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歯列矯正の基礎知識コラム

青空に三つの歯のイラスト

インビザラインは、マウスピースを装着することで歯を動かす効果を得る矯正方法です。そのため、1日のうちの大半はマウスピースをはめて過ごすことになるのですが、なるべく清潔な状態のものを使用したいですよね。
装着時のストレスを減らし、より多くの効果を得られるようにするためには、インビザラインの管理をご自身でしっかりと行なっていただく必要があります。
ここでは、インビザラインのお手入れ方法や管理の仕方などをご紹介していきます。

【目次】
1、インビザラインの正しい洗浄方法
 ・基本的なインビザラインの洗浄方法
 ・主なマウスピース洗浄剤の種類
 ・おすすめの洗浄剤
 ・専用の洗浄剤以外の方法
 ・インビザライン洗浄時に気を付ける注意点
 ・インビザライン洗浄後の注意点
 ・インビザラインが黄ばんできたら?
 ・インビザラインを洗う頻度
2、インビザラインの外し方
3、インビザラインの保管方法
4、飲食時の際の注意点
5、まとめ

インビザラインの正しい洗浄方法

インビザライン矯正中にマウスピースが汚れてくることはありませんか?お口の中のケアを一生懸命行なってもマウスピースがうまくケアできないと、口臭や虫歯の原因になることもあります。マウスピースの汚れの原因は、唾液の成分、食べ物のタンパク質や色素、タバコのヤニなどです。
マウスピースの材質は透明な樹脂であるので色移りしやすいです。また、歯と同じように歯磨き粉を使って歯ブラシでゴシゴシこすると傷がつきやすく、その傷により更に雑菌が繁殖しやすくなります。
いくら目立たない矯正治療とはいえ、不衛生なものは使用したくないですよね。
そのためにはマウスピースを正しくケアすることが大切です。簡単なケアでマウスピースを衛生的に使用しましょう。

基本的なインビザラインの洗浄方法

インビザラインを洗浄するタイミングは食後です。食事する時はマウスピースを外すため、そのタイミングで水を流しながら指でこすり洗いしましょう。こすり洗いだけでは不十分な場合は、柔らかめの歯ブラシで優しく磨くと良いです。外食などで難しい場合は、最低でも1日1回は必ず洗浄しましょう。
ずっと洗浄しないままで唾液がついた状態が続くと、唾液の成分がマウスピースにこびりついて、白くくすんだり口臭の原因になることもあります。こまめに洗浄して、できるだけ衛生的に使用しましょう。

主なマウスピース洗浄剤の種類

黄ばみ等の汚れが目立ってきた場合は、洗浄剤を使用する方法もあります。洗浄剤といっても色々な種類があり、成分の特徴があります。また洗浄タイプにも違いがあるので、汚れの程度や使用するタイミングに合わせて使用してみましょう。


・「漂白活性化剤」配合の洗浄剤
黄ばみに対して効果があり、漂白作用が高く短時間で洗浄できます。


・「酵素」配合の洗浄剤
食物片などの付着による、落ちにくいたんぱく質汚れを分解するため洗浄力が高いです。


・「泡」「スプレー」「つけ置き」3つの洗浄タイプ
泡タイプとスプレータイプは洗浄時間が1~5分ほどで終わります。つけ置きタイプの洗浄時間は5~30分程かかり、汚れのつき具合によっては長めにつけ置きした方が良い場合もあります。携帯用に泡やスプレータイプ、自宅用につけ置きタイプを使用するなど、使い分けて使用するのもおすすめです。

おすすめの洗浄剤

●つけ置きタイプ


<グラクソ・スミスクライン>
ポリデント リテーナー・マウスピース用洗浄剤

つけ置き5分、除菌率99.9%で菌やウィルスを除去し、マウスピースを洗浄します。マウスピースのケアを怠ると細菌が繁殖し臭いの原因になることもあります。定期的に洗浄液につけ置きすることでマウスピースの内面や表面に付着した汚れや細菌を除去し、衛生的に保つことができます。注意点は、お湯の熱でマウスピースが変形することもあるので、お湯は使用せず必ずぬるま湯か水を使用しましょう。

【使い方】
①約150mlのぬるま湯(約40℃)に洗浄剤を1つ溶かします。
②マウスピースを入れて5分以上浸け置きします。
③マウスピースを流水下でしっかりすすぎます。残りの洗浄液は破棄します。洗浄剤はその都度、新しい物
を使用します。

