COLUMN

歯列矯正の基礎知識コラム

【監修:歯科医師・矯正認定医 増岡尚哉】


矯正治療においてドクター選び・歯科医院選びは治療後の仕上がりに大きく影響します。なぜなら、同じ方の歯並びであっても、担当する矯正医によって技術や経験・美的センスが異なり、最終的な仕上がりにも差が生じるためです。

歯列矯正は費用もかかりますし長期間の治療となるため、失敗・やり直しをすることのないように慎重に検討したいところです。

今回は、歯列矯正のドクター選び・クリニック選びでおさえておきたいポイントをお伝えします。

【目次】
1、各学会が定める「矯正専門医」の基準
    ・①日本矯正歯科協会
    ・②公益社団法人 日本矯正歯科学会(JOS)
    ・③日本成人矯正歯科学会(JAAO)
2、日本矯正歯科学会(JOS)における「認定医」と「指導医」の違い
3、認定医以上であれば信頼性が高い一つの目安に
    ・認定医・指導医・専門医(臨床指導医)の見つけ方
4、認定制度以外に矯正医院選びで気を付けたい点
5、当グループには指導医・認定医が多数在籍しています。

各学会が定める「矯正専門医」の基準

現在日本には、権威となる矯正歯科関連学会に、

①日本矯正歯科協会
②公益社団法人 日本矯正歯科学会(JOS)
③日本成人矯正歯科学会(JAAO)


以上の3つがあります。

それぞれで”専門医”の基準は異なりますが、どの団体も実績や試験等、厳しい条件を課しています。

一番大きな団体である、②公益社団法人 日本矯正歯科学会(JOS)の専門医(現在の名称:臨床指導医)は、381名しかいません。

それぞれの学会および認定制度については以下のとおりです。

①日本矯正歯科協会

歯科矯正医療に関する調査研究を行い、広く国民に歯科矯正医療の普及・啓発活動を行う。2019年時点での学会会員数は1,000名。


日本矯正歯科協会(JIO)*一部抜粋
認定医 ※認定医制度なし
専門医 ・矯正専従医として経験が5年以上あること
・100症例以上の矯正治療経験を持つこと
・100症例の治療実績の中から審査委員に指定された5症例につき臨床能力評価を受け、合格すること。

②公益社団法人 日本矯正歯科学会(JOS)

歯科矯正学・矯正歯科臨床の進歩・発展を目的とした学会。2022年時点での学会会員数は7,000名で、そのうち臨床指導医(旧称:専門医)は全国に381名のみ。


日本矯正歯科協会(JOS)*一部抜粋
認定医 ・歯科医師免許を有すること
・歯科医師免許取得後、5年以上継続して学会会員であること
・学会指定研修期間において、5年以上矯正歯科研修を修了した者
指導医 ・日本矯正歯科学会認定医資格を有する歯科医師
・基本研修機関に常勤し12年以上矯正歯科臨床の臨床、教育、研究に従事している者
・認定医の育成および我が国の矯正歯科医療における指導的役割を果たす者
臨床指導医
(旧専門医)
・日本矯正歯科学会認定医資格を有する歯科医師
・7年以上継続して学会会員である者
・学会の認めた刊行物あるいは学会の認めた学術集会において、
 矯正歯科臨床に関連する報告を発表した者

③日本成人矯正歯科学会(JAAO)

成人(成長発育期以降の成人)の矯正歯科治療を中心に取り扱う学術団体。2018年時点での学会会員数は1,400名。


日本成人矯正歯科学会(JAAO)*一部抜粋
認定医 ・歯科医師免許を有すること
・歯科医師免許取得後、5年以上継続して学会会員であること。
・本学会認定医研修プログラムを修了しているかあるいは、
 本学会の認める矯正歯科専門医機関に2年以上在籍して矯正歯科基礎研修を修了し、
 本学会の実施する認定医申請資格試験に合格していること。
専門医 ・日本成人矯正歯科学会認定医資格を有する歯科医師
・認定医資格取得後2年以上経過している者
・学会の定めた10種の課題奨励を自ら治療し、治療結果が学会の定めた基準を満たして合格すること

