歯周病があっても矯正できる?矯正医が解説
大人でも歯並びや噛み合わせが気になる方は多くいらっしゃいます。
大人矯正の場合、特に気を付けたいのが歯周病です。
歯周病と矯正治療は一見関係がないと感じるかもしれませんが実はとても深い関係があります。歯周病でも矯正治療ができるのか?詳しくお話していきます。
【目次】
1、日本人の約7割が罹患する歯周病とは?
・なぜ歯周病になるのか?
2、歯周病の改善策にもなる矯正治療
3、歯周病があっても矯正できる?
4、歯周病がある場合の治療法
・基本となる治療
・ひどい場合は外科的手術や抜歯、インプラントも
・治療後の矯正開始時期は?
5、矯正中は歯周病になりやすい?
・矯正中に歯周病を予防するための方法
6、歯周病に悩んでいる方にこそおすすめしたいインビザライン
日本人の約7割が罹患する歯周病とは?
歯周病とは、お口の汚れ「プラーク」の中にある細菌が溜まることで歯の周りの歯肉が炎症を起こし、症状が進行すると歯の周りを支えている骨にまで影響を及ぼす病気です。
初期はプラークが歯と歯の周りに付着したままになることで歯肉が腫れて出血します。中等度では歯肉の腫れ、出血に加えて歯周ポケットと呼ばれる歯と歯肉の境目が深くなって細菌が入りやすくなります。
歯周ポケットの奥深く骨にまで細菌が入り込んだ重度になると、骨が溶けていき歯を支えられなくなりやがて歯が抜けてしまう恐れのある病気です。
自分では気づきにくいので、気が付いたときには症状が進んでいたという人が多いようです。
日本人の約7割が歯周病に罹患していて、歯を失う原因の第1位がこの歯周病と言われています。
なぜ歯周病になるのか?
歯周病になる一番の原因は、歯の周りに汚れ(プラーク)が溜まっている・落とし切れていないことです。
歯磨きが不十分だと、白いネバネバしたプラークが歯や歯の境目に付着して溜まります。
プラークには500種類以上の細菌が存在し、プラーク1mgの中には1億個以上の細菌がいると言われています。
そのプラークが溜まったままだとプラークが出す毒素によって歯肉が炎症を起こします。
炎症を起こした歯肉はブヨブヨに腫れて歯と歯肉に隙間ができ、さらにプラークが入りやすく留まりやすくなり、歯を支えている骨にまで細菌が入り込むことで炎症が及び歯周病が進行します。
歯周病の改善策にもなる矯正治療
歯周病になる原因の1つに歯並びが悪いことが挙げられます。
歯並びが悪いと汚れが溜まりやすく磨きにくいので、プラークが増えて歯周病になりやすくなります。
ガタガタしている歯並びだと食べ物が詰まったり引っかかったりしやすく、歯ブラシの他にフロスや歯間ブラシなどを使用してもきれいに磨くのが難しい場合があります。
矯正治療によって歯並びが整えられると、食べ物の詰まりや引っ掛かりが少なくなり歯磨きもしやすくなります。
プラークコントロールがしやすいお口の環境となるので歯周病そのものや歯周病の悪化を防ぐことが期待できます。
また、歯並びが整えられると噛み合わせも良くなるのでしっかり噛めるようになり、胃腸の負担も軽減され全身にもいい影響が与えられます。
歯周病があっても矯正できる?
歯科矯正で歯を動かすメカニズムは、矯正装置の力によって歯の根っこの「歯根膜」に負荷がかかり、力が加わって押される方向は歯根膜が伸び反対側は縮むようになっています。
同時に歯の周りの骨を壊しながら動き、歯が動いた後方の骨を作りながら移動していきます。
これらの動きを繰り返しながら歯は動いていきますが、歯周病のままだと歯周病の細菌が歯の動く時にできる隙間に入り込み歯周病の症状がどんどん悪化してしまう恐れがあります。
また、歯周病が進行していると、歯の動きが速くなるばかりか歯を支える骨が作られないままとなり歯がグラグラ動いて抜けてしまう恐れもあります。
矯正治療を始めたくても歯周病の状態では治療を開始することはできないのです。
歯周病がある場合の治療法
矯正治療を開始する前に、歯周病の治療を行って口腔内の歯周病の原因となる細菌を減少させて歯や骨の状態を安定させることが優先されます。
歯周病基本治療を行ってそれでも取り除けない奥深く潜んでいる汚れには外科手術を伴うこともあります。
基本となる治療
歯周病の基本となる治療は、歯や歯根に付着しているプラークや歯石、重度の場合は膿などの毒素を取り除くことです。
歯科医院での治療と毎日のご自身でする歯磨きの両方でお口の中の環境を守ることが大切です。
【歯科医院でのプロフェッショナルケア】
機械あるいは手動の器具で歯の表面や歯周ポケットの入り口に付着しているプラークや歯石を取り除くスケーリングを行い、歯の表面を磨いて汚れを付きにくくします。
4mm以上のポケットが深い場合はスケーリングに加えてルートプレーニングという歯周ポケット内の歯根に付着している歯石を取り除き、根面を磨いて滑らかにして歯石が付きにくくします。
【歯磨きのポイント】
歯ブラシの毛先の向き
