中学生頃になると、永久歯がすべて生え揃い、将来的な咬み合わせや歯並びの状態の見通しがつきやすくなります。そして、小学生の時よりも体の成長が落ち着くものの、大人と比べるとまだまだ成長段階であるため、歯が動きやすく治療がスムーズに進みやすいです。
また、この時期のお子さんは、歯並びが気になり始めることが多く、ご本人の意思で矯正治療を始めるケースも少なくありません。

矯正治療と聞くと、「痛い」「治療期間が長い」「装置が目立つ」などマイナスのイメージを持っている方もいらっしゃるでしょう。しかし、矯正治療にはいろいろな方法がありますので、ぜひお子さんに合った方法を見つけてあげてください。

【目次】
1.中学生の歯並びにおける症状ごとの割合
2.中学生の歯並びを改善する方法について!おすすめ順にご紹介
 2-1 おすすめNO.3 ワイヤー矯正(表側矯正)
 2-2 おすすめNO.2 ワイヤー矯正(裏側矯正)
 2-3 おすすめNO.1 マウスピース矯正(インビザライン)
3.中学生で矯正治療を行うメリット
 3-1 体が成長段階
 3-2 永久歯がすべて生え揃う
 3-3 歯並びへの意識が高い
 3-4 転院の可能性が低い
 3-5 医療費控除を受けられる
4.矯正治療を始めることによる生活面への影響
 4-1 歯が動く際の痛み
 4-2 装置への違和感
 4-3 虫歯へのリスク
 4-4 スポーツ時の衝撃
5.自分の力で歯並びを改善できない理由
 5-1 適切な矯正力でないと組織を傷つけてしまう
 5-2 余分に治療費がかかる可能性がある
 5-3 歯並びの悪化を予防する方法はあります
6.中学生のお子さんの歯並びでお悩みなら当院へご相談を!

中学生の歯並びにおける症状ごとの割合

「歯科疾患実態調査」とは、「国民の歯や口腔の健康状態を把握すること」を目的とする厚生労働省の調査です。「平成28年 歯科疾実態調査結果」における中学生(12~15歳)の歯並びについては、以下の症状が比較的多くみられました。


歯並びの症状 割合(%) 特徴
1.叢生 27.6 歯が生える位置がズレているため、歯と歯が重なったり歯が傾いたりして、ガタガタの歯並びになっている状態
2.すきっ歯(空隙歯列) 10.05 ・歯と歯の間に隙間がある状態
・真ん中に位置する前歯(中切歯)の間に隙間が生じる「正中離開」が特に多い
3.過蓋咬合 2.8 ・奥歯を咬み合わせた時に、上前歯が下前歯に被さっている状態
・上の前歯によって下の前歯がほとんど見えない状態になっていることが多い
・オーバージェット:6㎜以上
4.切端咬合 2.6 ・奥歯を咬み合わせた時に、上下の前歯の先端があたっている状態
・オーバーバイト:0㎜
5.受け口・開咬 1.3 ・奥歯を咬み合わせた時に、上の前歯より下の前歯が前方に出ている状態(受け口)
・奥歯を咬み合わせた時に、上の前歯と下の前歯が咬み合っていない状態(開咬)
・オーバージェット:-1㎜以下

※オーバージェットとは
上の前歯と下の前歯の前後的位置の違いを表す数値です。上の前歯が下の前歯よりも前方に位置している場合はプラス、下の前歯が上の前歯より前方に位置している場合はマイナスの数値になります。
正常値は2~3㎜で、それよりも大きいと「出っ歯」、小さいと「受け口」と診断されます。

※オーバーバイトとは
上下の前歯の重なり具合を表す数値です。上の前歯が下の前歯に被さっている場合はプラス、下の前歯が上の前歯に被さっている場合はマイナスの数値になります。
正常値は2〜3mmで、それよりも大きいと「過蓋咬合」、小さいと「切端咬合」「開咬」と診断されます。

中学生の歯並びを改善する方法について!おすすめ順にご紹介

中学生の歯は、すべて永久歯に生え換わっていることが多いため、大人の矯正治療と同じ方法で歯並びを改善します。
矯正治療にもいくつか種類があるので、お子さんに合った方法を見つけましょう!

