COLUMN

歯列矯正の基礎知識コラム

【監修:増岡尚哉】



”短い治療期間で綺麗な歯並びにしたい!”とお考えの方。歯列(歯並び)不正の程度や歯の健康状態によっては、治療が早く進むケースもあります。歯が動きやすい条件、動きやすい人の特徴、動きやすくする方法について解説します!

【目次】
1、歯が動きやすい人の方が矯正期間が早く終わる?

2、歯が動きやすい人、早く終わる人の特徴
 ①歯並びの症状が軽度である
 ②歯を動かすスペースがある
 ③骨が成長途中にあるお子様
 ④歯の周囲組織の代謝が早い
 ⑤歯並びに影響する舌癖や口周りの癖がない
 ⑥医師の指示をしっかりと守っている

3、歯列矯正を早く終わらせるためには
 ・歯列矯正を早く終わらせる外的処置

4、当院では最短でできる治療計画を提案

歯が動きやすい人の方が矯正期間が早く終わる?

歯の動きやすさは、治療期間を左右するものなので、皆さん気にされますよね。

歯が動きやすい人の特徴には以下のことがあげられます。
●軽度の歯列不正
●歯の周囲組織の新陳代謝が活発である
●舌癖や口周りの悪い癖がない
●医師の指示をしっかり守ることができている

これらが当てはまる方は、歯が動きやすいので、結果として治療期間も短く済みます。

次に、”治療期間”について。
歯列矯正によって歯が動く距離は1ヶ月で約0.3〜0.5㎜程です。
(強すぎる力をかけてしまうと骨・歯根にダメージが加わるため適切な矯正力をかける必要があります)

1ヶ月に0.5㎜動いたとして、1年で歯を動かせる距離は、6㎜程です。個人差はありますが、歯列矯正に必要な期間は平均で2〜3年です。
部分矯正の場合は、短いと3ヶ月程で治療が完了する人もいますが、約半年〜1年半程度。
全体矯正の場合は、先ほど述べたように2〜3年程度と、治す範囲によって治療期間が
異なります。

歯が動きやすい人、早く終わる人の特徴

歯が動きやすい人、治療が早く終わる方には特徴があります!歯並びの状態や年齢だけではなく、規則正しい生活を送り新陳代謝を上げることで歯が動きやすくなる等、治療
期間を短くするための条件を解説します。

① 歯並びの症状が軽度である

”一部分がガタガタしている”などの、歯列不正が軽度に分類され、歯を動かす度合いが小さければ、短期間の治療で済みます。また、ご自身で”歯並びが悪い”と気にされている方も、専門家の目で診て、大きな問題が無いという場合もあります。軽度の場合、
”部分矯正”を選択することで、全体の矯正治療を行うよりも治療期間を短くすることが
可能です。

② 歯を動かすスペースがある

歯と歯の間にスペース確保できなければ、その方向に歯を動かすことはできないです。

●過去に矯正治療経験があり、スペースが残っている方(スペースの再利用)
●補綴物(被せ物)をしている・補綴物が多い方
※補綴物の形を変える・ブリッジ(橋渡しの被せ)を外してポンティック(ダミーの歯)のスペースを利用できることがあります。

③ 骨が成長途中にあるお子様

歯や顎の骨が成長過程にある子どもは、少しの力で歯や骨に影響が出やすいです。
歯並びに影響する舌癖や口の周りの悪い癖によって歯列不正が起きやすい反面、矯正力によっても歯や骨が動きやすいので矯正治療の効果を得やすいです。顎が成長段階にある発育期に矯正治療を行うのが理想的とされています。

④ 歯の周囲組織の代謝が早い

歯列矯正では、矯正装置によって歯を動かしたい方向へ力をかけます。そこで重要と
なるのが、歯の根=歯根・歯根をとりまく歯根膜・歯を支える歯槽骨などの歯の周囲組織の代謝です。
歯を動かす方向の歯槽骨が吸収され、歯が動いてできたスペースに新たな歯槽骨を作ります。この骨の吸収生産は、代謝速度によって個人差があります。代謝が活発であれば歯も動かしやすく、歯列矯正の効果も出やすいです。代謝を良くするために、食生活や睡眠時間なども意識をしましょう。

