お子さんの顎が少し細く感じたり、生えそろった乳歯が隙間なく並んでいたり、歯と歯が重なって生えていたりすることに気づいたことはないでしょうか?

実は、顎の大きさと歯並びは密接に関係しています。そのまま放置すると将来的に歯並びの悪化に繋がる可能性もあります。

今回は「顎のサイズと歯並びの関係」「顎が小さいことで考えられるリスク」「治療方法」などについて解説します。

【目次】
1.顎骨のサイズは歯並びに関係する?
2.顎が小さいことにより考えられるリスク
 2-1 歯が生えるスペースが確保されにくい
 2-2 顎関節症、顎変形症を引き起こすことがある
 2-3 発音が不明瞭になったり滑舌が悪くなったりする
 2-4 睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まる
 2-5 口呼吸が習慣化してしまう
3.顎が小さくなる原因は主に2つ
4.小さい顎は、顎骨や歯列を拡大する治療方法で改善可能!
 4-1 拡大装置
 4-2 マウスピース矯正
 4-3 MFT(口腔筋機能療法)
5.矯正治療が必要となる基準
 5-1 矯正治療をスタートさせる時期について
6.当院では「予防矯正」にも取り組んでいます!

顎骨のサイズは歯並びに関係する?

顎骨が大きいと、歯が並ぶスペースが十分に確保されるため、歯が綺麗に並びやすいです。
一方で、顎骨が小さいと歯が並ぶスペースが足りず、歯と歯が重なったり、歯が傾いたり、捻れて生えたりすることで歯並びが悪くなってしまいます。

歯並びが悪くなる原因は顎骨の大きさだけではありません。歯の大きさも関係します。
顎骨の大きさが正常でも歯が大きい場合は、歯が生えるスペースが確保されにくく歯並びが悪くなってしまいます。逆に、可能性は低いですが、顎の大きさが小さくても歯の大きさも小さければ歯並びが整うこともあります。

では、なぜ顎や歯の大きさは人によって違うのでしょうか?それは、遺伝などの生まれ持つ性質が関係していると考える方が多いかもしれません。
しかし、顎や歯の大きさには、癖や生活習慣など生まれた後に備わった性質も大きく関係します。
特に顎の大きさに関しては、食生活や口周りの癖(舌癖、指しゃぶりなど)、口呼吸、姿勢などが影響することがあります。矯正治療で歯並びを改善する場合でも、これらの原因は治療の妨げとなることもあるため、先天的な原因以外は早めに改善することが大切です。

顎が小さいことにより考えられるリスク

顎が小さいと、歯並びやお口のトラブル、機能面に悪影響を及ぼすことがあります。

歯が生えるスペースが確保されにくい

歯並びには、顎骨と歯のサイズのバランスが関係します。
歯に対して顎骨のサイズが小さい、もしくは、顎骨に対して歯のサイズが大きい場合、歯並びが悪くなりやすいです。歯が生えるスペースが確保されにくく、歯と歯が重なったり、歯が傾いたり、捻れてしまうからです。

このような歯並びは、見た目だけでなく、「虫歯や歯周病のリスクを高める」「発音がうまくいかない」「しっかりと咀嚼ができない」などお口のトラブルや機能にも影響を及ぼすことがあります。

関連記事:下顎前突(受け口)とは?

顎関節症、顎変形症を引き起こすことがある

顎が小さいと、歯並びや咬み合わせが悪くなりやすいです。
咬み合わせのバランスが悪くなると、こめかみ付近に位置する顎関節に大きな負荷がかかり、将来的に顎関節症を引き起こすことがあります。

顎関節症になると、顎関節がコキコキなったり、大きく口を開けると痛みが生じたり、顎が外れてしまうこともあります。
関節部の間にある軟骨が擦り減りやすくなっているので、咬み合わせを改善するか、過度に咬む力がかからないようにマウスピースを使用するなどの対策が必要です。

また、顎が小さいと顎変形症と診断されることがあり、咬み合わせが悪い状態が長期に及ぶと重症化することもあります。
顎変形症は、骨格の成長期である幼少期に治療を始めると改善しやすいケースもあります。特に「受け口」の方は、早めに歯科医院に相談することをおすすめします。

関連記事:顎がない「下顎後退症(顎変形症)」は手術なしで矯正できる?矯正医が解説

発音が不明瞭になったり滑舌が悪くなったりする

顎が小さいと、歯が並ぶアーチが狭くなって舌の可動範囲も小さくなるため、舌の動きが悪くなります。

また、歯と歯が重なって生えると舌が歯にあたってしまい、滑舌や発音が悪くなることがあります。

顎が小さいことで引き起こされやすい「出っ歯」「開咬」「受け口」などでは、上下の前歯の間に隙間ができて空気が抜け、「さ行」「た行」「ら行」などの発音がうまくできないことがあります。

