最近では、お子さんのお口のことに関心を持たれている親御さんが多くいらっしゃいます。
「うちの子、口呼吸なんですけど大丈夫なんですか?」
「口呼吸を治す方法ってありますか?」
など、親御さんからお口に関する質問を頂くことが増えました。
結論から言いますと、口呼吸は将来の歯並びや咬み合わせ、嚥下・咀嚼・発音機能などの悪化に繋がることがあります。自然には治りにくいので、意識的に改善することが大切です。
今回は、「口呼吸が歯並びに及ぼす影響」「口呼吸がお口の機能に及ぼす影響」「口呼吸改善対策5つ」などについてお伝えします。

【目次】
1.口呼吸の習慣化は歯並び悪化のリスクを高めます
2.口呼吸が歯並びに及ぼす影響
 2-1 出っ歯(上顎前突)
 2-2 受け口(反対咬合)
 2-3 開咬(かいこう)
 2-4 叢生(そうせい)
3.口呼吸がお口の機能や審美面に及ぼす影響
 3-1 顔の印象の変化
 3-2 口腔環境の変化
 3-3 口臭の悪化
4.口呼吸改善対策について5つご紹介
 4-1 「あいうべ体操」で口周りの筋肉を鍛える
 4-2 テープで口が開かないようにする
 4-3 鼻づまりがある場合は耳鼻科を受診する
 4-4 歯科医院で専門的なトレーニングを受ける
 4-5 歯科医院で矯正治療を行う
5.お子さんの口呼吸にお悩みなら当院へご相談を

口呼吸の習慣化は歯並び悪化のリスクを高めます

口呼吸は歯並びの悪化を引き起こす確率が高いです。歯が生える位置は、歯の内側から舌が押す力と、唇や頬などの筋肉で外側から押す力のバランスで決まります。口呼吸をしていると、唇が開いたままになったり、舌が正常な位置より低くなったりすることでバランスが崩れ、歯並びが悪化してしまいます。

歯並びには「舌が正しい位置にあるかどうか」が深く関係しています。。舌の正しい位置とは、「舌の先端が上の前歯の裏側の根元の歯茎付近(スポット)に接触しており、舌全体が上顎に吸着している状態」です。
舌の位置が下がっていると、上の歯が内側から押されないため、歯が並ぶアーチが広がりにくく狭くなります。そうすると、歯が生えるスペースが確保されず、歯と歯が重なって生えたり(叢生)、下顎が前に出たり(受け口)、上下の歯の間に隙間ができる(開咬)などの悪影響が生じやすいです。
また、口呼吸で唇が開いたままになっていると、唇の力が前歯にかからず前歯が前方に出る(出っ歯)こともあります。

口呼吸が歯並びに及ぼす影響

口呼吸と関連が深い具体的な歯並び「出っ歯」「受け口」「開咬」「叢生」について、また、その原因について解説します。

出っ歯(上顎前突)

出っ歯とは、奥歯を咬んだ状態で上の前歯が下の前歯より4mm以上前方に出ている状態のことです。専門用語では上顎前突(じょうがくぜんとつ)とも言います。

口呼吸が習慣になっていると、唇が常に開いた状態になるので、前歯に唇の力がかかりにくくなります。そうすると、前歯に外側からの圧力がかからず、舌による内側からの圧力のみかかるので、前歯が前方に傾斜して出っ歯になりやすいです。

受け口(反対咬合)

受け口とは、奥歯を咬み合わせた時に、上の前歯よりも下の前歯が前方に出ている状態のことです。専門用語では、反対咬合や下顎前突(かがくぜんとつ)と言います。

口呼吸が習慣化すると、舌の位置が下がりやすく、下がった舌によって下の前歯が内側から前方へ押されます。そうすると、上の前歯より下の前歯が前方に出て、受け口になりやすいです。

また、舌が下がることで吸い込んだ空気の通り道(気道)が狭くなるため、その気道を広げるために下顎を前に出して呼吸する癖がついてしまうことも受け口になる原因の1つと考えられています。

開咬(かいこう)

開咬とは、奥歯を咬み合わせたときに上下の前歯の間に隙間ができている状態を言います。

口呼吸が習慣になっていると、舌の位置が下がりやすいです。舌の位置が上下の前歯の間にあると、前歯が内側から舌で押され前方と上方に傾くことで、上下の前歯の間に隙間ができ、咬み合わなくなります。

開咬になると前歯で食べ物を噛み切ることが難しくなります。

叢生(そうせい)