⑤歯並びに影響する舌癖や口周りの癖がない

舌を出す癖、舌を歯に押し付ける、舌が悪い位置にあるなどの舌癖、口呼吸、頬杖は、
歯並び・発音に影響する悪い癖の代表です。”出っ歯”も舌癖が原因で起こる場合が多いといわれています。
歯並びに影響する舌癖や口周りの癖は、歯科矯正にも影響を及ぼします。舌癖があると、舌が反対の方向に動いて力をかけてしまい、正しい位置に歯を動かすことができません。
また、舌癖等は、”無意識に”おこなわれるため、気をつけていても簡単に治すことができません。そのため、癖を治すトレーニングが必要になることもあります。

歯並びに影響する舌癖や口周りの癖がなければ、余計な負担・余計な矯正力を掛ける必要がないので矯正治療の結果も得やすいです。

⑥医師の指示をしっかりと守っている

最も重要なのは、”医師の指示をしっかりと守る”ことです。
装置の使用方法・使用時間を守らない、通院のキャンセルや中断などは、治療の進行に大きく影響します。
治療が計画通り進まないと、治療期間は長引いてしまいます。歯が並び始めても同様。
食事や日常生活における注意点を指示された場合にも、きちんと守りましょう。こうした指示をしっかり守ることで、歯が動きやすくなり、治療期間を短くすることができます。

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歯列矯正を早く終わらせるためには

・定期的に検診にいく
 矯正治療中に、虫歯ができてしまったり、歯周病になってしまうと矯正治療を中断して虫歯・歯周病の治療が必要です。虫歯・歯周病による矯正治療の遅れをとらないために、定期的に検診を受けましょう。

・新陳代謝を上げる
 矯正治療中は、食生活の見直し、睡眠時間の確保、過度な喫煙を控えるなどの新陳代謝を高める生活を心掛けましょう。

・舌癖や口周りの悪い癖を改善する
 必要に応じて癖を治すトレーニングを受けることもありますが、”頬杖をつく”
”唇を噛む”など意識してやめられるものは日常生活で気をつけましょう。

・しっかりと使用方法・使用時間を守る
 基本は、装置の使用方法・時間・通院が要となります。深刻な用事・事情がない限り、
しっかりと医師の指示に従い、治療がスムーズに進むように心掛けましょう。

歯列矯正を早く終わらせる外的処置

オーソパルス(加速装置)は、近赤外線のエネルギーを照射することで骨再生を促し、歯周組織の回復を早め、治療期間を短くする効果があります。

<メリット>
・治療を早く進められること
<デメリット>
・治療中にズレが生じてしまっている時にも早いスピードで動いてしまう
・ズレが生じることで軌道修正が必要となり、予定より治療期間がかかる可能性がある
・オーソパルス自体が故障することがある(使用できない期間が出てしまう)

オーソパルスの使用によってトラブルが起き、治療のコントロールが難しくなってしまう可能性も考えられます。

歯肉退縮・ブラックトライアングルなどの最終的な仕上がりはオーソパルス使用による差は無いに等しいです。
オーソパルスで治療期間を短くするより、ズレ・軌道修正を防止し、治療計画を工夫し治療期間を短くすることが重要と言えるでしょう。治療が短く、修正が必要なければ、ダメージも最小限で済みます。これこそが1番の近道ではないかと考えています。

当院では最短でできる治療計画を提案

治療期間を最短にするため、1人1人の症状や要望を加味しながら最善の治療計画を提案させていただきます。

患者様ご自身では、地道ではありますが、医師の指示をしっかり守り、治療期間が短く済むように心掛けましょう。

そして、矯正治療終了後でも、移動した歯を定着させるために保定装置(リテーナー)をつける必要がありますので、せっかく綺麗になった口元を後戻りさせないために、保定装置の使用方法・使用時間を守りましょう。

当院では随時、カウンセリング・ご相談を受け付けております。お気軽に足を運んでいただき、まずはカウンセリングでご希望をお聞かせ下さい。

それではあなたからのご相談をお待ちしております。

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【矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について】

① 矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間~1、2 週間で慣れてきます。
② 歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。
③ 矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
④ 治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。
また、歯が動くと隠れていたむし歯があることが判明することもあります。
⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
⑧ 矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
⑨ 治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。
⑩ 治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。
⑪ 歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
⑫ 矯正歯科装置を誤飲する可能性があります。
⑬ 矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
⑭ 動的治療が終了し装置が外れた後に現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。
⑮ 動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや、咬み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。
⑯ あごの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。
⑰ 治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがあります。
⑱ 矯正歯科治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。