おすすめNO.3 ワイヤー矯正(表側矯正)


治療方法 歯の表面にブラケットと呼ばれる装置を接着し、そこにワイヤーを通して歯を動かす
メリット ・歯を大きく動かすことができるので、難症例でも適応しやすい
・固定式の装置で着けっぱなしのため、治療が計画的に進みやすい
・細かな動きや大きな動きなど調整がしやすく、歯の移動の精度が高い
注意点 ・歯の表面に装置を装着するため装置が目立つ(目立ちにくいように、白や透明の装置をオプションで選択できる医院もあります)
・装置が出っ張っているため、歯磨きがしにくく虫歯リスクが高くなりやすい
・装置が出っ張っているため、口内に傷がつきやすい
通院頻度 基本的に月1回くらい(個人差があります)
費用目安 部分矯正:30~60万円くらい
全体矯正:60~80万円くらい
治療期間目安 部分矯正:半年~1年半くらい
全体矯正:2~3年くらい

おすすめNO.2 ワイヤー矯正(裏側矯正)


治療方法 歯の裏側にブラケットと呼ばれる装置を接着し、そこにワイヤーを通して歯を動かす
メリット ・歯の裏側に装置を装着するため、目立ちにくい
・装置が唾液にさらされやすく、表側矯正よりも虫歯リスクが低い
・装置が歯の内側にあるため、スポーツなどの衝撃に強い
注意点 ・歯科医師の高度な技術が必要であるため、他の矯正治療より費用が高額になりやすい
・装置が歯の内側にあることで、舌が傷つきやすい
・装置が歯の内側にあることで、食事や会話時に違和感を覚えやすい
通院頻度 基本的に月1回位くらい(個人差があります)
費用目安 部分矯正:30~70万円
全体矯正:100~150万円くらい
通院期間目安 部分矯正:半年~1年半くらい
全体矯正:2~3年くらい

おすすめNO.1 マウスピース矯正(インビザライン)


治療方法 透明な樹脂素材で作製されたマウスピースを交換しながら使用することで歯を動かす
メリット ・装置が透明なため、目立ちにくい
・自分で装置の交換を行うため、通院回数が比較的少ない(基本的に2カ月に1回)
・1つのマウスピースで0.25mmずつ歯を移動させるので、痛みが少ない
・取り外し可能な装置のため、食事や歯磨きがいつも通りに行える
注意点 ・装置の装着時間(1日20時間以上)や交換時期(2週間に1回)を、自己管理する必要がある
・外食した際に、装置を取り外したまま置き忘れてしまうことがある
・重度の症例には適応できないことがある
通院頻度 基本的に2カ月に1回くらい(個人差があります)
費用目安 部分矯正:30~50万円くらい
全体矯正:60~100万円くらい
治療期間目安 部分矯正:半年~1年半くらい
全体矯正:2~3年くらい

中学生で矯正治療を行うメリット

矯正治療は小学生の時期に行うイメージを持たれている方もいらっしゃいますが、中学生でも遅くはありません。むしろ、小学生の時期とは違うメリットもあります。以下で詳しく解説します。

体が成長段階

体の成長は、小学生の頃よりも少しずつ落ち着いていきますが、大人と比べるとまだまだ成長段階です。
この時期に矯正治療を始めると、骨代謝が活発なため歯が動きやすく、治療がスムーズに進みやすいです。

永久歯がすべて生え揃う

歯の生え換わりが終わってすべての永久歯(親知らず以外)が生え揃う時期であるため、永久歯の本数や咬み合わせの状態を把握しやすく、治療計画が立てやすいです。
歯並びの状態にもよりますが、乳歯が生えている時期から始めるよりも短期間で治療が完了することもあります。

歯並びへの意識が高い

矯正治療は「見た目の改善」を通してお子さんのコンプレックスを解消する1つの方法でもあります。
思春期に差し掛かかると、周りからの目が気になり始めることが多いです。そのため、「歯並びを改善したい」という本人の意志が強く、治療への理解度が高い分スムーズに進みやすいです。

転院の可能性が低い

親の仕事の都合などで引っ越しをされる方もいらっしゃいますが、お子さんが中学生の時期は、比較的引っ越しをする可能性が低い傾向があります。
そのため、矯正治療を始めても、治療が完了するまで同じ歯科医院に通い続けることができ、転院の心配が少ないです。

医療費控除を受けられる

咬み合わせに問題があると診断された場合(不正咬合)、医療費控除を受けられ、治療費用を抑えることができます。
医療費控除を受けるためには、歯科医院での領収書と手続きが必要です。詳しくは、住民登録のある自治体または税務署に確認してみましょう。

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矯正治療を始めることによる生活面への影響

矯正治療を始めると、痛みが伴うなど、日常生活や学校生活に支障が出ることが考えられます。
事前に把握し、生活の変化に合わせながら、治療を進めましょう。

歯が動く際の痛み

矯正治療が始まり、初めて装置を付けた時は、強い痛みを感じることがあります。これは一時的なものであり、痛みのピークは2~3日で、1週間ほどで落ち着きます。
痛みが強い場合は、痛み止めを処方することも可能です。1週間以上痛みが続くようなら歯科医師に相談しましょう。

