COLUMN

歯列矯正の基礎知識コラム

顎関節症の矯正効果と自宅でできるケア方法


食べ物を食べたりする際にあごに痛みを感じる顎関節症(がくかんせつしょう)。最近若い女性に急増している症状で、その原因もさまざまです。顎関節症とはどのようなもので、有効な治療法は何なのでしょうか。自宅でできるセルフケア方法とともに、症状別の治療法もご紹介します。

【目次】
1.顎関節症は矯正で治る?歯列矯正の効果
2.すぐに試せる顎関節症のセルフケア
  ・顎関節症の症状が強い時のセルフケア

  ・症状が落ち着いている時のセルフケア
3.顎関節症の予防法と受診する判断基準

顎関節症は矯正で治る?歯列矯正の効果

何かを食べたときに耳の付け根あたりが痛いと感じることや、口を開閉するときに関節の音がすることはありませんか?その症状、もしかすると顎関節症かもしれません。

顎関節症とは下あごを支えている関節が何らかの原因で機能しづらくなる症状です。顎関節症といってもあごだけの症状とは限りません。首の痛みや頭痛が起きることもあり、あごが原因とは気が付かずに、整形外科を受診する方もいらっしゃいます。

顎関節症になる原因として、関節や筋に負担がかかっていることが考えられます。歯の噛み合わせやストレス・食いしばり、事故による顎関節の損傷など、様々な要因によって負担がかかり、ご本人の持つ耐久力を超えることで症状が出ます。

矯正治療は、顎関節症の原因の一つである咬み合わせを改善する上で有効ですが、複合的な要因で症状を引き起こしていることがあります。まずは精密検査を行い、顎関節症の原因が噛み合わせ自体によるものかどうかを見極めることが賢明です。

すぐに試せる顎関節症のセルフケア

顎関節症で起こる症状を治すためには、患者さん自身によるセルフケアも重要だといわれています。軽度であればセルフケアだけでも症状が緩和することもあります。

セルフケアは、症状の程度によってケアの方法を変えていくのが効果的です。以下では、症状別のセルフケア方法について説明いたします。

顎関節症の症状が強い時のセルフケア

顎関節症の症状が強く現れている時、つまり何かを食べるなどしてあごを動かしているわけでもないのに痛みがある時は、どうすればよいでしょうか?

症状が強い間は、よく噛まなければ食べられないような硬いものを食べないようにします。フランスパンのように、一見軟らかそうでも噛み切りにくいものも不可です。調理時に果物や野菜は、なるべく小さめに切るようにしましょう。

症状が強い時は、とにかく顎に負担をかけないように気をつける必要があります。
例えば、あくびをすると急に口が大きく開いて、あごに過度の負担がかかります。とはいっても、無理に抑えるのは難しいものです。あくびをしたくなったら、下あごの下に手を添えて口が開きすぎないよう軽くおさえるとよいでしょう。

症状が落ち着いている時のセルフケア

食事など口を動かす以外痛みが治まってきたらマッサージもおすすめです。

痛みのある部分を指先で優しく円を描くようにマッサージしましょう。強くマッサージをするとあごに負担をかけてしまいますので、気持ちがよい程度にゆっくり優しくほぐすようにしてくださいね。

上記でご紹介したセルフケアは、あくまで痛みがひどくない場合に限られます。もしも痛みが増したら専門医に相談してから行ってください。

顎関節症の予防法と受診する判断基準

顎関節症は、無意識に行っている行動の積み重ねで症状が現れやすくなります。逆にいえば、そのような行為を改めるだけでも症状の改善につながります。顎関節症の予防法をいくつか紹介します。

・噛むときは左右偏らず、バランスよく噛むようにしましょう。
・頬杖をつく、うつぶせ寝、猫背などのクセも左右の傾きを生み、かみ合わせの悪さにつながる場合もあります。姿勢を正し、傾きを生むようなクセをなおすようこころがけましょう。
・食いしばるクセがあるなら、上下の歯を離すように常に意識します。
・歯ぎしりもやめるようにしましょう。就寝時の歯ぎしりは、マウスピースで改善される場合もあります。
・歯を食いしばることも顎関節症の原因となるので、お風呂や散歩などリラックスする時間を作るなどして、日ごろからストレスを溜めこまないようにしましょう。

噛み合わせが悪い、または虫歯や抜けている歯があるなら、歯の治療することも大切です。顎関節症の症状があり、受診するかどうか迷ったとき、あごの痛みやあごを開けにくさが2週間以上継続しているかどうかが、一つの判断基準となります。あごを動かすと音がするときや口の開き方に違和感があるときも、受診しておくと安心です。また、あごを動かさないのに痛みや腫れ、熱がある時は、早めに口腔外科を受診するようにしてください。

顎関節症の治療は、自分の症状がどのような原因から起きているのかを知った上で、日ごろからのセルフケアとともに適切な治療を行うことが大切です。もし、顎関節症が疑われる症状があり、どのような治療が受けられるのか知りたいのであれば、ぜひ当院の初診カウンセリングをご利用ください。





【矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について】

① 矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間~1、2 週間で慣れてきます。
② 歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。
③ 矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
④ 治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。
また、歯が動くと隠れていたむし歯があることが判明することもあります。
⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
⑧ 矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
⑨ 治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。
⑩ 治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。
⑪ 歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
⑫ 矯正歯科装置を誤飲する可能性があります。
⑬ 矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
⑭ 動的治療が終了し装置が外れた後に現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。
⑮ 動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや、咬み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。
⑯ あごの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。
⑰ 治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがあります。
⑱ 矯正歯科治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。