COLUMN

歯列矯正の基礎知識コラム

両親と両手を繋ぐ赤ちゃん

お子様の成長を追っていく中で、歯が生え変わり出すと気になり始めるのが「歯並び」です。
特に親御さんが矯正治療を経験されている場合「自分の子供も歯並びが悪くなるのでは…」とご心配されることが多く、よくご質問を頂きます。
結論からいいますと、お子様の歯並びにはご両親からの遺伝が関係してきます。だからといって、ご両親の歯並びが綺麗ならばお子様の歯並びも大丈夫…というわけではありません。
ここでは、歯並びが遺伝するケースや、その他の歯並びの悪化の原因についてご紹介していきます。

【目次】
1、歯並びと遺伝には関係がある?
2、歯並びに影響する生活習慣

歯並びと遺伝には関係がある?

お子様の容姿や体質は、ご両親からの遺伝的要因を基に形成されていきます。それは歯並びにおいても例外ではなく、ご両親の歯並びが悪いとお子様の歯並びも悪くなってしまう可能性があります。お子様の歯並びを見て、「自分が小さい頃の歯並びにそっくり」と親御さんが感じるほど似る場合もあるくらいです。

●親から子供へ遺伝する歯並びの例
お子様の歯並びは、ご両親の骨格、顎や歯のサイズなどに影響を受けることが多いです。

  • 受け口(骨格的に上顎が小さい、もしくは下顎が大きいなどの理由で上下の顎の骨のバランスに問題があり、下顎の方が前に出てしまう。)
  • 叢生※(歯の大きさと顎の大きさのバランスが悪いと、歯が生えてくるスペースがなくて重なってしまう。)

などがその例として挙げられます。
(※叢生は歯の生え変わりがうまくいかなかった、虫歯で乳歯を早くになくしてしまうなど後天的な原因で起こる場合もあります。)
万が一、ご両親のどちらかが小さい頃に上記のようなことで悩まれた場合は、早めに歯科を受診し、矯正治療を行うかどうかの相談をされた方が良いでしょう。

歯並びに影響する生活習慣

歯並びに遺伝が影響しているのなら、ご両親の歯並びが綺麗ならお子様の歯並びも問題ないだろう…と考えてしまいがちですが、実はそうではありません。
歯並びが悪くなる原因は、遺伝だけに限らないのです。
生活習慣や普段何気なくしてしまっている癖が原因で、後天的に歯並びを悪くしてしまうこともあります。

生活習慣チェックリスト

歯並びに影響を及ぼす生活習慣や癖として

  • 指しゃぶり
  • 爪、唇を噛む
  • 舌を前に出す
  • 柔らかいものばかり食べることで噛む回数が少ない
  • 口呼吸

などが挙げられます。あなたのお子様は、このようなことを行なってしまっていませんか?

例えば、指しゃぶりや舌を前に出したり爪を噛んだりする癖は、上顎前突(いわゆる出っ歯)や開咬(奥歯は噛んでいるのに前歯が噛み合わずに開いている状態。オープンバイト)などの原因になります。
また、近年たくさん噛まなくても食べられるものが増え、柔らかいものを口にすることが多くなってきました。それによって噛む回数が減ると、顎の骨の成長に影響したり舌や口の周りの筋肉を鍛えにくくなったりして口呼吸の習慣がついてしまう可能性があります。

口呼吸は口の中が乾燥することで菌が繁殖しやすく、虫歯の原因になります。乳歯のうちに虫歯が悪化して自然な生え変わりよりも早く歯を失うことになると、永久歯の歯並びに悪影響を及ぼします。
また、口呼吸によって常に口を開けている状態が続くと、口周辺や舌の筋力が衰え「アデノイド顔貌」という特徴的な顔つき(面長、下顎が引っ込む、口元にしまりがなくなるなど)になりやすいといわれています。アデノイド顔貌が悪化すると顔全体の骨格に歪みが出て、歯並びの悪化や噛み合わせのバランスが崩れるといった症状を引き起こしてしまいます。

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子供の日常習慣を改善するヒント

痛みなどの症状を訴えるようなことは気づきやすいですが、何気なく行われてしまうものはつい見落としてしまいがちです。
遺伝が原因の歯並びは矯正治療をするほかありませんが、せっかく綺麗になりそうな歯並びを後天的なことが原因で悪化させてしまわないように、まずはお子様の生活習慣や癖を注視してあげてください。日頃の積み重ねによって防げることがあるかもしれません。

例えば指しゃぶりは、舐めると苦い味のするマニキュアを指に塗ったり、口呼吸は口周りの筋肉を鍛えるためによく噛んだりすることで改善されることもあります。(硬いものを噛むというよりは、たくさん噛むというイメージです。)
それでも歯並びの悪化が懸念されるようでしたら、早めに歯科医師に相談してください。矯正治療が必要か、また、必要ならばいつ頃かなどの診断を受けましょう。
近年メジャーになってきているインビザラインは、小学生のお子様でも始められる矯正治療です。従来のワイヤー矯正に比べ痛みを感じにくく、日常生活への負担も少なく済みます。

歯並びが悪くなる原因が何なのかを早めに突き止めてそれに対処し、お子様のお口の中を是非守ってあげてください。





【矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について】

① 矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間~1、2 週間で慣れてきます。
② 歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。
③ 矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
④ 治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。
また、歯が動くと隠れていたむし歯があることが判明することもあります。
⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
⑧ 矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
⑨ 治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。
⑩ 治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。
⑪ 歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
⑫ 矯正歯科装置を誤飲する可能性があります。
⑬ 矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
⑭ 動的治療が終了し装置が外れた後に現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。
⑮ 動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや、咬み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。
⑯ あごの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。
⑰ 治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがあります。
⑱ 矯正歯科治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。