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歯列矯正の基礎知識コラム

CHECKと書かれたキューブ

自分でも気付かないうちに、習慣化している舌の位置や癖。もしかすると、歯並びが悪くなる原因になっているかもしれません。今回は、正しい舌のセルフチェック法や舌の位置が正しくないことで起きる歯並びへの影響、自宅でできる舌癖の改善トレーニング法」をご紹介していきます。

【目次】
1、正しい舌の位置を知っていますか?
2、舌の位置が悪いとどんな影響がある?
3、今日からできる舌癖改善トレーニング
4、舌癖が強い人におすすめの矯正治療

正しい舌の位置を知っていますか?

「自分の舌が普段どの位置にあるのか」、気にすることはあまりないかもしれませんね。
正しい舌の位置は、下の図のように、上顎の黄色の丸で囲まれた口蓋ひだのスポット部分に舌がついている状態です。


横から見ると、下の左図のように、舌の先が前歯の裏に付いていて、舌の広い部分が上顎の裏に軽く付いています。
反対に、下の右図のように、舌が上の歯と下の歯の間など「上顎から下に落ちている」状態は、間違った位置にあるということ。歯並びが悪い人は舌が正しい位置についていないことが多く、上顎の成長が弱まったり、歯に異常な力が加わっていたりします。


では、どうやって確認したら良いのでしょうか?セルフチェックの方法としては、2通りのやり方があります。

鏡を見て確認する方法

1.まず鏡を持ち、唇を開けた状態で歯は噛んだ状態にします。(イーの口)
2.その状態で唾を飲み込んでみましょう。

もしも、歯と歯の隙間から舌がはみ出てみえていたり、歯に舌が当たっている感触があったりしたら、要注意です。舌突出癖の可能性があります。

チューイングガムを使用する方法

1.チューイングガムを柔らかくなるまで噛み、舌を使って舌の上で丸めます。
2.丸めたチューイングガムを、舌の先近くまで持っていきます。
3.上顎にチューイングガムを押し当て、その形をみます。


この状態であればOKですが、「ガムを丸くできない・前歯に付く・形が縦長」という場合は、舌の位置が間違っている可能性があります。


当てはまる人は注意!低舌位の特徴


間違った舌の位置は「低舌位」と言い、舌が正しい位置よりも低い位置にある状態です。

  • 舌の側面に歯型の跡がついている
  • いつも口がポカンと開いている
  • 声が小さい
  • 滑舌が悪い、発音がしにくい
  • クチャクチャと音を立てて食べる
  • いびきをかく  

などの状態が目立つ場合は、「低舌位」の可能性が考えられます。

舌の位置が悪いとどんな影響がある?

人間は飲み込む動作を一日に数千回行います。舌が歯を押す力は歯列矯正でかける力よりも大きく、舌の位置が正しくないことで「出っ歯」「受け口」「開咬」など歯並びの悪化につながります。

また、歯は「顎の骨」や「頬や舌の筋肉」に囲まれており、これらがバランスよく機能することでお口の中が正しく機能します。
「低舌位」の状態だと、

  • 上顎が狭くなるため歯並びが悪くなる
  • サ行タ行などの発音がしにくい
  • 舌の筋力が下がる
  • 顎の位置が変わる
  • 気道を狭くして口呼吸になる
  • 睡眠時無呼吸症候群になる場合もある

といった悪影響を及ぼします。その結果、より口がポカンと開いてしまうのです。

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今日からできる舌癖改善トレーニング

間違った舌の位置を改善することは、大人になってからだと非常に時間がかかります。そのため、子供のうちに「正しい舌の位置」「正しい食べ物の飲み込み方」を身に付け、習慣化することが重要なのです。

舌癖を治すには、口腔筋機能療法(MFT)という口周りの筋肉をバランスよく整えるトレーニングがとても効果的です。
舌癖が原因で歯並びが悪くなっている場合は、矯正装置をつけなくてもある程度歯並びが改善することも。また、矯正治療とMFTの併用によって治療後の後戻りがしにくくなります。

ここでは、MFTのベーシックエクササイズをご紹介します。

<MFTベーシックエクササイズ>
以下のトレーニングを1日2セット行っていきます。
必要なものは、鏡、箸、水の入ったコップです。

  1. 舌を平らにしたり、とがらせたり、形を変える
  2. 箸を口の前に持って、舌の先をまっすぐにとがらせて、強く押す
  3. 箸を舌の真ん中において、舌に力を入れて上に持ち上げる
  4. 口を開けて、舌の先でゆっくりと上くちびるをなぞる
  5. 上を向いて口を大きく開けて、ガラガラうがいをして、止める

MFTのトレーニングは、「咀嚼」「嚥下」などに必要なお口周りの筋肉をつけることからスタートします。お口の状態に合わせて、舌や唇、頬の筋肉などのバランスを整えていくことが大切です。

舌癖が強い人におすすめの矯正治療

「舌癖が強い」とは、どのような状態でしょうか?次のような癖がある人は、歯並びに影響がでやすいため注意が必要です。

  • 食べ物を飲み込む動作をする際に舌を上下の歯の間に挟んでしまう
  • 舌で上下のどこかの歯を押し付ける癖がある

不正咬合の一つに、上下の前歯が咬み合わず隙間ができてしまう「開咬」という歯並びがあります。開咬は舌癖と密接に関係していることが多く、不正咬合の中でも治療や治療後の安定も難しいとされているのです。

マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置(製品名インビザライン 完成物薬機法対象外)でも以下の特長を活かして開咬の矯正治療することがでます。


  1. マウスピース型矯正装置が奥歯の噛み合わせの面や歯列全体を覆うことで、咬む力による圧下力(奥歯を沈みこませる力)が働く。舌癖などの機能異常による歯並びへの悪影響が少なくなる。
  2. マウスピース矯正では、前歯は外側(唇側)よりも内側(下側)に傾斜しやすい。
  3. 「移動させたい歯」と「移動させたくない歯」を区別することが可能。
  4. 矯正治療も歯を動かした後の保定も取り外しができるマウスピースのため、使いやすい。

正しい舌の位置を身に付けることで舌癖が治るだけでなく、歯並びやお口周りの機能改善にもつながります。

MFTのトレーニングは、ご自身で行うだけでなく専門のスタッフによる定期的なチェックを受けることをおすすめします。

また、「開咬」などの歯並びに悩まれている場合は、是非お気軽にご相談ください。

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【矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について】

① 矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間~1、2 週間で慣れてきます。
② 歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。
③ 矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
④ 治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。
また、歯が動くと隠れていたむし歯があることが判明することもあります。
⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
⑧ 矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
⑨ 治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。
⑩ 治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。
⑪ 歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
⑫ 矯正歯科装置を誤飲する可能性があります。
⑬ 矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
⑭ 動的治療が終了し装置が外れた後に現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。
⑮ 動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや、咬み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。
⑯ あごの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。
⑰ 治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがあります。
⑱ 矯正歯科治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。