子供の乳歯がすきっ歯に!?このまま永久歯もすきっ歯になる?
- 公開日:2025/07/29
- 監修者:増岡尚哉
- 更新日:2025/07/29
お子さんの歯をみて、歯と歯の間にある隙間が気になる親御さんがいらっしゃると思います。歯が生え変わってもこのままなのかな...と心配されるかもしれません。
実は、乳歯の時期に隙間のある歯並びは理想的な歯並びです!
しかし、隙間が大きい、永久歯の数が少ないあるいは多い、などの場合は改善しにくいこともあります。
今回は、「乳歯に隙間が必要な理由」「要注意な乳歯の歯並び」「永久歯のすきっ歯の治療方法」についてお伝えします。
【目次】
1.乳歯の歯並びに隙間があるのは理想的!隙間の役割とは
1-1乳歯のすきっ歯は永久歯が生える大事なスペースです!
1-2乳歯の前歯が「八の字」の様に捻れて生えている場合
2.すきっ歯よりも要注意な乳歯の歯並び
2-1隙間なく並んでいる
2-2上の前歯が突出している「出っ歯」
2-3下の前歯が上の前歯より出ている「受け口」
2-4乳歯の数の問題(多い、あるいは少ない)
2-5乳歯が抜けても永久歯が出てこない
2-6乳歯が黒ずんでいる
2-7上下の前歯の間に隙間がある「開咬」
2-8前歯の間にある上唇小帯が太く短い「上唇小帯強直症」
3.すきっ歯になる「先天的理由」と「後天的理由」
3-1先天的な理由
3-2後天的な理由
4.永久歯になってもすきっ歯のまま...そのリスクとは
5.永久歯のすきっ歯を治療するのに最適な時期とは?
6.永久歯のすきっ歯治療について解説
6-1セラミッククラウン
6-2ラミネートベニア法
6-3ダイレクトボンディング
6-4ワイヤー矯正
6-5マウスピース矯正
7.お子さんのすきっ歯に悩まれているなら、当院にご相談を!
乳歯の歯並びに隙間があるのは理想的!隙間の役割とは
子供の歯いわゆる「乳歯」は、歯並びに隙間があるのが理想です。なぜかというと、乳歯が抜けてから生えてくる永久歯は、乳歯のサイズより1.5〜2倍ほど大きいからです。つまり、乳歯の歯並びに隙間があることで、永久歯が生えるスペースを確保できるということになります。
この「隙間」のことを専門用語で「空隙(くうげき)」と呼び、部位によって名前が異なります。
・上顎の乳犬歯と乳側切歯の間
・下顎の乳犬歯と第一乳臼歯の間
上記二か所にある空隙を「霊長空隙」と呼びます。そして、それら以外の空隙を「発育空隙」と呼びます。
これらの隙間がない場合、永久歯が生えるスペースが足りず、歯並びがガタガタになったり、八重歯になったりする可能性もあります。しかし、永久歯が生え換わる頃に顎の成長に伴って隙間ができてくることで、永久歯が正常な位置に生えてくることもあります。
乳歯の歯並びに隙間がない場合は、歯と歯の間に汚れがたまりやすくなるため、虫歯のリスクも高まりやすいです。特に乳歯は歯の性質上、永久歯よりも虫歯が進行しやすいので要注意です。このような場合は、仕上げ磨きの時にフロスなどを使用していただくことをお勧めします。
乳歯のすきっ歯は永久歯が生える大事なスペースです!
