COLUMN

歯列矯正の基礎知識コラム

【監修:増岡尚哉】


矯正治療は数ヶ月~数年かけて理想の歯並びに整える治療です。

「歯が動きやすい人」「歯が動かない人」がいる中で治療期間や治療方法には個人差があり人によって様々です。

「歯が動かない」とはどういう状態でしょうか。詳しくお話していきます。

【目次】
1、歯列矯正できないと考えられる理由
2、歯列矯正が難しいと言われる代表的な症例
  ①歯の根っこ部分と骨が癒着している(アンキローシス)
  ②歯槽骨がない、重度の歯周病である
  ③骨格的に問題がある
3、歯科医から「矯正できない」と言われたら?
4、当院ではセカンドオピニオンのご相談も受け付けています

歯列矯正できないと考えられる理由

歯列矯正で歯を動かす代表的な治療方法は、ワイヤーの力を使って動かす方法や、マウスピースを装着して動かす方法があります。そのような方法を使っても歯が動かないとなると多くの場合、矯正治療は進まない、あるいは治療自体が難しいことがあります。

歯が動かない原因には「アンキローシス」という歯根と骨が癒着している場合や、重度の歯周病で骨が溶けてなくなっている場合などが考えられます。

これらの症例を詳しく解説します。

歯列矯正が難しいと言われる代表的な症例

①歯の根っこ部分と骨が癒着している(アンキローシス)

「アンキローシス」とは何らかの原因で歯根膜が失われ、歯の根っこと歯を支えている骨が直接繋がっている状態を言います。

多くの場合、転倒したり物にぶつかったり、スポーツなどで顔面にボールや人が当たることで、歯に強い衝撃が加わわり歯根膜はダメージを受けて壊され、歯の根っこと骨がくっついてしまいます。

アンキローシスになった場合、骨の中で起こっていることなので目で見える範囲では見分けがつきにくく、痛みや違和感もほとんどないため気付かないことが多いです。

乳歯でアンキローシスが起こると、次に生えてくる永久歯に大きな影響を与えることがあります。アンキローシスの乳歯は骨とくっついていることで生え変わるための動きが悪くなり、乳歯の下で生えるのを待っている永久歯はなかなか生え変われないことがあります。そうなると歯並びやかみ合わせにも影響が出てきます。

また、乳歯を何かにぶつけたことが原因で、後続の永久歯がアンキローシスになることもあります。

歯と骨がくっついているアンキローシスの歯があると、歯列矯正をしても1本だけ動かない歯がある、という現象が起こることが考えられます。

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②歯槽骨がない、重度の歯周病である

毎日の歯磨きが不十分だと歯に汚れが付いたままになります。歯と歯茎の境目にプラークが溜まると歯肉が赤く腫れて出血してきます。その状態が続くと歯周病菌が歯と骨の隙間に入り込んでいき、悪化すると歯を支えている骨が溶けて出血や膿が出たりします。

これを歯周病といい、成人の80%以上の人が歯周病になっていると言われています。

矯正治療は歯に力をかけて歯を動かす時、歯と骨の間に隙間ができ健康な口腔内であれば、その隙間は骨が再生されていきます。しかし歯周病の治療をしないまま矯正治療を開始すると歯の根っこと骨の間に空いた隙間に歯周病菌が入りこみ、健康な歯周組織が歯周病になってしまいます。

つまり矯正治療が進むたびに歯周病がどんどん悪化してしまうことになります。歯周病が進むと歯を支えている歯槽骨は溶けてなくなり、歯並びを整える以前に歯が抜けてしまうリスクが高くなります。

矯正治療を行う前には必ず歯周病の検査と治療が必要と言えます。

③骨格的に問題がある

歯並びが悪くなる原因の一つに骨格があります。

歯列矯正によってお口全体の歯並びを整えることで改善される場合と、重度の叢生や上顎前突になると外科手術を組み合わせて歯列矯正を行う場合があります。

【叢生】
下の顎が小さいために下の歯がきれいに並べずガタガタしたり重なって生えている状態を言います。叢生の程度が軽い場合は歯と歯の間を削って隙間を開けて並べることができますが、重度になると歯が並ぶスペースを確保するために抜歯をする必要があります。

【上顎前突・下顎前突】
上の顎が前に大きく突き出る「上顎前突」や下の顎が前に大きく突き出る「下顎前突」の場合はそれぞれの顎が大きく成長したことで突き出ます。子供の成長期であれば、顎の成長を抑える治療を併用して歯並びを整えることができますが、成長しきった大人では、外科手術によって骨を切ったあと矯正治療をする場合があります。

【開咬】
奥歯でカチッとかみ合わせても前歯に隙間ができて、上下の歯がかみ合わない状態を「開咬」といいます。開咬は前歯の傾きや並びを整えるだけで改善できる場合から、顎の骨を外科手術によって整える「形成手術」を行い、矯正治療を併用して行う場合があります。

歯科医から「矯正できない」と言われたら?

矯正治療がしたいのに「矯正ができない」と言われたら諦めるしかないのでしょうか。

まずはセカンドオピニオンを受けることが大切です。

矯正専門医のいる歯科医院でご自身の歯の状態や受けた治療説明をお話ください。客観的にお口の状態を診断し、受けられた治療内容の説明について分析、他の検査や治療方法がないかを中立的な立場で検討してもらえます。

検査は口腔内のスキャンだけではなく、セファロと言われるレントゲン撮影や、3次元的に口腔内を撮影できるCT撮影を行うことで、多角的な分析をして治療方法を検討することができます。診断する先生によって得意不得意があるので、これらの検査をしても治療方法が変わることもあります。万が一同じ診断となってもその治療で間違いない、と納得できるのではないでしょうか。

当院ではセカンドオピニオンのご相談も受け付けています

「矯正治療ができない」と言われた方でもご安心ください。

当院では矯正認定医がおり、セカンドオピニオンのご相談を受け付けております。


セファロ撮影や口腔内のスキャンはもちろん、3次元CT撮影装置も設置しており、2次元・3次元での検査・分析を多角的に行うことができるので、矯正治療が「できる・できない」をしっかりと判断します。

「矯正治療ができない」を諦めず、一度当院にお気軽にご相談ください。

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