります。

うつぶせ寝、横向き寝

うつぶせ寝や横向き寝が習慣化していると、頭の重みやまくらが顎骨へ圧をかける原因となり、顎骨の歪みや歯並びが悪くなる原因となることがあります。正しい寝る姿勢は「仰向け寝」です。寝る時は「仰向け寝」を心がけましょう。

爪を噛む癖

爪は硬いです。その爪を噛むことは、歯に大きな力が加わります。爪噛みが習慣化していると、その力が継続的にかかり、歯が傾いたり、捻れたような向きになってしまうことがあります。そうすると咬み合わせも悪くなることがあります。その他にも、爪を噛む衝撃で歯が欠けたり、削れてくることもあります。

唇を噛む癖

特に、下唇を噛む癖のある方が多いですが、その癖も歯並びに影響します。下唇を噛んだ状態だと、上前歯が前方に押されるような力が加わりやすくなります。そうすると、上前歯が前方に傾き出っ歯のようになることがあります。

歯ぎしり、食いしばり

ギリギリと歯を擦りあわせる「歯ぎしり」や、グッと歯に力をいれる「食いしばり」は、歯に大きな力がかかります。その影響で、通常より早く歯がすり減りやすくなります。そうすると、歯の形や大きさが変わったり、歯の位置が動いたりすることで、歯並びが悪くなることがあります。

2.親知らずの生え方による影響

永久歯の中で親知らずは、1番最後に、そして1番奥に生えます。そのため、生えるスペースが確保されにくく、斜めや真横、あるいは埋まったまま生えてこないことがあります。このような親知らずが隣の歯を圧迫してしまうことで、デコボコした歯並びになることがあります。

3.歯周病による骨量の減少

歯周病の初期症状は歯茎の腫れ(歯肉炎)で、進行すると歯と歯茎の間にある歯周ポケットで細菌が増殖し、内部にある歯を支えている骨(歯槽骨)にまで拡がります。そうすると、骨が溶かされ骨量が減ることで歯を支えにくくなり、グラついたり、歯が抜けることもあります。そのような状態になると、歯と歯の間に隙間ができたり、うまく咬めなくなることで、咬み合わせや歯並びが悪くなることがあります。

4.口周りの筋肉が弱くなる

口周りの筋肉が弱まると、歯並びにも影響します。
舌の正しい位置は、上前歯の裏側にあるスポットに舌の先があたり、舌全体が上顎に吸着している状態です。舌の筋肉が弱まると、舌が下がりやすくなります。下がった舌により、下の前歯が押され外側に傾いてしまうことがあります。

また、歯は唇と舌の間にあるため、歯が並ぶ位置は、舌と唇の押し合う力のバランスで維持されています。ただし、日常的に口が開いていたりして、唇の筋肉が弱まると、下の前歯が外側に傾くこともあります。逆に、舌の筋肉が弱いと舌の前歯が内側に傾くことがあります。

このような口周りの筋肉の弱まりは加齢が原因となることもあります。筋肉の弱まりを予防するためには、お口や舌の体操などを習慣的に行うと効果的です。

5.欠損した歯をそのままにしている

歯の状態が悪くなり抜歯を行う、あるいは転倒などで歯が抜けた場合、そのままにしておくと歯並びにも悪影響を及ぼします。

歯は隣り合う歯や噛み合う歯があることで、その位置を保っています。しかし、歯が欠損すると、隣の歯が倒れてきて傾いた状態になったり(傾斜)、噛み合う歯がないと歯が歯茎から出て伸びたような状態になります(挺出)。
このような状態になってしまうと、歯並びが悪くなることはもちろん、新しく人工歯を補う治療も難しくなることもあります。
歯が欠損した場合は、早めに歯科医院でみてもらいましょう。

悪くなった歯並びを放置するリスクとは?

歯周病や虫歯のリスクが高まる

歯はアーチ状に並びますが、そのアーチが綺麗だと、歯ブラシが歯に当たりやすく、綺麗に磨くことができます。しかし、歯並びが悪く、歯と歯が重なっていたり、歯が傾いていたりすると、歯磨きしても磨き残しが残りやすいです。その磨き残しが虫歯や歯周病の原因となります。特に歯周病は進行しても、痛みが出にくく気付いた時には重症化しているということもあります。そのため、歯並びを改善して、お口をケアしやすい状態にしておくことは、歯の寿命を延ばすことにも繋がります。