このように、顎の小ささはお口の機能にも影響を及ぼします。

睡眠時無呼吸症候群のリスクが高まる

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠時に一時的に呼吸が止まってしまう疾患です。様々な要因が考えられますが、顎が小さいと罹患するリスクが高まりやすい傾向があります。喉周囲に存在するスペース(気道)が狭まっており、寝る姿勢になると顎は喉の方に下がり、呼吸時に空気が通る気道がさらに狭くなって呼吸がスムーズに行うことができないためです。

睡眠時無呼吸症候群になると、呼吸がスムーズに行えずイビキをかいてしまったり、呼吸ができず何度も起きてしまったりして睡眠不足に繋がることもあります。

また、睡眠時に呼吸がうまく行えないと、血液中の酸素が足りなくなり、その分心臓が早く動くようになります。そうすると、心臓に負担がかかりやすく、心筋梗塞や動脈硬化を引き起こす原因に繋がります。

口呼吸が習慣化してしまう

呼吸時、鼻から吸った息は鼻腔を通って体の中に入ります。鼻腔とは、鼻の奥にある空洞です。吸い込んだ空気に含まれる埃や細菌を取り除くフィルターのような役割を持ち、上顎の骨で形成されます。そのため、上顎の骨が小さいと鼻腔も狭まり、鼻呼吸がしにくくなり、口で呼吸をしてしまいます。

口で呼吸をすると、鼻腔のようなフィルターの役割をする機能がないため、空気中に浮遊する埃やウィルス・細菌がそのまま体の中に入ります。そのため感染を引き起こしやすく、風邪や熱などにかかりやすいです。

また、口呼吸は舌の位置が下がりやすいため、お子さんにおいては顎の発達が遅れる原因のひとつでもあります。

顎が小さくなる原因は主に2つ

顎が小さくなる主な原因として、「遺伝的要素」「口周りの癖や生活習慣」の2つがあげられます。それぞれについて解説します。

<遺伝的な原因>
顎のサイズは遺伝にも影響されます。祖父母や両親の顎のサイズや形は孫や子どもに遺伝します。また、遺伝的に骨の成長が遅い場合も、顎が小さくなりやすいです。
祖父母や親に顎が小さい人や歯並びが悪い人がいたら、注意してお子さんの歯の状態を観察し、気になることがあれば歯科医院で相談しましょう。

<口周りの癖や生活習慣などの原因>
顎の成長が「癖・習慣」によって妨げられ、顎のサイズが小さくなってしまうこともあります。特に成長期においてはその影響が大きいです。

指しゃぶりは、指を吸うことで頬に強い力がかかって歯が押され、歯が並ぶアーチが狭くなりやすいです。

舌の癖については、舌で下の前歯を押すことによって舌の位置が下がり(低位舌)、上顎が成長しにくくなります。

また、猫背は、顎が前方に出ることで咬み合わせがズレるため、顎の成長を妨げてしまうことがあります。

食生活においても、柔らかいものばかりを食べていると、顎の成長が進みにくくなります。骨は負荷が加わることで骨密度が高まり成長が進むため、特に子供のうちは、歯ごたえのある物を積極的に取り入れるのがおすすめです。

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小さい顎は、顎骨や歯列を拡大する治療方法で改善可能!

顎が小さいお子さんでも、顎や歯列を拡大する治療方法があります。顎の成長を矯正装置により促しながら、顎の大きさを少しずつコントロールしながら拡大します。

拡大装置

◆治療方法
歯が並ぶアーチ(歯列)が狭いと、歯が生えるスペースが十分に確保されないことで、歯が重なったり、傾いたり、捻れた状態で生えてきたりすることがあります。
拡大装置は、歯列や顎骨を拡大し、歯が生えるスペースを作り出すことによって歯並びを改善します。歯の生え換わりの時期(6~10歳頃)に行うことで、顎の成長を正しい方向に促すことが可能です。

上顎あるいは下顎の裏側に装置を装着します。
顎や歯茎に接触する部分はプラスチック素材、歯に引っかける部分はワイヤーでできています。装置の中心には隙間がありネジが埋め込まれているので、そのネジを定期的に回しながら装置の隙間を拡げます。そうすると、装置により歯や顎骨が内側から押され、歯列や顎骨が拡大していきます。
装置は2種類あり、ゆっくりと歯を動かす「緩徐拡大装置」と、速く歯を動かす「急速拡大装置」があります。「緩徐拡大装置」は取り外しできる可撤式装置と、歯に固定する固定式装置に分類されます。

