長年悩んでいたり、最近気になるようになったり、歯並びが気になり始めるタイミングは人それぞれです。大人になってから、矯正治療を始めてみようかなと考える方も少なくありません。しかし、見た目や通院などの仕事への影響や、治療に伴う痛みから、矯正治療を諦めている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実は、矯正治療にはいくつかの方法があり、痛みを感じにくい、通院が比較的少ない、矯正装置が目立ちにくいなど、特徴も様々です。ご自身に合った治療方法であれば、無理のない計画で、仕事と両立しながら歯並びを改善することができます。

このコラムでは、歯列矯正と仕事を両立する上でよくある気がかりや、社会人の矯正治療の良い影響、就職活動との関連などについてお伝えします。ぜひ、矯正治療を考える際のご参考になさってください。

【目次】
1.歯列矯正と仕事を両立する上で気がかりなこと
 1-1 ①痛みを感じる場合は?
 1-2 ②なかなか通院できない場合は?
 1-3 ③見た目が気になる場合は?
 1-4 ④話しにくさを感じる場合は?
 1-5 ⑤食事のしにくさを感じる場合は?
2.社会人で矯正治療をして実感しやすい良い影響
 2-1 ①第一印象が向上し笑顔が増える
 2-2 ②お口の健康を保ちやすい
 2-3 ③咬み合わせの改善により口腔機能向上
3.矯正治療が就活時の印象を左右することはある?
4.当院ではライフスタイルに合った矯正治療をご提案!

歯列矯正と仕事を両立する上で気がかりなこと

矯正治療は、子どもの時期に行うイメージを持たれている方もいらっしゃるでしょう。確かに成長期は、骨が比較的柔らかく、顎の成長を促したり、歯を動かしたりするには最適な時期です。しかし、だからといって、大人になってから矯正治療ができないわけではありません。大人の場合、矯正治療に対する意志が強い方が多いため、治療内容を理解していただきやすいことで、治療が計画的に進みやすいメリットがあります。

長年歯並びに悩み続けた方も矯正治療が可能です。矯正治療を考える上で心配になりやすい「痛み」「通院」「見た目」などについて解説します。

①痛みを感じる場合は?

矯正治療がスタートした直後は、装置により歯を強制的に動かすため痛みが出やすいです。食事もしづらくなるため、慣れるまではゼリー飲料や豆腐など、軟らかい食べ物をお勧めいたします。痛みは一時的で、1週間後くらいに落ち着くことがほとんどですが、痛みが強い場合は痛み止めを服用することも可能です。

矯正治療には痛みを感じにくい治療方法もあります。マウスピース矯正の場合、ひとつひとつのマウスピースで歯を動かす量が少ないため、ワイヤー矯正より痛みが抑えられやすいです。その分、治療期間が長くならないか心配になるかもしれませんが、マウスピース矯正は自宅で装置の交換が可能なため、治療期間はワイヤー矯正と同じくらいで行えます。

②なかなか通院できない場合は?

基本的なワイヤー矯正の通院頻度は月に1回、マウスピース矯正の通院頻度は2ヶ月に1回です(お口の状態により個人差があります)。条件次第ではありますが、お仕事などで通院が難しい場合は通院頻度の少ない方法で治療を行うと通いやすくなります。土日も診療している医院を選んでいただくのも良いでしょう。
また、転勤などの可能性がある場合は、系列の歯科医院が転勤先にあると追加で費用がかからない場合もあるので、歯科医院選びの参考にしていただければと思います。

③見た目が気になる場合は?

人前で話したり、人と接したりするお仕事をされている方は、見た目を気にされることが多いと思います。

透明なマウスピース型装置を使うマウスピース矯正なら、見た目を気にせず矯正治療を行えます。装置を装着していることによる影響を少しでも減らしたい時は、1日2時間程度なら外すことも可能です。また、自宅で装置を交換できるため、通院回数も比較的少ないです。

歯並びの状態によっては、ワイヤー矯正の適用になる場合もありますが、オプションでワイヤーやブラケット装置を白や透明の素材に変更できる医院もあるため、事前にご相談されることをお勧めいたします。

④話しにくさを感じる場合は?

矯正装置装着時に、唇や舌の動かしにくさなどの違和感によって滑舌が悪くなってしまうことがあります。
特にワイヤー矯正は、装置を歯の表面に接着することで出っ張りができ、違和感が強い傾向があります。
一方で、マウスピース矯正は、装置表面が滑らかで、装置の厚さは0.5mm程であるため、違和感が少ないです。舌を動かしづらく感じることもありますが、1週間くらい使っていると慣れてくることがほとんどです。

⑤食事のしにくさを感じる場合は?