乳歯は2〜3歳頃に生え揃います。生え揃った時点では、歯と歯の間に隙間はありません。4〜6歳頃になると、顎の成長に伴って歯と歯の間に隙間ができてきます。
乳歯の役割として、しっかり食べ物を咀嚼すること、言葉の発音をサポートすること、正常な顎の発達を促すことなどがあげられます。その中の一つに「永久歯が正しい位置に生えるサポートをすること」があります。
上記でもお伝えしたように、永久歯は乳歯よりサイズが大きいです。その永久歯がスムーズに生えることができるように、乳歯は「すきっ歯」で生えるのが理想です。
しかし、生まれつき歯の本数が少なかったり歯のサイズが小さかったりすると、永久歯に生え換わった後もすきっ歯のままであることもあります。お子さんがレントゲン撮影を行えるタイミングで、永久歯の本数について前もって確認できると良いです。
乳歯時期のすきっ歯は、永久歯への生え変わりの過程で改善されていきます。しかし、永久歯に生え変わってもすきっ歯のままである場合、「埋伏過剰歯」「お口周りの癖」などが原因になっていることもあるので、一度、歯科医院に相談してみましょう。
乳歯の前歯が「八の字」の様に捻れて生えている場合
乳歯が生える時期1歳前後〜3歳前後に、前歯2本が斜めに生え、ちょうど「八の字」のように生えてくることがあります。
原因としては、この時期、子供の顎は成長途中で乳歯が並ぶための十分なスペースが確保されていないことが考えられます。そのため、微妙に歯が押し出されることで斜めに生えてしまうというわけです。
他にも、指しゃぶりや爪噛み、舌で前歯を押すなどお口周りの癖や遺伝が原因となっていることがあります。このような場合は、治療や癖の改善を行う必要があります。
とはいっても、乳歯の前歯が八の字になっている場合は、顎の成長に伴って改善することがほとんどです。お口周りの癖がある場合は、その改善を試みながら、まずは定期的な経過観察になることが多いです。
すきっ歯よりも要注意な乳歯の歯並び
お子さんの歯並びですきっ歯以外に気になるところはありませんか?早めに気づいて歯科医院に相談できると、矯正治療以外にも、口周りのトレーニングや癖の改善で歯並びが良くなってくる場合もあります。
以下のような症状がみられないか、お子さんのお口の中をよく観察してみましょう。
隙間なく並んでいる
乳歯がぴったりキレイに並んでいると、永久歯が生えるスペースが確保されにくくなります。そのため、本来歯が並ぶはずのアーチから押し出されるように永久歯が生えてしまうことで、デコボコした歯並び(叢生)や八重歯になる可能性があります。
また、隙間なく歯と歯がぴったりくっついていると、歯と歯の間に歯ブラシが届きにくいです。そうすると、汚れが蓄積しやすくなり、知らないうちに虫歯になっているケースもあります。乳歯は永久歯より歯質が未熟で、虫歯の進行が早いです。乳歯がぴったりとくっついている場合は、フロスなどを併用してみましょう。
乳歯は、ぴったりキレイに並んで生えているより、すきっ歯である方が永久歯がスムーズに生えやすいです。
上の前歯が突出している「出っ歯」
上の前歯が前方に突出している状態を出っ歯といいます。出っ歯だと、口がボコッと出る口ゴボになりやすいです。また、口を閉じるときに唇が上の前歯にひっかかりやすいことで、口が閉じづらく前歯が乾燥してしまうこともあります。歯は乾燥すると汚れが停滞しやすくなるため、虫歯や口臭リスクが高まります。
下の前歯が上の前歯より出ている「受け口」
本来、正常な歯並びというのは、奥歯を咬み合わせた時に上の前歯が下の前歯に2〜3mm被さっている状態です。しかし、この咬み合わせが反対になり、上の前歯より下の前歯が前方に出ている状態を受け口といいます。
受け口だと、口が閉じにくく口呼吸になりやすかったり、咀嚼や発音がうまくできなかったりすることがあります。
受け口は年齢が上がるにつれて改善するのが難しい歯並びで、早めに治療を始めると効果がでやすいです。小さい子で4歳から治療を始められるケースもありますので、受け口に気づいたら、なるべく早めに歯科医院に相談してみましょう。
乳歯の数の問題(多い、あるいは少ない)
乳歯は、上下合わせて20本生えます。それより多く存在している歯を「過剰歯」、それより少ない、生まれつき存在しない歯を「先天性欠如歯(せんてんせいけつじょし)」と言います。