◆メリット
・顎の成長を促すことで、鼻腔も拡大しやすく、鼻呼吸がしやすくなる
・取り外しができるタイプは歯磨きや装置のケアがしやすい
・固定式の拡大装置は、継続的に矯正力がかかるため治療がスムーズに進みやすい
・装置が目立ちにくく、比較的痛みが少ない
・成長期に拡大装置を使用することで、矯正治療に必要となる便宜抜歯のリスクが低くなる

◆注意点
・取り外しできる拡大床は、1日20時間以上装着する必要がある(装着時間が短いと治療期間が 長引くことがあります)
・固定式の拡大装置は、歯磨きがしづらく装置のケアもしづらい
・顎の成長を利用するため、成長期が終わった大人だと適用できない場合がある

◆最適な治療開始年齢
拡大装置の使用の適応年齢は、永久歯への生え換わり時期である6~10歳頃です。

◆治療期間
拡大装置による治療期間は、基本的に半年~1年くらいです。
※拡大装置には急速拡大装置という装置もあります。急速拡大装置を使用すると治療期間が短縮されて2週間~2ヶ月くらいになりますが、痛みを感じやすいです。ネジを定期的に正しく回さないと治療期間が長引くことがあるため要注意です。

◆費用
拡大装置による矯正治療の費用は、約20万~50万円くらいです。
※医院ごとで異なります。
※別で通院毎に処置料が必要な場合もあるので、事前に確認しておきましょう。

マウスピース矯正

◆治療方法
マウスピース矯正は、樹脂製の透明なマウスピース型装置を使用して歯を移動させるため、矯正治療をしているにも関わらず目立ちません。
また、脱着可能なため食事や歯磨きに支障がなく、装置のケアも行いやすいです。
マウスピース型矯正装置は、基本的には自宅で2週間に1回交換しながら、1日20時間以上装着して歯を移動させます。1つのマウスピースで歯周組織の1つである歯根膜の幅と同じ量(0.25mm)移動する仕組みになっていることで痛みを感じにくいです。

◆メリット
・透明なマウスピース型矯正装置を使用するため目立ちにくい
・装置の脱着が可能なため、食事や歯磨きがいつも通りに行える
・お口や装置のケアがしやすいため、虫歯や歯周病リスクが軽減できる
・お口の中に傷がつきにくい
・痛みを感じにくい
・自宅で装置の交換ができるため、通院回数が少ない

◆注意点
・歯を移動できる量が限られるため、重度の不正咬合には適用できない場合がある
・基本的には自宅で2週間に1回マウスピースの交換をし、装着時間は1日20時間以上必要なため自己管理が重要
・装着時間や交換時期を守れないと治療が長引く

◆最適な治療開始年齢
マウスピース矯正にはいくつか種類があり、そのひとつにインビザラインがあります。子供専用に開発されたインビザラインをインビザラインファーストといい、歯が生え換わり始めた頃からマウスピース矯正を行えます。
治療開始の基準として、6歳臼歯が生えていること、前歯2本が3分の2以上生えていることなどが決められており、6~10歳頃が適応年齢です。

◆治療期間
・通常のマウスピース矯正なら2~3年くらい
・インビザラインファーストなら1年半くらい

◆費用
・通常のマウスピース矯正なら80~100万円くらい
・インビザラインファーストなら70万円くらい

MFT(口腔筋機能療法)

◆治療方法
歯が生える位置は、舌が内側から押す力、唇や頬が外側から押す力のバランスで決まります。そのため、舌の位置や動き、唇や頬などの口周りの筋肉を鍛えることで、正常な歯並びに導くことが可能です。
MFT(口腔筋機能療法)は、舌や唇・頬などの口周りのトレーニングにより、正しい口の使い方を身につけ、お口の状態を正常な状態に近づける治療方法です。

MFTのトレーニングには主に4つの重要ポイントがあります。

①舌を正常な位置(スポット)におけるようにする
②正しい呼吸方法である鼻呼吸を習慣化する
③正しい飲み込み方(嚥下)、発音ができるようにする
④顎の正常な発育を促しながら、正しい歯並びや咬み合わせに導く