消化器官にも影響を及ぼす

食べ物の消化は、お口から始まります。口の中で分泌される唾液の中にも消化酵素(アミラーゼ)が含まれています。しっかりと噛むことで、食べ物がすり潰されるとともに、唾液の分泌が多くなることで酵素も働き、食べ物が消化されやすくなるのです。

歯並びは噛み合わせにも関係し、噛み合わせは食べ物を噛む力、「咀嚼力」にも大きく関係します。下の歯並びが悪いと、正常に噛み合っていない歯もあることで咀嚼が不十分になることもあります。食べ物の咀嚼がうまくできていないまま、胃や腸などの消化器官へ運ばれてしまうと、消化器官への負担となり、胃もたれや便秘など体の不調に繋がることもあります。

顎関節症に繋がることもある

頭部の骨(側頭骨)と下顎の骨を繋ぐ部分には、骨と骨が動く際に起こる衝撃を受け止める関節円板という軟らかい組織が存在します。これらを総称して顎関節といいます。顎関節は耳の穴の手前くらいに位置しています。

口を開けたり閉じたりする動きや、食べ物を噛む動き(咀嚼)など顎の動きは全て顎関節が関係しています。そのため、噛み合わせのバランスが悪いと、顎関節に継続的に必要以上の力がかかることで将来的に顎関節症になることもあります。

顎関節症になると、口を開けるたびに関節からポキポキ音が聞こえたり、痛みを感じることもあります。また、口が開けづらくなることもあります。

下の歯並びの悪化は上の歯並びにも影響する

実は、大人になってからも歯並びは少しずつ変化しています。それは、長年にわたり毎日、食事や会話などでお口を動かしていると、歯の咬耗や筋肉、骨格の変化が起こるからです。

そのため、下の歯並びが悪いと、噛み合う位置も変化してきます。その状態が長期にわたって続くと、上の歯並びが悪くなってきます。このように、わずかな変化でも、小さな力が毎日継続してかかることで、歯並びは変化することがあります。

口元にコンプレックスを感じてしまう

歯がガタガタだと見た目にコンプレックスを感じる方もいらっしゃるかもしれません。中には、口元を人に見られるのが気になってしまい、会話する時に手で口元を隠したり、笑い方がぎこちなくなってしまう方もいらっしゃいます。コンプレックスを感じていると、自分に自信を持てなかったり、ネガティブな感情を抱いたりして、人間関係にも影響することがあります。
歯並びや咬み合わせが整っていることは、自分に自信が持てたり、お口の健康を保ちやすくなったり、見た目や体の機能にとってプラスの面が多いです。

出っ歯になってしまう原因は、大きく分けて2種類あります。

1つ目は先天的なもの(遺伝的要素)で、生まれ持った骨格に起因します。
上あごが大きすぎたり、逆に下あごが小さすぎたりすると、上の前歯が前に出ているように見えます。先天的な出っ歯は、歯列矯正をしなければ改善されません。また、症状が重度の場合はあごの骨を削る外科手術を伴う場合もあります。

2つ目は後天的なもので、無意識に行っている癖や習慣が原因となるものです。
実は、出っ歯の原因の7割は後天的なものと言われています。ここで言う癖や習慣とは、赤ちゃんのときの指しゃぶりや、爪を噛む癖などが挙げられます。このような癖のある子供は成長過程で出っ歯になってしまう可能性があります。お子さんにこのような症状を見つけたときには、癖にならないよう直してあげてくださいね。

悪くなった下の歯並びを改善する方法

加齢とともに歯並びが悪くなったとしても、それ以上悪くなることを予防したり、歯並び自体を改善する方法があります。3つの方法について具体的にお伝えします。

①お口周りの癖を直す

一度悪くなってしまった歯並びは、自分で元に戻すことはできません。ただし、お口周りの癖や習慣を改善することで、歯並びの悪化を防ぐことができます。横向き寝やうつぶせ寝、頬杖をつく癖、口呼吸、歯ぎしりや食いしばりなどが癖になっている方は、少しずつ改善していきましょう。癖を行っていたら、すぐにやめることを意識的に行ってみましょう。

就寝中は、寝る姿勢を意識することが難しいですが、入眠する時に必ず仰向けの姿勢で眠るように心がけてみましょう。また、仰向け寝の状態で、2つの枕を両サイドに置いて、寝ている時も体が動きにくいようにするのも1つの方法です。

歯ぎしりや食いしばりについても、日中に行っている場合は、意識的にやめることはできますが、寝ている時はやめることが難しいです。そのような場合は、マウスピースを使用して歯ぎしりや食いしばりによる歯のすり減りを防ぐことができます。マウスピースは歯科医院で作製することができるので。歯ぎしりやくいしばりに悩まれている方は、一度、歯科医院に相談してみましょう。