矯正治療中には、食事制限はありません。しかし、装置に不向きな食べ物には気をつけましょう。キャラメルなどのくっつきやすいものや、ごまのように詰まりやすいもの、生野菜や肉など繊維が引っかかりやすい食べ物は、矯正装置に慣れてから食べ始めるようにしましょう。矯正装置を付けたばかりの時は、豆腐やゼリー飲料などの軟らかい食べ物がおすすめです。

マウスピース矯正で使用するマウスピースは取り外しができるため、食事や歯磨きなどを普段通りに行うことができます。ただし、1日の装着時間が20時間以上と決まっており、装着時間が少ないと予定通りに矯正治療が進みません。取り外す際には使用時間を意識するようにしましょう。

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社会人で矯正治療をして実感しやすい良い影響

ある調査で、「歯にコンプレックスを感じている人は9割以上いる」と、非常に多いことがわかっています。
コンプレックスを感じる部分として一番多いのは「歯の黄ばみ・着色」、次いで「歯並び」という結果になっています。
長年、コンプレックスに感じている「歯並び」を改善するために、大人になってから矯正治療を行うことは決して遅くはありません。社会人になってから矯正治療をするメリットについてご紹介します。

①第一印象が向上し笑顔が増える

口元の印象は第一印象に影響することがあります。特に、欧米では子供の頃から矯正治療をされている方が多く、人の評価に関わることもあるくらい歯並びが重要視されやすいです。近年の調査では、日本人でも同様の傾向がみられ、「婚活」「就職」「勤務先での商談」など、人生において大切な場面で歯並びの良さが第一印象に影響すると考える人が多くなりつつあります。(日本臨床歯科医師会調べによる男女1000人を対象にした意識調査では、72.6%が「歯並びは第一印象に影響する」と回答しています)
矯正治療により、長年悩んでいた歯並びがキレイになることで、自信を取り戻し、思いっきり笑えるようになったと感じる方は多く、表情の明るさによっても印象が良くなりやすいです。

②お口の健康を保ちやすい

歯が重なっていたり傾いたりしていると、歯磨きがしづらくなることで汚れが蓄積しやすくなります。そうすると、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
歯並びが改善されると、歯磨きがしやすくなり口腔環境が良くなります。矯正治療は、見た目はもちろん、虫歯や歯周病を予防する効果も期待できるため、お口の健康を保ちやすくなります。

③咬み合わせの改善により口腔機能向上

矯正治療には、部分的に歯並びを改善する部分矯正と、歯並び全体を改善する全体矯正があります。部分矯正は見た目を改善することが主な目的であるため、奥歯は正常に咬み合っており、前歯の歯並びが悪いというような、比較的軽度な歯並びに適応されます。
一方で、全体矯正は、歯並びはもちろん咬み合わせも改善することができます。歯がバランス良く咬み合うことで、咀嚼・発音なども改善され、咬み合わせの悪化に伴う顎関節症や肩こり、頭痛なども改善されやすくなります。

矯正治療が就活時の印象を左右することはある?

歯並びや矯正治療が直接的に就活に影響することはありません。しかし、矯正治療が自信に繋がり、面接などの緊張する場面で精神的に強くなれるきっかけになることはあるでしょう。歯並びにコンプレックスを感じてしまうあまり、口元を手で隠して話したり、小さい口で話すと、面接官にとってはマイナスなイメージになりかねません。そのため、大切なライフイベントである「就活」の前に、矯正治療を受けるのもひとつの手です。

採用担当者がみる基準は様々で、会社の雰囲気や職種によっても異なります。中でも、接客業など人前で話したり、人と接したりする機会が多い職種は、見た目や清潔感を重視する傾向があります。このような職種(キャビンアテンダントやアナウンサー、営業職など)を希望している方は、歯並びに気になる部分がある場合、矯正治療を行っておいた方がいいケースもあります。

就活前に矯正治療を始める場合は、遅くとも半年前くらいが良いでしょう。半年くらい治療を行うと歯並びがある程度改善するからです。就活前に矯正治療を完了されたい方は、治療期間が2~3年かかるため大学入学時から始めると良いです。(ただし、治療期間には個人差があります)

就活中に矯正装置が見えることが気になる方には、マウスピース矯正や裏側矯正をお勧めいたします。
特にマウスピース矯正は、矯正装置を一時的に外すことができるため、面接時に話しにくさを感じることを避けられます。もちろん、装置を装着したままでも、装置自体が透明なため目立ちにくいです。

矯正治療をお考えの際は、就活する旨を伝え矯正装置について歯科医院で相談してみましょう。

当院ではライフスタイルに合った矯正治療をご提案!

矯正治療は、大人になっても可能です。しかし、大人になると仕事の関係で通院が難しくなることがあります。接客業や人前で話す機会が多い仕事だと、矯正装置が目立つことが気になり、なかなか矯正治療に踏み出せない方もいるかもしれません。

当院では、患者さんの歯並びはもちろん、治療に対する要望も考慮し、いくつか治療方法を提案させていただいております。

痛みの少ない方法、短期間で治す方法、仕事に支障がでない方法、など無理のない治療計画で、ライフスタイルを大切にしながら、理想の歯並びを手に入れましょう!

カウンセリングも随時受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

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監修者:増岡尚哉

歯科医師・歯学博士(D.D.S. , Ph.D.)|マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置(製品名インビザライン 完成物薬機法対象外)の講師として歯科医師向けに講義・講演活動をしています。

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【矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について】

① 矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間~1、2 週間で慣れてきます。
② 歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。
③ 矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
④ 治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。
また、歯が動くと隠れていたむし歯があることが判明することもあります。
⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
⑧ 矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
⑨ 治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。
⑩ 治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。
⑪ 歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
⑫ 矯正歯科装置を誤飲する可能性があります。
⑬ 矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
⑭ 動的治療が終了し装置が外れた後に現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。
⑮ 動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや、咬み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。
⑯ あごの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。
⑰ 治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがあります。
⑱ 矯正歯科治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。

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