1日10分~15分くらいのトレーニングで、小さなお子さんでも取り組みやすいです。

◆メリット
・歯並びや咬み合わせの根本的改善に期待できる
・日常的に行う呼吸、嚥下、咀嚼を正しく行えるようになる
・発音・滑舌が改善しやすい
・根本的な原因である口周りの癖を改善できるため後戻りしにくい

◆注意点
・治療期間が数ヶ月~数年と長い
・基本的には毎日行う必要がある
・重度の歯列不正は矯正治療を併用する必要がある
・基本的には1~2ヶ月間隔で通院が必要

◆最適な治療開始年齢
永久歯への生え換わり時期である6~10歳頃が適応年齢です。

◆治療期間
半年~1年くらい

◆費用
MFTも矯正治療と同じで基本的には保険外診療となります。
1回3千円~1万円くらいが相場です。

◆矯正治療との併用
歯並びが軽度の状態ならMFTのみで治療を進めることもありますが、骨格の悪さが歯並びを悪化させていたり、重度の状態だったりすると、矯正治療を併用することがあります。
MFTと矯正治療を併用することで、MFTでは歯が生えるための土台作りを、矯正治療では歯並びの改善を、並行させることができます。

また、矯正治療完了後も後戻りしにくいなどのメリットもあります。成長期に治療を始めると、顔や顎の骨格が正しい方向に成長しやすく、整いやすいです。

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矯正治療が必要となる基準

矯正治療が必要となる基準の目安として、主に4つのポイントがあります。ご自身やお子さんの歯並びを確認する時のご参考になさってください。

【1】咬み合わせのバランス
歯並びが悪いと咬み合わせのバランスも悪くなります。そうすると、顎関節症や頭痛、肩こり、消化不良などお口部分以外にも全身へ悪影響を及ぼしやすいです。
正常な咬み合わせの基準を見てみましょう。

<正常な咬み合わせについて>
・奥歯を咬み合わせた時に上前歯が下前歯に1~2mm被さっている
・上下前歯の中心(正中)が揃っている
・歯が並ぶアーチが整っている
・上1歯につき下2歯が咬み合っている
・奥歯が咬み合う面の山と谷がはまっている
・傾き、捻れがなく歯が直立している

これらのポイントを元にセルフチェックしてみましょう!

【2】虫歯や歯周病を繰り返していないか
歯並びの悪さは、お口のトラブルを招きやすいです。その代表格に、虫歯と歯周病が挙げられます。歯が重なったり、斜めあるいは捻れて生えたりすると、歯ブラシがあたりにくくプラークが溜まりやすくなるためです。

また、「出っ歯」や「開咬」などの状態だと、口が閉じにくくて口呼吸になることがあります。口呼吸では口が乾燥しやすく、唾液の機能が低下することで虫歯や歯周病リスクが高まってしまうことがあります。

咬み合わせが正常な場合、歯が上下でバランス良く接触するため、歯にプラークが付着しにくいという特徴もあります。
しかし、歯並びが悪いとこれらの歯の接触が偏ってしまい、プラークも蓄積しやすくなり、虫歯や歯周病を起こす原因になることもあります。

虫歯や歯周病を繰り返していると、歯や歯の周りの組織が弱まり、将来的に歯の寿命を短くさせることになりかねません。
矯正治療で歯並びを改善することで、歯磨きがしやすくなり、虫歯や歯周病予防はもちろん歯を長持ちさせることにも繋がります。

【3】咀嚼や発音に違和感がないか
「開咬」で上下の前歯の間に隙間があいていたり、「叢生」で歯が内側に生えることで舌が動かしにくかったり、「受け口」で上下の前歯が咬み合わない場合、発音や咀嚼がうまくできないことがあります。

「開咬」や「受け口」などの不正咬合では、前歯が咬み合わず奥歯が咬み合っていることで、奥歯に咬む力が集中しやすく、奥歯が欠けたり早く擦り減ってしまったりすることがあります。

また、咀嚼がしっかり行えないことで、消化不良を起こしてしまうこともあります。

発音においては、上下の前歯に隙間ができることで空気がもれて、特に「さ行」「た行」「ら行」がうまく発音できないことが多いです。

【4】見た目に悩まれていないか
見た目にどのくらい悩まれているかどうかも、矯正治療を決める重要な判断材料のひとつです。

口元が気になって自然に笑うことができない、口を隠しながらあるいは口をなるべく開けずに話してしまう、滑舌が悪いために人と話すことに苦手意識を持っている、などのお悩みをお持ちの方もいらっしゃいます。