「過剰歯」は、上の前歯の間の真ん中に存在することが多いです。乳歯の過剰歯は経過観察になることが大半で、自然に抜けるのを待ちます。永久歯が生える妨げになる場合は、お子さんができるようであれば抜歯を行うこともあります。
「先天性欠如歯」は、下の前歯に発生しやすいです。本来あるはずの乳歯がないことで、大きな隙間がみられることもありますが、歯の生え換わりが始まるまでは経過観察になることがほとんどです。
もし、隣の歯が動いてくるなどして隙間が狭くなり、永久歯が正常な位置に生えにくくなった場合は、矯正治療により歯が並ぶアーチを拡げて、永久歯が生えるスペースを確保することもあります。
乳歯が抜けても永久歯が出てこない
埋伏歯(まいふくし)の可能性があります。埋伏歯とは、歯が骨の中に埋まったまま生えてこない歯のことを言います。
歯の頭の一部が出ている埋伏歯を「半埋伏歯」、歯の全体が埋まっている埋伏歯を「完全埋伏歯」と言います。埋伏歯になりやすい歯には、「親知らず」「犬歯」、上の前歯の間に存在しやすい「過剰歯」が挙げられます。
完全埋伏歯は気づきにくく、歯科医院でレントゲン撮影を行って初めて気づくケースがほとんどです。「前歯」や「犬歯」が埋伏歯の場合は、矯正治療により歯茎を切開して引っ張り出し、正常な位置に移動させることがあります。
「埋伏歯」となっている過剰歯や親知らずは、他の歯や骨に悪影響を及ぼす可能性がある場合は抜歯することもありますが、特に影響がなければ経過観察を行ないます。
乳歯が黒ずんでいる
乳歯が黒ずんでいるように見える場合は、虫歯の可能性があります。痛みやしみるなどの症状が無い場合でも、まれに虫歯になっていることがあるため、一度、歯科医院へ受診していただくことをお勧めします。
他の原因としては、歯の内部にある神経がダメージを受けた状態、つまり壊死してしまっていることが考えられます。転倒した時や友達同士でぶつかった時、遊具にぶつかった時などに、前歯が強く当たってしまい、その衝撃により起こることがあります。衝撃が加わってすぐには変色しませんが、時間の経過とともに歯の変色が起こります。
歯の神経が壊死すると、歯の根っこの先端に病巣(膿の袋)ができて歯茎が腫れ、痛みが出ることがあります。その場合は、歯の根っこの治療を行って内部を洗浄しお薬を入れることで症状が改善します。
歯が黒ずんでいるだけであれば、永久歯の生え換わりを待ちます。乳歯の神経が壊死した状態だと自然に抜けにくく、生え換わりがスムーズに進まないこともあるため、定期的に歯科医院で経過を診てもらうことが大切です。
上下の前歯の間に隙間がある「開咬」
奥歯を咬み合わせた時に、上下の前歯が重ならず、正面から見ると隙間が開いていることがあります。これを開咬(かいこう)と言います。
指しゃぶり、舌を前に出す癖などの、お口周りの癖が主な原因です。このような癖は、歯の生え換わりの時期になる前(4歳くらい)には直せるようにすると、永久歯の歯並びに影響しにくいです。
また、開咬で口が閉じにくくなることで、口呼吸になってしまうこともあります。
まずは、お口周りの癖を改善することを心掛けましょう。小さい子ができる、お口のトレーニングやマウスピースを使用する子供矯正もあるので、気になる方は小児歯科や矯正歯科に相談してみましょう。
前歯の間にある上唇小帯が太く短い「上唇小帯強直症」
上の前歯(切歯)の間にある、唇の裏側から伸びている筋を上唇小帯(じょうしんしょうたい)と言います。その筋が通常より太く短いと、前歯がすきっ歯になりやすいです。乳歯の時期に起こりやすい症状で、この状態を「上唇小帯強直症(じょうしんしょうたいきょうちょくしょう)」と呼びます。
乳歯の時期には、唇の動きによって小帯が伸びて改善する可能性があるため、乳歯の間は経過観察を行うことが多いです。前歯が永久歯に生え換っても上唇小帯が改善せず、歯並びに影響する場合は、麻酔して切開することもあります。
すきっ歯になる「先天的理由」と「後天的理由」
すきっ歯になる理由には、大きく分けて「先天的理由」と「後天的理由」があります。「先天的理由」とは、生まれつきの性質で遺伝が関係しているもので、「後天的理由」とは、生まれたあとで身についた習慣や癖が関係しているものです。
先天的な理由
▶遺伝