➁歯科医院で歯周病治療・虫歯治療を受ける

歯周病により歯がぐらつく、食べ物を噛むと虫歯が痛んで片方でしか噛めない、などの症状がある方は、まず、歯周病治療や虫歯治療を優先的に行いましょう。それらの症状は、歯周病や虫歯になっている歯だけが悪くなるだけでなく、うまく噛めないことで咬み合わせも悪くなり、他の歯に過度な力が加わることにも繋がります。そうすると、他の歯が歯周組織にダメージをうけたり、歯が傾いたり、欠けてしまうこともあります。

歯周病治療では、歯周ポケット内部に付着する歯石を専用の機械で除去したり、洗浄することで細菌の増殖を抑えることができます。それと一緒に、毎日の歯磨きを改善することで歯茎の状態も改善できる可能性もあります。

矯正治療を行う場合でも、歯周病や虫歯治療を優先的に行う必要があるので、歯茎の痛みや歯の痛みがある方は、早めに歯科医院を受診し、必要であれば治療を受けましょう。

③矯正治療を受ける

下の歯並びがすでに悪くなっている状態を改善するのであれば、矯正治療が必要になります。ただし、矯正治療で歯並びを改善するとしても、お口周りの癖があると、歯が計画通りに動かなかったり、矯正治療が完了した後に歯の位置が元に戻ってしまうことがあります。そのため、お口周りの癖も改善する必要があります。

矯正治療を始める前には、どこまで歯並びが改善すれば、ご自身で納得できるかなどについても考えておきましょう。歯並びが悪くなる前の元の歯並びまで改善できれば納得できるのか、あるいは、元の歯並びより綺麗に整えたいのか、ご自身が求める歯並びによっては、治療期間や治療計画が変わることもあります。

また、矯正治療方法にもいくつか種類があります。ここでは、比較しやすいように、主に3つの方法について、それぞれ表にまとめてご紹介します。

ワイヤー矯正(表側矯正・裏側矯正)


治療方法 歯の表面あるいは裏面にブラケットと呼ばれる装置をつけ、そこにワイヤーを通して歯を動かします。
表面に装置をつける方法を「表側矯正」、裏面につける方法を「裏側矯正」と言います。

特徴 歯を大きく動かすことが可能で、様々な症例に適応可能です。
注意点 ・矯正装置が目立ちやすく出っぱっているため、歯の表面につけた装置が舌や粘膜にあたり傷がつくこともあり痛みを感じやすいです。
・ご自身では取り外しができないため、慣れるまでは歯磨きや食事がしにくいです。
治療期間 2年くらいが目安となります。(※歯並びの状態によって異なります。)
退院頻度 月1回の通院が目安となります。(※歯並びの状態、治療の進行状況によって異なります。)
費用 約60万~80万円が目安となります。
(※お口の状態によっては補助装置などが必要になることもあり、追加費用がかかることもあります。事前に費用明細について確認しておきましょう。)

マウスピース矯正


治療方法 ・脂素材で作製した透明なマウスピース矯正装置を使用します。
・自宅で約2週間毎に新しいマウスピースに交換しながら歯を少しずつ動かします。
特徴 ・口を開けても装置が見えにくく、矯正治療を行っていても周りを気にせず過ごすことができます。
・装置の着脱が可能なため、食事や歯磨きも違和感なく行うことができます。

・1つのマウスピースによる歯の移動量が少ないため、痛みを感じにくいです。
・移動量が少ないと、治療期間が長くなるのではないかと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、自宅でのマウスピース交換が可能なため、その分矯正治療を進めることができ、ワイヤー矯正の治療期間と大差ありません。
・通院頻度も比較的少ないです。
注意点 ・重度の不正咬合には対応できないことがあります。
・マウスピース交換のタイミングや装置装着時間(1日20時間以上)を守るために、自己管理が大切です。
・これらを守ることができなければ、治療が計画通りに進まず、治療期間が長くなることもあります。
治療期間 2年くらいが目安となります。(※歯並びの状態によって異なります。)
退院頻度 月1回~3ヶ月に1回の通院が目安となります。比較的通院回数が少ないです。
(※歯並びの状態、治療の進行状態によって異なります。)
費用 約80万~100万円が目安となります。
(※お口の状態によっては補助装置などが必要になることもあり、追加費用がかかることもあります。事前に費用明細を確認しておきましょう。)

