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歯列矯正の基礎知識コラム

頬を押さえる女性

矯正をしていると、口内炎に悩まされた経験はありませんか?食事や会話がしにくいだけでなく、痛みが続くとつらいですよね。矯正中の口内炎は、矯正装置がお口の粘膜に当たり傷がつくだけでなく、他の問題が原因になっている可能性も。今回は、「矯正中の口内炎」と痛みの和らげ方、口内炎を作らないための方法をご紹介していきます。

【目次】
1、矯正中の口内炎の原因と主な病名
2、矯正中の口内炎の痛みを和らげる方法
3、生活習慣の見直しで口内炎を予防

矯正中の口内炎の原因と主な病名

主な原因は2つあります。ご自身の症状と照らし合わせて、今できている口内炎が矯正器具の影響によるものか確認してみましょう。

矯正器具が原因の口内炎(カタル性口内炎)

矯正装置やワイヤーが、舌やお口の粘膜に当たって傷つくことで起こる口内炎です。歯の被せ物や入れ歯などがお口に合っていない場合も、継続して刺激されることでも起こります。お口の粘膜に当たる部分を改善すると、数日で治ることがほとんどです。

≪カタル性口内炎か、見極めるポイント≫

  • 舌やお口の粘膜が部分的に赤く腫れている
  • 腫れた部分が熱をもっている
  • 水ぶくれができている
  • 唾液の量が増え、粘り気が強くなる
  • 傷がついた部分と周囲の境界線が分かりにくい
  • 味覚を感じにくい
  • 口臭が強くなる

特に矯正を始めた頃になりやすいため、このような症状があればカタル性口内炎かもしれません。

栄養不足やアレルギーなどが原因の口内炎

口内炎の原因は、他にも様々あります。それぞれの種類と特徴をみていきましょう。

≪アフタ性口内炎≫
口内炎の中でもよく起こりやすい、白くて丸い口内炎です。数ミリ程度の大きさで、白い部分の周りは赤く囲まれた状態になっています。疲れ・ストレス・睡眠不足などによる免疫力の低下や、ビタミンB2などの栄養不足が、アフタ性口内炎を引き起こす要因と考えられています。
約10日で治ることがほとんどですが、なかなか治らない・何度も口内炎ができるという場合には、他の病気が原因の可能性があります。

≪カンジダ性口内炎≫
お口の中には、カビの一種である「カンジダ菌」が存在しています。しかしお口の中が不衛生になると増殖し、口内炎を引き起こしてしまうのです。入れ歯を使用している人に多くみられ、入れ歯の形に沿ってお口の粘膜が赤くなる・白い膜ができるといった特徴があります。

≪ウイルス性口内炎≫
ヘルペスやクラミジアなどのウイルス感染が原因で引き起こされます。お口の中に水ぶくれができて破れた後に、かさぶたができる口内炎です。かゆみがでる場合もあります。

≪アレルギー性口内炎≫
金属アレルギーを持っている人に起きます。被せ物などの金属に反応して、金属と触れている部分・その周囲が赤く腫れるのが特徴です。手足が腫れる・かゆくなるケースも。

口内炎ができると食事がしづらく、大変ですよね。脱水症状を防ぐためにも水分補給はしっかり行いましょう。また、口内炎ができる原因や症状はそれぞれ異なります。痛みが強い・長引く(10日以上続く)などの場合は、早めに歯科医院や口腔外科を受診し治療を受けましょう。

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矯正中の口内炎の痛みを和らげる方法

口内炎の痛みが続く場合は、食事や会話だけでなく何もしていなくても気になってしまいます。少しでも早く痛みを抑えるにはどのような対処法があるのでしょうか?

●矯正用ワックスを使用する
矯正装置によるこすれや傷が原因の場合には、「矯正用ワックス」を使用してみましょう。矯正用ワックスは矯正装置を覆う粘土のようなもので、口内炎の痛みの緩和・再発予防の効果があるのです。主に治療を受けている歯科医院で購入できます。

●矯正器具を調整してもらう
矯正ワックスを使っても口内炎が改善されない場合は、矯正装置自体の調整が必要かもしれません。日常生活に支障がでるようでしたら、一度受診することをお勧めします。

●市販の薬などを使用する
口内炎全般の対処法として、口内炎用の薬を使用することも一つの選択です。軟膏タイプ、直接貼るパッチタイプ、スプレータイプなどがあり、炎症を鎮めます。

●刺激の少ない食事をする
カレーやキムチなどの刺激が強いもの、レモンなど酸っぱい食べ物、熱いものは口内炎の悪化を招きます。シチューやリゾット、茶碗蒸しやゼリー、ヨーグルトなどのとろみがあるものがおすすめです。

生活習慣の見直しで口内炎を予防

口内炎予防として、摂取したい栄養素を意識して取り入れてみてはいかがでしょうか。

≪皮膚や粘膜の健康維持に役立つ≫
ビタミンC:トマトやピーマンなどの緑黄色野菜、イチゴなど
ビタミンB2:ブロッコリー、納豆、チーズ、レバー、ウナギなど
ビタミンB6:ささみ、大豆、マグロ、バナナ、アボカドなど

●歯磨きで口の中を清潔に!
汚れや磨き残しが原因で細菌が増殖すると、虫歯や歯周病・口臭の悪化にもつながります。
寝る前や食後は、丁寧に歯を磨くように心がけてみましょう。

●睡眠時間の確保
睡眠不足は体の免疫低下につながります。疲れが溜まると口内炎だけでなく風邪などの病気にもかかりやすくなるため、十分な睡眠をとることが大切です。

●ストレスを溜めない工夫
ストレスは大敵です。口内炎を引き起こすだけでなく、肌荒れや免疫力低下につながります。趣味を楽しむ、軽い運動をするなどのリラックスできる時間を設けて、ストレスを発散できる工夫をしましょう。

矯正中の口内炎、特にワイヤー矯正中の方は悩まされることが多いかもしれません。ご自宅でもできる予防も取り入れて、一緒に乗り越えていきましょう。
なかなか治らない口内炎などは、他の病気の可能性もあるため、一度ご相談ください。





【矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について】

① 矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間~1、2 週間で慣れてきます。
② 歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。
③ 矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
④ 治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。
また、歯が動くと隠れていたむし歯があることが判明することもあります。
⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
⑧ 矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
⑨ 治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。
⑩ 治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。
⑪ 歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
⑫ 矯正歯科装置を誤飲する可能性があります。
⑬ 矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
⑭ 動的治療が終了し装置が外れた後に現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。
⑮ 動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや、咬み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。
⑯ あごの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。
⑰ 治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがあります。
⑱ 矯正歯科治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。