両親や祖父母にすきっ歯の方がいると、その子供や孫にすきっ歯が遺伝しやすいです。この場合、すきっ歯自体がそのまま遺伝するのではなく、顎の骨格や歯の大きさなどが遺伝した結果として、『すきっ歯が遺伝する』ということになります。顎の大きさに対して歯の大きさが小さいと、すきっ歯になりやすいです。
▶欠損歯がある
もともと歯が数本ない状態を「先天性欠如歯」といいます。本来あるはずの歯がない場合、歯並びにスペースができやすく、すきっ歯になりやすいです。
▶過剰歯がある
歯の本数が本来の数より多い場合を「過剰歯」と言います。過剰歯は、真ん中にある前歯(切歯)の間に存在することが多く、埋まったままになっていることがあります。この過剰歯により、両隣の歯が押し広げられるように生えるため、前歯がすきっ歯になりやすいです。生えずに埋まった過剰歯は、存在に気づくことも難しいため、歯科医院でレントゲン撮影を行った際に確認してもらいましょう。
▶上唇小帯の問題
「上唇小帯(じょうしんしょうたい)」とは、上の前歯付近の唇の裏側についている筋のことです。この筋が太く短いと、前歯の間に入り込んだ状態になり、歯と歯の間に隙間ができ、すきっ歯になることがあります。乳歯の時期に改善することがほとんどですが、永久歯に生え変わった後も改善がみられなければ、治療が必要になることがあります。
後天的な理由
▶お口周りの癖
指を口で吸う「指しゃぶり」や、舌で前歯を押す「舌の癖」は、すきっ歯だけでなく出っ歯や開咬の原因になることもあります。これらの癖によって指や舌で前歯が押され、歯並びが悪化してしまうのです。口周りの癖により小さな力が長く継続されることで、歯の位置がズレてしまうため、お口周りの癖や習慣は早めに改善できるように心がけましょう。
▶歯茎の炎症や抜歯
歯茎の腫れや出血がみられる場合は、歯肉炎や歯周病が進行しているかもしれません。。これらの症状が進行すると、歯を支える骨やその周りにある歯茎がやせるため、歯と歯の間に隙間が生じやすく、すきっ歯になる可能性があります。歯肉炎や歯周病の主な原因は、歯と歯茎に付着したプラークです。毎日の歯磨きを正しく行うようにしましょう。
他にも、矯正治療で便宜抜歯を行った場合、治療完了後に後戻りが起こってしまうと歯と歯の間に隙間ができ、すきっ歯になることがあります。矯正治療完了後も、担当歯科医師の指示に従い、後戻りを防ぐ保定装置(リテーナー)を正しく使用しましょう。
永久歯になってもすきっ歯のまま...そのリスクとは
すきっ歯をそのままにしておくリスクについてご説明します。
▶発音がしづらい
前歯に隙間が空いていると、言葉を発する際に空気がもれてしまい、発音しにくく感じることがあります。特に、舌の先を歯の裏側にあてて発音する「タ行」、前歯と空気の摩擦によって発音する「サ行」は、すきっ歯の状態だと発音の難易度が高くなります。そのため、人前で話す時に滑舌の悪さや聞き取りづらさが気になり、過度に緊張してしまうことがあります。
▶口元へのコンプレックス
すきっ歯がコンプレックスになって、会話をする時や笑っている時に口を手で隠してしまう方がいらっしゃいます。口元はお顔の表情や第一印象にも関わります。人前で話すことが苦手、口を開けて笑うことができないなど、自分の口元に自信が持てない方は、歯科医院で歯並びについて相談していただくと良いでしょう。
▶食べ物が詰まりやすい
歯と歯の間に隙間が空いていると、その隙間に食べ物やプラーク(歯垢)が蓄積しやすいです。食べ物が詰まってひっかかると、食事中に人からの目が気になってしまうことがあります。
また、正しく歯ブラシをあてないと、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
他にも、歯と歯の間に隙間があることで、うまく咬みきれなかったり咀嚼しづらいと感じたりすることもあります。
▶歯の位置が動く
歯と歯の間に隙間があることで、そのスペースに歯が傾いてくることがあります。このような場合、1本の歯が傾くだけで、本来咬み合っていた歯がうまく噛み合わなくなります。そうすると、他の歯の咬み合わせもズレてくるため、結果として全体の歯並びや咬み合わせがズレてしまい、部分的な問題から将来的には歯並び全体への問題に発展することがあります。
永久歯のすきっ歯を治療するのに最適な時期とは?