セラミック矯正


治療内容 歯を削り形を整えた上で、新たにセラミックの被せ物を作製し、被せることで歯並びをキレイにします。
特徴 ・この方法は、「審美治療」といって、歯や口元の美しさを優先して考えられた治療法です。
・白いセラミックの被せ物を歯に被せることにより、歯並びをキレイにします。
・ワイヤー矯正やマウスピース矯正などのように、歯の位置を動かすことはありません。その分、治療期間は短いです。
注意点 ・セラミックの被せ物を被せるために、歯を削る必要があります。
そのため、治療後に歯の神経にダメージを生じることもあり、その場合はしみたり痛みが出たりします。
・被せ物を被せた歯は、歯と被せ物の間に境目ができます。
そのため、お口のケアを怠ると、そこに汚れが蓄積しやすくなり虫歯や歯周病のリスクを高めてしまうこともあります。
・歯の位置を動かさず治療を行うので、軽度の症例のみに適応可能です。
通院回数 目安としては2~3回くらいになります。(一度、仮歯に置き換えて歯並びや咬み合わせの状態を確認してから、セラミックの被せ物を作製する場合は通院回数が増えることがあります。)
治療期間 ・歯を移動させる必要がないため、短期間での治療が可能です。
・歯の状態や治療する本数によっても異なりますが、治療期間の目安は、約1ヶ月~2ヶ月くらいになります。
費用 1歯につき8万~18万円が目安となります。
(保険外診療になり、歯科医院によって金額の設定が異なるので、事前に確認しておきましょう。)

下の前歯のみの矯正治療であれば、気になる歯のみを矯正する「部分矯正」という方法もあります。全体的に行う矯正治療より、短期間で治療ができ、費用も抑えることができます。部分矯正が適応できるかどうかは歯科医師の診断が必要になるため、一度、歯科医院で相談してみましょう。

大人になって悪化した歯並び、インビザラインで治療可能です

矯正治療は子供の時期に行うイメージをお持ちではありませんか?実は、矯正治療は条件が合えば、どの年齢でも行うことができます。実際、70歳になってから歯列矯正治療を受けた方もいらっしゃいます。そのため、大人になってから、歯並びが悪くなった方でも矯正治療は行えます。

ただ、矯正治療中の「見た目」を気にされる患者さんは多くいらっしゃいます。従来から行われているワイヤー矯正は矯正装置が目立つことが大きなデメリットでした。しかし、現在では、マウスピース矯正が主流となりつつあります。マウスピース矯正は、樹脂素材で作製された透明なマウスピースを使用し、着脱が可能なため、見た目もほとんど気にならず、食事や歯磨きも通常通り行うことができます。人前に出るお仕事をされている方にもおすすめの治療法です。

マウスピース矯正もいくつか種類がありますが、中でも「インビザライン」は世界シェアトップを誇り、全世界100ヶ国以上、1600万人以上の治療実績があります。インビザラインでは、全てのデータをデジタル化し、治療中の歯の動きや、治療完了後の歯並びの状態も動画によるシュミレーションを作製します。事前に患者さんにも見ていただくことができ、実際の矯正治療をイメージしやすいです。お口の型どりの際も、「光学3Dスキャナー」によりお口の中に小型カメラを入れて読み取ります。従来の方法より患者さんへの負担が少なく、短時間で行うことができます。下の前歯のみの矯正治療のみであれば、インビザラインでの部分矯正も可能です。

年齢を重ねる毎に歯並びが悪くなってきたように感じる方は、まずは歯科医院に相談してみましょう。ご自身に合った矯正治療方法を知るだけでも矯正治療を受けるかどうかの判断材料にもなり、ご自身のお口の状態をより詳しく知るきっかけにもなります。

当院では、患者さんがご相談しやすいように、無料カウンセリングを受け付けております。歯並びにお悩みがあれば、どんなことでもお気軽にご相談ください。

無料カウンセリングの内容について





【矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について】

① 矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間~1、2 週間で慣れてきます。
② 歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。
③ 矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
④ 治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。
また、歯が動くと隠れていたむし歯があることが判明することもあります。
⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
⑧ 矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
⑨ 治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。
⑩ 治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。
⑪ 歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
⑫ 矯正歯科装置を誤飲する可能性があります。
⑬ 矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
⑭ 動的治療が終了し装置が外れた後に現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。
⑮ 動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや、咬み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。
⑯ あごの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。
⑰ 治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがあります。
⑱ 矯正歯科治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。