叢生とは、歯の生える位置がずれることによって歯が並ぶアーチがデコボコになっている状態のことです。別名、乱ぐい歯と呼ばれることもあります。八重歯も叢生に分類されます。

本来、舌は上顎に吸着しており、上顎を外側に押す力によりその成長を促す働きもあります。口呼吸で舌が下がっていると、上顎の発達がうまく進まず、歯が並ぶアーチが狭くなる傾向があります。そうすると、歯が生えるスペースが確保されにくく、歯と歯が重なったり、歯が傾いて生えたりすることで叢生を引き起こしやすいです。

口呼吸がお口の機能や審美面に及ぼす影響

口呼吸は歯並び以外にも「顔の印象の変化」「口腔環境の変化」「口臭の悪化」などの影響を及ぼします。わかりやすく解説していきます。

顔の印象の変化

◆シワやタルミの原因になる
口が常に開いている状態だと、口元に力が入らずお口周りの筋肉(口輪筋)が鍛えられません。そうすると、ほうれい線などのシワやタルミ、二重あご、口元のゆるみに繋がることがあります。

◆下顎が下がる
口呼吸で口が常に開いた状態になっていると、下顎が後方に下がりやすくなり、顎のラインがわかりにくい「アデノイド顔貌」になることがあります。横顔のEラインのバランスにも悪影響を及ぼします。

口腔環境の変化

◆唾液の機能低下
唾液には自浄作用といって、口の中を循環することで汚れを洗い流す機能があります。口呼吸が習慣になっていると、口が渇いてしまい唾液の循環が悪くなります。そうすると、お口の中の汚れがたまりやすくなり、口腔環境の悪化に繋がることがあります。

◆虫歯の発生
唾液には、上記以外にも再石灰化作用(初期虫歯を修復する働き)、緩衝作用(食後に酸性になった口の中を中性に戻し虫歯を予防する働き)などがあります。そのため、口呼吸で口の中が乾燥して唾液の機能が低下すると、虫歯ができやすくなります。

口臭の悪化

唾液には、お口の中や外部から侵入してくる細菌やウイルスの働きを抑制する免疫物質((リゾチームやIgA、ラクトフェリンなど)が含まれています。そのため、口の中が乾燥すると、これらの免疫物質が機能しにくくなったり、唾液の自浄作用が低下したりします。そうすると、口臭原因となる細菌が増殖し、さらに口臭の原因となるガスが発生することで口臭が悪化します。

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口呼吸改善対策について5つご紹介

口呼吸の改善には、唇を閉じる癖付けが大切です。5つの改善方法についてご説明します。

  1. 口周りの筋肉を鍛える
  2. テープで口が開かないようにする
  3. 鼻づまりがある場合は耳鼻科を受診する
  4. 歯科医院で専門的なトレーニングを受ける
  5. 歯科医院で矯正治療を行う

「あいうべ体操」で口周りの筋肉を鍛える

口周りの筋肉には、口輪筋(唇を閉じたり、すぼませる筋肉)や、舌筋(舌を動かす)があります。これらの筋肉が弱いと、口が開き口呼吸になりやすいです。「あいうべ体操」で鍛えて口呼吸を予防しましょう。

<あいうべ体操のやり方>

①”あー”の口で唇を思いきり開く
ポイント:唇が上下に引っ張られるような感覚で楕円形に開き、喉の奥が見えるくらい開きましょう。

②”いー”の口で唇を思いきり横に伸ばす
ポイント:前歯の並びがよく見えるように横向きに唇を伸ばし、頬の筋肉が耳に近づくようなイメージで行いましょう。

③”うー”の口で唇を小さくすぼめて突き出す
ポイント:”あ”、”い”の口でしっかり口を伸ばしてから、”う”の口で筋肉を収縮させて筋肉を鍛えます。

④”べー”と舌をできるだけ出して下方向に伸ばす
ポイント:先端まで伸ばせるように意識することが大切です。

テープで口が開かないようにする

テープを使用して口を閉じ、鼻呼吸を促す方法です。1人でテレビを観ているときや就寝中に使用するのがおすすめです。口内の乾燥、睡眠の質の低下を防ぐ効果もあります。
睡眠時無呼吸症候群の方や小さいお子様は、呼吸が一時的に止まってしまう危険性もあるため、一度、耳鼻科や歯科医院に相談してから行いましょう。

<口閉じテープの使い方>

使用するもの:サージカルテープや絆創膏など
※セロハンテープやガムテープなどは肌が荒れやすいため、市販の口閉じ専用テープや、皮膚刺激の少ない医療用サージカルテープ (紙テープ)などを使用しましょう。