本記事では、一番大きな歯科矯正学会である②公益社団法人 日本矯正歯科学会(JOS)を基準として解説していきます。

日本矯正歯科学会(JOS)における「認定医」と「指導医」の違い

日本矯正歯科学会(JOS)の認定医・臨床指導医(旧 専門医)には次のような違いがあります。

【認定医】
学会が認めた大学病院・矯正医療機関で、5年以上の臨床経験(実際に矯正治療を行った経験)を持ち、学会での発表等で審査に合格した歯科医師のこと。

・矯正歯科医療に関し、適切な学識、技術、経験を有する者で、矯正歯科医療の水準の維持と向上を図ることにより、国民に適切な医療を提供する者。

と規定されています。

【指導医】
指導医は矯正医を指導するための資格で、認定医の資格を取得していることが第一条件となります。歯科大学を卒業後、矯正の知識・技術を専門的に学びたいという歯科医師を指導する際に必要となる資格。

・基本研修機関に常勤し12年以上矯正歯科臨床の臨床、教育、研究に従事している者。
・認定医の育成および我が国の矯正歯科医療における指導的役割を果たす者。


といった規定があります。

それぞれの資格保持者の人数は以下のようになっております。

  • 矯正歯科治療を行っている歯科医師の数:約20,000人
  • 公益社団法人 日本矯正歯科学会(JOS)に所属する歯科医師の数:約7,000人
  • 公益社団法人 日本矯正歯科学会(JOS)の認定医:2,748人
  • 公益社団法人 日本矯正歯科学会(JOS)の指導医:509人
  • 公益社団法人 日本矯正歯科学会(JOS)の臨床指導医(旧 専門医):381人

認定医以上であれば信頼性が高い一つの目安に

先ほどもお伝えしたように、”認定医”であっても取得は簡単ではありません。

”認定医”の肩書きを持つ歯科医師は、全歯科医師の中では希少であり、”矯正歯科医院の信頼性の指標として考えられます。

治療を任せる歯科医師を選ぶ上での判断基準の一つとして大いに役立つでしょう。

また、その人数からも読み取れるように、

  • 臨床指導医(旧 専門医)
  • 指導医
  • 認定医

これらの資格を持つドクターは、歯科全体でもごく限られています。

一つの目安として、矯正認定医以上であれば一定の信頼を担保できるといえます。

なお、繰り返しになりますが、矯正学会には

①日本矯正歯科協会
②公益社団法人 日本矯正歯科学会(JOS)
③日本成人矯正歯科学会(JAAO)


以上3つがあることをご紹介しました。

複数の団体の認定医制度があると、結局何を基準に選べば良いか迷ってしまいますよね。

2019年に、統一した矯正歯科の提供を目指して”日本矯正歯科専門医機関”が発足され、”矯正歯科専門医”という一本化した資格の認定に向けて準備が進められていますが、現時点では、

①日本矯正歯科協会
②公益社団法人 日本矯正歯科学会(JOS)
③日本成人矯正歯科学会(JAAO)

3つの団体それぞれの認定制度を見て、総合的に比較検討すると良いでしょう。

認定医・指導医・専門医(臨床指導医)の見つけ方

認定医・指導医・臨床指導医(旧 専門医)は、公益社団法人 日本矯正歯科学会(JOS)のホームページより検索が可能です。


認定制度以外に矯正医院選びで気を付けたい点

矯正治療は、セラミック矯正(被せ物で歯並びを治す方法)、ワイヤー矯正、マウスピース矯正などがありますが、「矯正専門医」だからといって、全ての矯正治療が得意な訳ではありません。

認定医の有無をチェックするだけではなく、自分の希望する治療方法に特化しているかを確認し、治療経験年数が長く・治療実績の多い歯科医師を探すことをおすすめします。

【医院選びのポイント①:医院の実績や口コミ】
JOSやその他の団体の定める認定医がいるかどうかは医院の実績に直結します。また、医院の口コミも指標になるといえます。受診前に確認するのが良いでしょう。