矯正治療は、歯や歯を支えている骨(歯槽骨)、歯茎が健康な状態であれば、どの年齢でも行えます。
ただし、大人より子供の方が比較的骨が軟らかくて歯が動きやすいので、治療がスムーズに進みやすいです。
基本的に、矯正治療は2~3年かかります。部分的な矯正であれば、半年~1年で完了することもあります。
大人の場合は、お口の状態によっては期間が長引くことも想定されるため、なるべく早めに治療を始めることをお勧めします。
お子さんの場合は、上の前歯が永久歯に生え変わる6~7歳頃に矯正治療を始めるのがお勧めです。
お子さんの顎や歯は発達段階であるため、自然に歯並びが改善する可能性があると判断される場合は、経過観察を行いながら矯正治療のタイミングを見計らうこともあります。
歯並びで気になることがあれば、早めに歯科医院に相談しておくと、矯正治療が必要であった場合に、適切なタイミングで治療を始めることができます。
永久歯のすきっ歯治療について解説
セラミッククラウン
【特徴】
歯を削って被せ物を装着して、歯と歯の隙間を埋める治療法です。セラミックの被せ物を使用することにより、天然歯に近い透明感を再現でき、違和感がほとんどありません。歯の形や傾き、捻れなども改善することができます。セラミックは着色などがつきにくく、長持ちしやすい素材でもあります。
【治療方法】
①治療する歯の大きさや向きを考え、被せ物を装着できるように形を整えます。このタイミングで、隣の歯との色味のバランスなどを考慮しながら、セラミックの色を決めます。
②セラミックの被せ物が完成するまでには2~3週間かかることがあります。その間は、仮の歯を装着して日常生活を過ごしていただきます。仮の歯は、事前にセラミックの被せ物に似せた形態で作製しているため、セラミックの被せ物を装着した時の形態や使用感の確認にもなります。
③仮の歯の使用感や見た目に違和感がなければ、実際にセラミックの被せ物を装着します。
【治療期間】
期間は1~3ヶ月くらいです。歯の形成、型取り、被せ物の装着まで2~3回くらいの通院が必要です。咬み合わせや見た目に違和感がある場合は再調整が必要になるため、回数が多くなることもあります。
【治療費】
1本10~15万円くらいが目安です。
ラミネートベニア法
【特徴】
歯の表面を0.3mm~0.5mmの範囲(歯にほとんどダメージのない範囲)で削り、削った部分に、歯の形に合わせた薄いセラミックを貼り付ける方法です。セラミッククラウンによる治療より歯を削る部分が少ないため、歯へのダメージが少ないです。小さめの歯や、比較的隙間が小さい症例に適応されます。
この方法で使用されるセラミックは、着色などがつきにくいため、長持ちしやすい素材でもあります。
【治療方法】
➀歯の表面を削り、他の歯との色のバランスを考えながら、セラミックの色を決めます。
②セラミックができるまで、早くて1週間、基本的には2~3週間要するため、その間は仮の歯を装着します。仮の歯はセラミックに似せて作製するため、気になることがあれば再調整します。
③仮の歯を実際に使用して違和感がなければ、歯の形に合わせて作製されたセラミックを歯に装着します。
【治療期間】
治療期間は1ヶ月くらいです。歯の形成、型取り、被せ物の装着まで2~3回くらいの通院が必要です。隙間の閉じ具合など見た目に違和感がある場合は再調整が必要になるため、治療期間が長くなることもあります。
【治療費】
1本8~15万円くらいが目安です。
ダイレクトボンディング
【特徴】
コンポジットレジン(虫歯の詰め物治療にも用いられる歯科専用のプラスチック素材)を、歯と歯の隙間に詰めて硬化させ、隙間を埋める方法です。歯の色味に合わせて色を決めるため自然な仕上がりになりやすいです。レジンが接着しやすいように歯の側面を薄く削りますが、削る量はごくわずかです。
隙間が大きい場合は、歯の形が大きく変わるため違和感が出やすいです。また、レジンは治療後すぐはキレイな状態ですが、経年劣化により、着色がつきやすいため、数年後に再度治療が必要になることがあります。
【治療方法】
➀コンポジットレジンを接着しやすくするために、表面に専用の液を塗布し洗い流します。歯の表面をわずかに削ってから行うこともあります。
②コンポジットレジンを詰めて形を整えてから、専用の光を照射して硬化させます。
③研磨を行い、表面をキレイにして治療終了です。
【治療期間】
治療自体は1日で終わるため、1回の通院で治療可能です。
【治療費用】
1本2~5万円が費用の目安です。
ワイヤー矯正
【特徴】
歯にブラケットと呼ばれる装置を接着し、そこにワイヤーを通して歯を3次元的に動かす方法です。歯を比較的大きく移動させることができるため、難症例にも適応できます。
しかし、装置が目立ってしまったり、歯磨きがしづらくなったりという注意点があります。できるだけ目立ちにくくするため、透明や白の装置をオプションで選べる医院もあります。