  1. テープを鼻下から顎下までの長さにカットします。(短いととれてしまいやすいので長めにカットするのがポイントです)
  2. 唇の真ん中にテープを縦向きに貼ります。
  3. 就寝時に貼った際は、起床時にテープがついていれば成功です。(はがれやすい場合は、テープの本数を2~3本に増やすと良いです)

鼻づまりがある場合は耳鼻科を受診する

アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などにより鼻詰まりを起こしやすい方は、口呼吸が習慣化する傾向があります。そのような場合は、耳鼻科で根本的な治療を行い鼻づまりを改善することで、無理なく鼻呼吸へ移行できるようになります。

歯科医院で専門的なトレーニングを受ける

歯科医院には口呼吸を改善する専門的なトレーニングを実施している医院があります。このトレーニングを「MFT(口腔筋機能療法)」と言います。「口呼吸」「歯並び・咬み合わせ」「発音・嚥下」などの機能の改善などを目的に行うもので、特に成長期のお子さんは効果が得られやすいです。

<MFTの内容>

▶舌を正しい位置に置く
舌を正しい位置に置くように習慣づけ、顎の成長を促します。口呼吸も改善しやすいです。

▶舌の筋肉を強くする
ポッピングなどの舌のトレーニングにより舌の筋肉を鍛えて正しい発音や嚥下を促します。

▶唇を閉じる
唇を閉じたまま飲み込む練習や、口閉じテープを貼って軽い運動を行うなどして、自然と口を閉じられるよう癖づけます。

▶姿勢を改善する
テレビを観る姿勢や食事時の姿勢を確認したり、理学療法士監修の体操を行います。

▶口周りの筋肉を強くする
リップポップなどの練習をして口周りの筋肉を鍛えます。

▶正しく嚥下・咀嚼を行う練習をする
咀嚼は左右の歯で1口30回以上噛む、嚥下は唇を閉じて口周りの筋肉に余計な力がかからないように正しい舌の位置で飲み込めるように練習します。

歯科医院で矯正治療を行う

すでに「出っ歯」「受け口」「開咬」「叢生」などの不正咬合になっているお子さんは、歯並びが原因で唇を閉じること自体が難しいことがあります。
このような場合は、矯正治療で歯並びを整えることによって、口呼吸の改善が期待できます。

矯正治療と聞くと、痛みの心配をされる親御さんもいらっしゃるかもしれません。
しかし、最近では、お子さんの負担を最小限にできるよう、取り外しのできる矯正装置やマウスピースを使用した矯正治療を導入する歯科医院が増えています。成長期のお子さんは、比較的骨が柔らかく歯が動きやすいため、これらの方法で歯並びを改善できる可能性があります。
ホームページを確認したり、歯科医院に相談するなど、お子さんに合った治療方法を見つけましょう。

お子さんの口呼吸にお悩みなら当院へご相談を

口呼吸は、意識的に治せる場合もあります。しかし、出っ歯や受け口など歯並びが原因になっている場合は自力で治すことが難しいです。
矯正治療で歯並びを整えることで、口呼吸の改善が期待できます。小さいお子さんでもなるべく負担を感じないマウスピースを使用した矯正治療を行うことも可能です。

また、MFT(口腔筋機能療法)と呼ばれるお口のトレーニングで、お口の機能や歯並び・咬み合わせを改善することもできます。矯正治療やMFTは成長期のお子さんにおすすめです。

口呼吸はドライマウスや虫歯・歯周病の発生などお口のトラブルを起こす原因にもなります。お子さんの口呼吸や歯並びが気になる方は、ぜひ当院へご相談ください!

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監修者:増岡尚哉

歯科医師・歯学博士(D.D.S. , Ph.D.)|マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置(製品名インビザライン 完成物薬機法対象外)の講師として歯科医師向けに講義・講演活動をしています。

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【矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について】

① 矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間~1、2 週間で慣れてきます。
② 歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。
③ 矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
④ 治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。
また、歯が動くと隠れていたむし歯があることが判明することもあります。
⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
⑧ 矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
⑨ 治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。
⑩ 治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。
⑪ 歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
⑫ 矯正歯科装置を誤飲する可能性があります。
⑬ 矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
⑭ 動的治療が終了し装置が外れた後に現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。
⑮ 動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや、咬み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。
⑯ あごの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。
⑰ 治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがあります。
⑱ 矯正歯科治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。

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