COLUMN

歯列矯正の基礎知識コラム

【監修:歯科医師 / 矯正指導医 増岡尚哉】



歯並びは良い方でも、口元の突出感、いわゆる「口ゴボ」にお悩みの方も多くいらっしゃいます。実は、綺麗な歯並びであることと横顔が綺麗であることは必ずしも一致しません。口ゴボになる原因はいろいろとあります。今回は、その原因は何か?治療方法はどんなものなのかをご紹介します。

【目次】
1、歯並びが良いのに口ゴボ?考えられる原因
2、あなたはどのタイプ?口ゴボの原因のセルフチェック
3、見た目だけでは判断できない口ゴボの真相
4、口ゴボの原因別の治療方法
 ・下顎が小さい「上顎前突症」
 ・ 上下両方の顎が出ている「上下顎前突症」
 ・ 顎の軟組織が少なく下顎がはっきりしない
5、インビザラインは非抜歯で済むケースも多い

歯並びが良いのに口ゴボ?考えられる原因

遺伝、指しゃぶり、口呼吸、唇をかむ癖がある、舌の癖・・・原因はいくつかあります。

遺伝のように引き継いだものは防ぐことは出来ませんが、指しゃぶり、口呼吸など習癖を早いうちに改善できることもあります。

長期間続いてしまうと下記のような状態を引き起こしてしまう可能性があります。

  1. 顎の骨が前に出ている
  2. 全体的に歯が前に倒れている
  3. 顎の軟組織のボリュームが少ない

あなたはどのタイプ?口ゴボの原因のセルフチェック

鏡で自分の顔を見るとき、正面顔を見ることがほとんどです。

しかし正面顔より横顔のほうが、他人から見られていることが圧倒的に多いのです。

そしてこの横顔の印象に大きく関係するのが「口元」です。

自分がどのタイプなのか?セルフチェックをしていく方法があります。

1    口を閉じるだけで簡単にチェック!
口をそっと閉じたとき、下唇のところに深い溝ができ、下顎の先に梅干し状のシワができようなら出っ歯の可能性が大きいです。


2    人差し指でチェック!
「鼻の頭」と「下顎の先」を人差し指でそっとあてた際、鼻先と下顎を結ぶ線に、唇が触れるか触れないかくらいの状態がバランスの取れているという状態といえます。
そのため、人差し指をあてた時に口唇が押しつぶさせる状態であれば「口元はかなりでている」もしくは「出っ歯である」ことがわかります。


3    写真でチェック!
上の2つの条件にご自身の口元が当てはまる場合は、家族の方などに頼んで、横顔の写真を実際にとってみてください。
その際、気を付けていただきたいのは。きちんと、真横から撮影をすること!
角度がついてしまったりすると正確に確認することができなくなってしまいます。
少し外側から撮影してしまうと、鼻や顎先が見えにくくなり、前方から撮影してしまうと平面の画像になってしまい、顔の凹凸が確認できなくなってしまいます。

見た目だけでは判断できない口ゴボの真相

セルフチェックだけでは十分な原因を探ることは出来ません。

矯正治療を行なっていくためには診断が必要ですが、その際に必要なのが「セファロ分析」です。

セファロ分析とは、主に矯正治療の際に行う特殊なレントゲン分析です。歯の状態だけでなく、顎や骨格の位置情報を確認することができます。

当院ではセファロ分析ももちろん行っております。その他にも歯科用CT、デンタルレントゲンなど全ての検査を行ったうえで理想となる歯並びを導き出しております。

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口ゴボの原因別の治療方法

 下顎が小さい「上顎前突症」

上顎前突の原因は、長期間の指しゃぶりや食事をするときなどの飲み込むときの舌の動きや、舌で前歯を押す癖、下唇などを噛む癖が原因とされています。

他には、扁桃腺の肥大や、口呼吸も原因と言われています。

治療方法としては、

・成長期の子どもの場合は

2段階の治療をしていきます。

第1期では上顎の過剰成長や下顎の成長不足に対しての治療をしていきます。第2期では、ブラケット装置やマウスピース矯正を用いて上下の噛み合わせを調整してきます。

・成人の場合

ブラケット装置やマウスピース矯正で上顎の前歯を後ろに下げる為のスペースをつくり移動させていきます。そのため、抜歯を行うことが治療方針として出てくるケースがあります。

上下両方の顎が出ている「上下顎前突症」

口元が全体に前に突出している状態です。原因は口呼吸をしている、顎の骨に奥行きがある、遺伝などがあげられます。

治療法としては口元がどのくらい突出しているかにもよりますが、口元をあまり気にしたい方や歯を抜く事に抵抗がある場合は、歯列を広げ、矯正用のアンカーを併用し移動させていくことができます。

基本的には抜糸を行い、矯正用アンカーを使用してできた隙間に向けて後ろへ移動させて改善していきます。状況によっては外科的矯正治療を行う場合もあります。

顎の軟組織が少なく下顎がはっきりしない

遺伝的な影響や幼児期の指しゃぶり、舌の突出する癖など習癖が原因と言われています。

口元が出ているわけではないのに横顔の印象は出っ歯のようにみえてしまいます。

このような場合は矯正治療だけでは改善することは難しいといえるでしょう。外科的な治療を併用し下顎の先端を整えることが必要です。

インビザラインは非抜歯で済むケースも多い

インビザラインは基本的に抜歯をしないケースを得意としていると言われています。

インビザラインはワイヤー矯正では難しかった奥歯の移動や一歯単位の細かな移動ができるため、抜歯をしなくてもスペースを作り出すことができるからです。

ただし、口元の突出感の改善を希望される場合には、抜歯をした方が希望さえるゴールに近づくケースもあります。

どのような方法があなたにとって最善なのかは、お口の中を拝見し、実際に詳しくヒアリングをさせていただくことでより具体的に分かります。

当院では矯正をご検討中のすべての方に、無料のカウンセリングを行っております。あなたの歯並びやかみ合わせ、口元の印象がどのように変わるのか、ぜひカウンセリングでお話させていただければと思います。





【矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について】

① 矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間~1、2 週間で慣れてきます。
② 歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。
③ 矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
④ 治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。
また、歯が動くと隠れていたむし歯があることが判明することもあります。
⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
⑧ 矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
⑨ 治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。
⑩ 治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。
⑪ 歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
⑫ 矯正歯科装置を誤飲する可能性があります。
⑬ 矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
⑭ 動的治療が終了し装置が外れた後に現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。
⑮ 動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや、咬み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。
⑯ あごの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。
⑰ 治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがあります。
⑱ 矯正歯科治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。