歯並びや咬み合わせを、部分的に治療する「部分矯正」と、全体的に治療する「全体矯正」があります。
【治療方法】
①精密検査を行い、歯並びや咬み合わせについて診断を行います。
(レントゲン撮影、歯の型採り、口腔写真撮影、顔の写真撮影、歯周病検査、虫歯検査など)
②診断結果・治療計画についての説明を行います。治療を開始するかどうか患者さんに決めていただきます。
③装置を歯に接着し、矯正治療を開始します。
④基本的に1ヶ月毎の通院が必要です。ワイヤーの交換・調整、歯の動きの確認を行います。(お口の状態によって通院頻度は変わります)
【治療期間】
部分矯正では半年~1年くらい、全体矯正では2~3年くらいかかります。
(歯並びによっては、期間が長くなることがあります)
通院頻度は、基本的には1ヶ月に1回くらいです。
【治療費用】
部分矯正では30~60万円くらい、全体矯正では60~130万円くらいが目安です。
追加で来院毎に調整量が必要になることがあるので、事前に確認しておきましょう。
マウスピース矯正
【特徴】
透明なマウスピース型の矯正装置を使用して歯を動かす治療方法です。少しずつ形態の変わったマウスピースを、決められた間隔(基本的に2週間程度)を守りながら、ご自宅で交換していただくことができるため、通院回数が比較的少ないです。1枚のマウスピースでの歯の移動量が少ないため痛みが少ないという特徴もありながら、自宅でマウスピースの交換が進められるため治療期間はマウスピース矯正とほとんど変わりません。
また、マウスピース型の装置は取り外しが可能なため、歯磨きが通常通り行えることで矯正治療中も虫歯・歯周病になりにくく、食事も普段通りできます。
ただし、装着時間は1日20時間以上必要なので、自己管理ができないと治療期間が長引く可能性があります。
【治療方法】
①精密検査を行い、歯並びや咬み合わせについて診断を行います。
(レントゲン撮影、歯の型どり、口腔写真撮影、顔の写真撮影、歯周病検査、虫歯検査など)
②より精度の高い3Dスキャナーで歯並びや咬み合わせをデータ化してコンピューターに取り込みます。
③取り込んだデータにより、治療完了後の状態はもちろん、治療経過の動きを見られる治療のシミュレーションを動画で確認していただきます。
④治療の内容、期間、費用などを説明させていただいた上で、治療を開始するかどうかのお返事を聞かせていただきます。
⑤外部に発注したマウスピース型矯正装置を医院で装着して治療開始です。(装置が届くのは治療開始決定から1ヶ月くらいが目安となります)
【治療期間】
部分矯正であれば半年~1年くらい、全体矯正であれば2~3年くらいかかります。
(部分矯正は症状が軽度であれば適用可能です)
来院頻度は、基本的に2ヶ月に1回くらいです。
(お口の状態によってかわります)
【治療費用】
部分矯正なら20~60万円くらい、全体矯正なら40~100万円くらいが目安です。
追加で来院毎に調整量が必要になることがあるので、事前に確認しておきましょう。
お子さんのすきっ歯に悩まれているなら、当院にご相談を!
乳歯が生えている時期に「すきっ歯」になっている場合は、特に心配されなくても大丈夫です。顎の発育や永久歯への生え換わりによって「すきっ歯」が改善されることがほとんどです。
ただし、「前歯と前間の隙間が大きい」「上唇小帯が上前歯の間に入り込むように付着している」「歯の数が多いあるいは少ない」場合は、「すきっ歯」が治りにくいことがあるので、永久歯に生え変わる前に歯科医院に相談しましょう。
矯正開始時期は、お子さんの成長度合いや、歯の生え変わりの時期によって異なります。乳歯が永久歯に生え変わる時期は6~7歳くらいです。この時期に「すきっ歯」の症状がみられるようであれば、歯科医院で診てもらうことをお勧めします。
子供の時期には、顎の成長をうまく利用し歯並びを整える「小児矯正」を受けることができます。矯正装置としてシリコン製のマウスピースを使用する方法もあり、痛みがほとんど無く、お子さんへの負担も少ないです。小児矯正の適応年齢は5~10歳頃です。
当院では小児矯正も行っており、無料カウンセリングでは「矯正が必要かどうか」や「矯正を始めるタイミング」について診断することもできます。お子さんの歯並びで気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

監修者:増岡尚哉
歯科医師・歯学博士(D.D.S. , Ph.D.)|マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置(製品名インビザライン 完成物薬機法対象外)の講師として歯科医師向けに講義・講演活動をしています。
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