【医院選びのポイント②:通いやすさ】
矯正治療は長期にわたるため、治療完了まで無理なく通うことのできる”通いやすさ”も考慮しましょう。また、矯正期間中に転勤や引っ越しがあった場合の対応も事前に確認しておくことも重要です。

歯の移動量が多い方の場合、矯正治療が2年間ほどかかることもあります。治療期間中には転職・結婚・転勤といった「転居」の可能性は意外とあるものです。

全国に医院があるクリニックであれば、引っ越し先から近い医院に転院することも可能です。念の為確認しておくと良いでしょう。

【医院選びのポイント③:設備が充実しているか】
設備・機器が揃っていなければ満足のいく治療を受けることは出来ません。ホームページで使用している機器・設備を確認することができます。

以下、矯正治療に必要な医療機器の例です。

  • レントゲン:お口の全体的なレントゲン撮影を行うための機器です。
  • 歯科用CT:顎の骨の状態などを3Dデータで調べる機器です。
  • セファロ:矯正治療で使用する精密なレントゲン機器です。
  • 光学スキャナー:マウスピース矯正の場合、特にあると安心です。
  • 滅菌機器(オートクレーブ):治療に使用する器具を滅菌する機械です。

【医院選びのポイント④:検査内容が充実しているか?】
正確な診断を行うためには、十分な検査が必要です。歯を動かす際には、歯の根っこの状態や顎骨の厚さ、鼻と唇の角度など総合的に検討する必要があるからです。

近年では、お口をカメラでスキャンするとAIがその場で矯正シミュレーションをしてくれるソフトも増えていますが、その場でできる簡易シミュレーションは、AIが自動生成した単なる「絵」のようなものです。

顎骨や歯根の動きなども考慮されていないため安全性は保証されていませんし、簡易シミュレーションが見たいだけであればどこの医院でシミュレーションしても大体同じ結果になります。

初診時に検査を実施したうえで、その結果をもとにした説明をしてくれているか確認しましょう。メリットだけではなく、デメリットやリスクについてもきちんと説明を受けられる歯科医院を選びましょう。

また、治療後の仕上げりの説明・ご自身の要望についても事前にしっかりと話し合いましょう。数年かけて矯正治療をして、最後の最後で「思っていたのと違う」という事態になっては、時間も費用ももったいないですし、やり直しの治療をすることで体に負担をかけてしまうことになります。

【医院選びのポイント⑤:歯科医師やスタッフとの相性】
矯正治療は長期間に渡るため、歯科医師やスタッフと患者様との間に信頼関係が非常に大切です。ドクターやスタッフとの相性、医院の雰囲気などもしっかりと確認しましょう。

当グループには指導医・認定医が多数在籍しています。

エムアンドアソシエイツグループは、マウスピース矯正のみを行う矯正専門クリニックであり、日本矯正歯科学会の認定医・指導医が多数在籍しています。

中でも当グループ代表は、マウスピース矯正のみを専門的に17年以上追求してまいりました。マウスピース矯正が日本に登場した黎明期から治療に取り組んできた実績を持ち、指導医・認定医という客観的な資格も持ち合わせた国内では数少ない経歴を持っております。

さらに、当グループは全国主要都市に5医院ございます。各医院の院長が全国で診療を行っておりますので、もしも転院が必要になった場合にも、グループ医院内で担当医を変えずに治療をうけていただくことが可能です。

矯正治療についてのご相談は、「矯正無料カウンセリング」からご予約ください。

実績豊富なドクター人が、60分間しっかりあなたのご相談にお答えいたします。

また、直接ご来院いただく以外にも、オンライン診療や無料メール相談など様々なご相談方法をご用意しております。

マウスピース矯正についてのご相談、ご質問もぜひ当グループまでお問い合わせください。

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