歯と歯肉の境目に毛先が当たるように真横よりも境目に向かって斜めに歯ブラシを当てます。
歯ブラシの動かし方
大きくゴシゴシするのではなく、小刻みに動かします。歯を1本1本磨くイメージです。
力の入れ方
力を入れすぎると毛先が逃げてしまうので、力を入れすぎずに毛先がまっすぐ当たるようにします。また力を入れすぎると歯肉を傷付けたり、歯と歯の境目が削れて歯が染みる原因になります。
磨くタイミング
毎食後磨くことが理想ですが、特に夜寝る前は丁寧に磨くと歯周病予防に効果的です。
ひどい場合は外科的手術や抜歯、インプラントも
歯周基本治療を行っても歯周ポケットの深さが深いまま改善が見られない場合、外科的手術によってプラークや歯石、溜まった毒素を取り除いて改善を行います。
歯周外科手術は大きく分けて2つあります。
フラップ手術(歯肉剥離掻把術)
歯肉を切開して歯根が見える状態にします。深く付着した歯石や病巣を取り除いたあと表面を磨き、切開した歯肉を縫合します。この処置によって歯肉が骨に付着する
歯周組織再生療法
外科的手術をしても歯を支える骨が減少している場合は、歯肉や歯槽骨が再生するように特殊な薬剤や材料を使って治療を行います。
それでも改善が見られず、歯を支えられずグラグラしてしまう歯は抜歯になる可能性があります。抜歯をして歯周組織が改善されると、インプラントの治療をすることもできます。
治療後の矯正開始時期は?
前述の通り、歯周病のまま矯正治療を開始すると矯正の力で歯が動く時に歯周病が悪化することが考えられ、開始時期は歯周病治療を行うかかりつけ歯科医院の担当医師と連携して判断します。
矯正治療を開始するには、歯周病の基本治療を終えてお口の中全体の炎症が改善され歯肉が落ち着いた状態が続くことが基本となります。
また、毎日の歯磨きなどのセルフケアで口腔内を清潔に保つことと、歯科医院でのプロフェッショナルケアでプラークコントロールが定着してから始めることが望ましいです。
矯正中は歯周病になりやすい?
矯正治療をしているからといって必ずしも歯周病になるわけではありません。
矯正治療中は、矯正装置やマウスピースを使用するなどお口の中に何らかの装置や器具が長時間入ります。それによって歯周病になるリスクが普段よりも高くなる可能性があります。
- ワイヤーやブラケットが歯の表面に装着されると歯磨きがしにくくなる
- マスピース矯正の場合、食後の歯磨きができないままマウスピースを装着してしまう
- マウスピース自体の洗浄が十分にできていない
- 疲労やストレス、喫煙などの歯周病に悪影響のある生活習慣をしている
- 間違ったブラッシングで汚れが溜まる、歯肉が傷ついている
- 歯科医院で定期的な検診やクリーニングを受けていない
このように矯正治療中は治療をしていない時よりも気を付けるポイントが多くあります。
毎食後、正しい方法でブラッシングやマウスピースの管理を行い、十分な睡眠や禁煙をするなどの生活習慣に気を付ける必要があります。
矯正中に歯周病を予防するための方法
ワイヤー矯正の場合
歯の表面にブラケットといわれる器具やワイヤーが装着されると、食べ物が引っかかりやすく歯ブラシだけでは汚れを落とすことが難しい場合があります。歯ブラシ以外にも歯間ブラシやワンタフトなどの補助器具を使用してブラッシングをします。
マウスピース矯正の場合
マウスピースは取り外しができるので、毎食後の歯磨きをして、歯の汚れを十分に落とすことが大切です。歯磨きのタイミングでマウスピースの洗浄も十分に行う必要があります。
気になるときは歯科医院でしっかりチェックをしてもらいましょう。自分ではうまく磨けていると思っていても汚れが落とし切れていない場合も多くあります。プロフェッショナルケアでクリーニングをしてもらうことも歯周病を防ぐには有効な方法です。
歯周病に悩んでいる方にこそおすすめしたいインビザライン
歯の表面に装置が取り付けられるワイヤー矯正は歯磨きがしにくいことに比べて、マウスピースの取り外しができていつも通りの歯磨きができることはインビザラインのメリットです。
歯周病のお悩みを持たれている方にインビザラインは最適な治療方法です。
インビザラインで矯正中の歯周病を防ぐには、食後や水以外の飲み物を飲んだ後には歯磨きをすることが大事なポイントとなります。
正しい歯磨き方法をしっかり身に付けて歯周病を防ぐことで安心してインビザラインの治療を進め、理想の歯並びを手に入れることができます。
当院の矯正無料相談では矯正治療に関するあらゆるご相談にお答えしております。
当院ではしっかりと問診した上で治療計画を立て、丁寧な事前説明を行うように心がけていますのでリラックスしてお越しください。
また、来院診察以外にも無料メール相談からもご相談いただくことが可能です。
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それではあなたからのご相談をお待ちしております。