矯正治療で歯並びを改善できれば、表情に自信が持てるため、気持ちがポジティブになりやすいです。

矯正治療をスタートさせる時期について

矯正治療は、条件が合えばどの年齢でも行うことができます。
ただし、体の成長期にあたる子供の時期に矯正治療を行うと、メリットが大きいです。

子供の時期に行う矯正治療を、特に「小児矯正」と言います。小児矯正では、取り外し可能な矯正装置によって顎の成長を促しながら、永久歯が生えるスペースを確保することで歯並びを改善することができます。
歯が生える土台となる顎骨にアプローチすることで、矯正治療における便宜抜歯の可能性が低くなることに加えて、治療完了後に後戻りする確率も低くなります。

子供は大人に比べると骨が軟らかく歯が動きやすいので、治療が比較的早く完了しやすいのもメリットのひとつです。

また、お口周りの癖の改善について、専門家からアドバイスを受けることもできます。

小児矯正は、歯が生え換わる時期にあたる6~7歳くらいから10歳頃までが適齢期です。上顎の骨は10歳頃に成長が止まるとも言われています。
しかし、これらの年齢はあくまでも目安であり、歯の生え換わりや体の成長には個人差があります。
まずは、歯科医院で矯正治療が必要かどうか、矯正治療を行う適切なタイミングかどうかを相談してみましょう。適切なタイミングで矯正治療を行うことができれば、理想の歯並びに近づきやすくなるだけでなく、お子さんが感じる治療の負担も軽減可能です。

もし、お子さんが「受け口」(下の前歯が上の前歯より前方に出る状態)であれば、早めに歯科医院へ相談していただくことをおすすめします。
受け口を改善するための矯正治療は、他の矯正治療と比べて難易度が高いです。早めに気づいて、適切なタイミングで矯正治療を始めることができれば、改善しやすくなります。3歳くらいになっても受け口が改善しない場合は、歯科医院に相談しましょう。

当院では「予防矯正」にも取り組んでいます!

歯並びの悪化の原因として、生まれつきの性質(遺伝などの先天的影響)、生まれた後に身についた性質(癖や習慣などの後天的影響)などが挙げられます。

生まれた後に身についた性質が及ぼす影響としては、口呼吸、ポカン口(口が常に開いている状態)、指しゃぶりなどのお口周りの癖、悪い姿勢(猫背)などがあります。
歯が生える位置は、唇や頬により外側からかかる圧力と、舌により内側からかかる圧力のバランスにより決まります。唇があいたままで、歯に外側からの圧力がかかりにくくなると出っ歯になりやすいです。

舌の正しい位置は、舌の先が上の前歯裏側の歯茎付近に接触しており、舌全体が上顎に吸着している状態です。しかし、舌が下がった状態だと「開咬」や「受け口」になりやすかったり、舌で前歯を押す癖などがあると、正常に生えた歯でも傾いてしまうことがあります。

「予防矯正」では、トレーニングにより舌や唇の筋肉を鍛えたり口呼吸を促すことで、これらの癖や習慣を早めに改善できるようにし、顎が正しく成長するようにします。
顎の成長と歯並びは大きく関係しているため、歯並びが改善しやすくなります。

予防矯正は乳歯の生えている幼少期から行うことができ、脱着可能な装置を使用するため、お子さんへの負担が軽減されやすいです。早いお子さんであれば、4歳くらいから矯正治療を始めることも可能です。

小さなお子さんでも矯正治療を受けやすいように、当院では、担当スタッフと一緒に矯正治療を進められるよう取り組んでいます。お口のトレーニングもお子さんに合わせて10分程度の内容になっているため、小さいお子さんでも取り組みやすいです。

お子さんの歯並びが気になる方は、ぜひ一度、当院にご来院ください。無料カウンセリングも行っていますので、お気軽にご利用いただければと思います。

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監修者:増岡尚哉

歯科医師・歯学博士(D.D.S. , Ph.D.)|マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置(製品名インビザライン 完成物薬機法対象外)の講師として歯科医師向けに講義・講演活動をしています。

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【矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について】

① 矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間~1、2 週間で慣れてきます。
② 歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。
③ 矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
④ 治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。
また、歯が動くと隠れていたむし歯があることが判明することもあります。
⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
⑧ 矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
⑨ 治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。
⑩ 治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。
⑪ 歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
⑫ 矯正歯科装置を誤飲する可能性があります。
⑬ 矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
⑭ 動的治療が終了し装置が外れた後に現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。
⑮ 動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや、咬み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。
⑯ あごの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。
⑰ 治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがあります。
⑱ 矯正歯科治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。

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