装置への違和感

装置を装着すると、食事や歯磨きのしにくさや、話しにくさを感じることがあります。これも一時的なもので、少しずつ装置に慣れて気にならなくなっていきます。
マウスピース矯正の場合は、食事や歯磨きの際に装置を取り外せるため、ワイヤー矯正に比べると違和感が少ないです。

虫歯へのリスク

特にワイヤー矯正の場合は、歯に矯正装置が固定されているため、歯磨きがしにくく虫歯のリスクが高まりやすいです。その分、丁寧に歯磨きする必要があり、時間がかかります。
歯ブラシと一緒にタフトブラシや歯間ブラシなどを使用すると、効率よく汚れを落とすことができます。
マウスピース矯正であれば、装置を取り外して歯磨きできるので、ワイヤー矯正より虫歯のリスクは低いです。

スポーツ時の衝撃

矯正治療を行うことによるスポーツの制限は、特にありません。しかし、スポーツ時の衝撃でお口の中が傷ついてしまうことはあるので、注意が必要です。
特に、バスケットボール、ラグビー、空手、柔道など、人やボールと接触しやすいスポーツでは、マウスガードを使用して口内に傷がつくのを防ぎます。
マウスピース矯正なら、装置の出っ張りがないので、スポーツ時でもお口に傷がつきにくいです。

自分の力で歯並びを改善できない理由

残念ながら、自分の力で歯並びを改善することはできません。ネットで、「歯並びを自力で治す方法」などと紹介されていますが、安全性は保障されていません。
なぜ、自分の力で歯並びを治せないのか、その理由について詳しく解説します。

適切な矯正力でないと組織を傷つけてしまう

歯は継続的に力をかけることで動きます。矯正治療では、その原理を利用して、少しずつ歯に力をかけて動かします。
ただし、力をかけすぎると、歯が傾いたり歯根吸収や歯肉退縮が起こったりするリスクが高まるため、適切な方向、力加減が非常に重要です。
矯正治療は、歯科医師が精密検査の結果をもとに診断を行い、治療計画を立てます。そうして、力加減や力を加える方向を調整し、歯の動きを予測しながら移動させるので、リスクを最小限に抑えながら治療を進めることができます。

余分に治療費がかかる可能性がある

ネット情報によくあるのが「指や舌で歯を押す」という方法です。
しかし、過度な力をかけることによって、歯が欠けてしまったり、歯の神経がダメージを受けたりすることがあります。そうすると、矯正治療を始めるにしても、最初に歯の治療が必要になり、治療期間や治療費用が余分にかかってしまいます。
信頼性に欠けるネット情報には十分注意しましょう。

歯並びの悪化を予防する方法はあります

悪化した歯並びを自分の力で改善することはできませんが、歯並びの悪化を防ぐことはできます。
口呼吸、舌で前歯を押す癖、頬杖、横向き寝、うつ伏せ寝、爪咬み、悪い姿勢などの癖は、継続的に歯や顎に力がかかり、歯並びを悪化させる原因になります。
これらの癖を改善できれば、歯並びの悪化を防ぐことができます。

中学生のお子さんの歯並びでお悩みなら当院へご相談を!

中学生の時期は、見た目を気にするようになるお子さんもおり、本人の意思で矯正治療を始める方もいます。お子さん自身のの意思で始める場合、治療内容を理解しやすく、治療がスムーズに進みやすいです。

一方で、最初は矯正治療を考えていないお子さんでも、親御さんに連れられて矯正カウンセリングを受け、、自分の歯並びの状態を詳しく知ることで、矯正治療をしたいと思うようになることがあります。

本人はもちろん、親御さんがお子さんの歯並びで気になる部分があれば、まずは歯医院に相談してみましょう。
お子さんにもわかりやすく歯並びの状態を説明させていただきます。また、将来的なリスクなど具体的なこともお伝えすることができるので、お子さんにとって自分の歯のことを考える良い機会になるでしょう。

当院では、ワイヤー矯正以外にもマウスピース矯正も行っておりますので、患者さんに合わせた治療方法をご提案できます。お気軽に相談していただきやすいように無料矯正カウンセリングも行っておりますので、ぜひお問い合わせください。

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監修者:増岡尚哉

歯科医師・歯学博士(D.D.S. , Ph.D.)|マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置(製品名インビザライン 完成物薬機法対象外)の講師として歯科医師向けに講義・講演活動をしています。

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【矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について】

① 矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間~1、2 週間で慣れてきます。
② 歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。
③ 矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
④ 治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。
また、歯が動くと隠れていたむし歯があることが判明することもあります。
⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
⑧ 矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
⑨ 治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。
⑩ 治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。
⑪ 歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
⑫ 矯正歯科装置を誤飲する可能性があります。
⑬ 矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
⑭ 動的治療が終了し装置が外れた後に現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。
⑮ 動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや、咬み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。
⑯ あごの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。
⑰ 治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがあります。
⑱ 矯正歯科治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。

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