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歯列矯正の基礎知識コラム

歯が痛いのは噛み合わせが原因?違和感を抱いている人へ


噛み合わせが悪いと歯に痛みが生じるのみならず、身体に様々な不調をきたす可能性があることをご存じでしたか?噛み合わせは、歯やあごだけでなく身体全体に影響を及ぼします。この記事では、歯の噛み合わせが悪いことで身体にどんな悪影響があるか、ご説明します。

【目次】
1.噛み合わせが悪いとはどんな状態?
2.痛いだけではない噛み合わせによる影響
  ・あごや歯への影響
  ・体全身への影響

噛み合わせが悪いとはどんな状態?

噛み合わせが悪い状態について触れる前提として、どういう状態が「噛み合わせが良い」というのか簡単に見ておきましょう。一口に噛み合わせが悪いといっても、噛み合わせが正常でない状態全てを指すので、その種類はたくさんあるからです。

噛み合わせが良い状態とは、以下の状態を指します。

  • 前歯の中心が上下で揃っている(正中線が一致している)
  • 1本の歯が、2本の歯で支えられている(山と谷のように交互に噛み合っている)
  • 前歯が、上下・前後にそれぞれ2~3mmの範囲で重なっている

逆にそうでない状態を「噛み合わせが悪い」というわけです。上顎と下顎のずれ、歯ならびの乱れなどによって咬み合わせが得られない状態を「不正咬合」と言います。不正咬合は大きくわけて、以下のようなものが挙げられます。

【上顎前突】
「じょうがくぜんとつ」と読みます。下に比べ上の前歯が大きく前へせり出している状態です。俗に「出っ歯」と呼ばれることもあります。

【叢生】
「そうせい」と読みます。歯並びが整っておらずデコボコな状態のことです。歯と顎の大きさのバランスが良くない場合に、「叢生」となります。犬歯が前に突き出した「八重歯」も、叢生の一種です。

【反対咬合】
「はんたいこうごう」と読みます。上の前歯に比べ、下の前歯が前に突き出した状態です。反対咬合のことを、「受け口」とも呼びます。

【上下顎前突】
「じょうげがくぜんとつ」と読みます。上下の前歯が両方ともせり出した状態を指します。

【開咬】
「かいこう」と読みます。奥歯を噛み合わせているにもかかわらず、上下の前歯の間に隙間が生じる状態です。

【過蓋咬合】
「かがいこうごう」と読みます。奥歯を噛み合わせたときに、上の前歯が下の前歯を覆い隠すような状態を指します。

【交叉咬合】
「こうさこうごう」と読みます。奥歯を噛み合わせると、上の奥歯が下の奥歯よりも少しだけ外側へせり出すのが一般的です。それに対して交叉咬合では、下の奥歯が上の奥歯より外側へせり出します。左右両方の奥歯が外側となるケースのほか、左右いずれか一方のみ、一部分だけが外側へ出る場合もあります。

【空隙歯列】
「くうげきしれつ」と読みます。歯と歯の間に、すき間がある状態のことです。一般的には「すきっ歯」と呼ばれるというと、分かりやすいかもしれません。

では、歯並びが悪くなってしまうのは、なぜでしょうか。

原因として考えられるのは、顎の大きさなど遺伝な要因はもちろん、習癖も歯並びに影響を与えます。習癖とは、幼い頃の指しゃぶりや、歯ぎしりや頬杖のようなものを指します。歯に何らかの圧力を与える行動によって、噛み合わせが悪くなることも少なくありません。最初はほんのわずかなずれですが、積み重なることによって大きなずれにつながるのです。

その他、歯が抜けたままにしていたり虫歯をそのままにしておいたりするのも、歯の噛み合わせに悪影響を及ぼします。正常な他の歯がバランスを保とうとして、結果的に噛み合わせを悪くしてしまうわけです。

痛いだけではない噛み合わせによる影響

それでは歯の噛み合わせが悪いことで、どんな影響があるでしょうか。あごや歯はもちろんのこと、実はその他の身体の部分にも影響します。また、具体的な症状に関しても「噛むと痛い」というだけではなく、様々なものが考えられます。以下では、あごと歯に対する影響、身体全身への影響にわけて解説します。ここで紹介する症状に当てはまる方は、歯科医へ相談することをおすすめします。

あごや歯への影響

歯の噛み合わせが原因の1つとして考えられる主な病気として、よく挙げられるのが「顎関節症(がくかんせつしょう)」です。顎関節症になると、あごの動作に関連する顎関節や咀嚼筋に痛みが生じたり、あごを動かすときに音が鳴ったりします。それにより、硬いものや大きいものが食べにくくなったり、そもそも口が開きにくくなったりするのです。

また特定の歯の負担が大きくなることですり減って痛んだり、知覚過敏になって冷たいものがしみたりするといった影響も考えられます。噛み合わせが悪いことで、ものを食べたときに歯の間に詰まりやすくなるのも、よくいわれる影響の1つです。

身体全身への影響

歯の噛み合わせの問題は、口だけでなく身体全身に影響することがあります。歯の噛み合わせが悪いことによって身体全体の筋肉の均衡がくずれてゆがみが生じ、様々な症状を引き起こす可能性が指摘されているのです。

たとえば、口やあごの筋肉のゆがみが身体のいろいろな箇所の不調につながることもあります。また姿勢が悪くなったり、よく噛まずにものを食べるようになって消化器官への負担となったりする点にも注意が必要です。さらに噛む力が落ちることで、脳への刺激が少なくなるために認知症への影響も懸念されています。

このように歯の噛み合わせは口の中にとどまらず、身体のいたるところに多くの悪影響を及ぼす可能性があるため、心当たりのある方は一度専門医にみてもらうことをおすすめします。

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