●スプレータイプ


<グラクソ・スミスクライン>
デンタルラボ 泡ウォッシュ 部分入れ歯洗浄剤
(矯正用リテーナー・マウスガードにも) 1分で99.99%除菌 125ml

短時間で洗浄できるため外出時などマウスピースを短時間で洗浄したい時におすすめです。マウスピースは傷つきやすいため、柔らかい歯ブラシで優しく洗浄するのがポイントです。

【使い方】
①マウスピースを手で持ち洗浄スプレーを数回噴射します。
②5秒間を目安に柔らかい歯磨きで優しく磨きます。
③流水でしっかりすすいで完了です。

専用の洗浄剤以外の方法

●食器用洗剤

食器用洗剤は殺菌作用が強いためマウスピースの洗浄にも使用できます。専用の洗浄剤は週1回くらいで使用し、毎日のお手入れは食器用洗剤を使い柔らかめの歯ブラシで磨く等の使い方も良いです。研磨剤が含まれていると、マウスピースに傷がつきやすいため、研磨剤の入っていない食器用洗剤を使用しましょう。洗浄後はしっかり洗い流しましょう。

●重曹+クエン酸

重曹は汚れを中和し分解する働きがあります。海や川など自然に存在する物質なので環境にも優しいです。しかし、重曹のみだと洗浄力が足りないため、クエン酸を一緒に使用して洗浄効果を高めます。
【使い方】
①200mlの水に重曹大さじ2とクエン酸大さじ1を容器に入れ混ぜます。
②小さな泡がたくさん出てきたら、マウスピースを容器に入れます。
③30分程度つけ置きします。
④つけ置きが完了したら流水で洗います。

●超音波洗浄機

超音波洗浄機は、超音波による細かな振動により細かい泡の発生と破裂を繰り返して、洗浄する物の汚れを浮き上がらす働きがあります。人の手では取り除けれない小さな汚れや、複雑な形の物でも細かい部分まで綺麗にできます。週1回程度で良いので、洗浄剤を一緒に使って洗浄すると更に洗浄力が高まります。
【使い方】
①決まった量の水を超音波洗浄機に入れ電源を入れます。
②超音波洗浄機にマウスピースを入れます。
③決まった時間、超音波洗浄をかけて終了です。
④水道の水で軽く洗います。

インビザライン洗浄時に気を付ける注意点

1.研磨剤を含む歯磨き粉は使用しない
マウスピースは樹脂素材で作られています。そのため研磨剤を含む歯磨き粉を使用したり、重曹でそのまま磨くと傷つきやすいので使わないようにしましょう。

2.お湯で洗わないようにしましょう
マウスピースに使用される樹脂素材は熱に弱いため、熱いお湯で洗ったり、つけ置きしてしまうと、変形に繋がります。必ず水かぬるま湯(約40℃以下)で洗浄するようにしましょう。

インビザライン洗浄後の注意点

時間のある時は、インビザライン洗浄後、専用ケースにティッシュかキッチンペーパーを敷いた上に置いて、蓋を開けたまま保管します。蓋を開けたままにするのは生乾きを防ぐためです。保管場所は湿度の低い涼しい場所が適しています。
外出中などで時間がない場合は、洗浄後ティッシュなどで水滴を拭き取ってからケースの蓋をしめて保管します。傷がつくのを防ぐため、ティッシュは優しく押さえるように拭き取りましょう。
乾燥させるためにドライヤーを使用したり、直射日光の当たる場所におくと、熱により変形することがあるのでやめましょう。また、暑い車内で保管するのもNGです。

インビザラインが黄ばんできたら?

こまめに洗浄を行なっていても、マウスピースは樹脂素材でできているため色移りしやすく黄ばんでくることがあります。なぜかというと、樹脂素材表面には目に見えない程度ですが凸凹があり色素が停滞しやすいからです。特にカレーやコーヒー、ワイン等を飲食後、歯磨きをしないままマウスピースを装着すると黄ばみの原因になりやすいです。喫煙も要注意です。黄ばみが目立ってきたら、食器用漂白剤をお勧めします。食器用漂白剤の使用方法に従ってつけ置きを行なってみましょう。注意することは、つけ置き後、漂白剤の臭いがつきやすいので流水下で念入りに洗ってから使用しましょう。

インビザラインを洗う頻度

毎食後に必ず行うのが良いので基本的には朝昼晩の3回が理想です。難しい場合は、最低でも1日1回就寝前には水洗いするようにしましょう。就寝中は唾液の量が減り、口や舌をほとんど動かさないので唾液の流れも悪くなります。そのため、マウスピースを洗浄しないまま装着して寝てしまうと口の中に汚れが停滞しやすく、細菌が繁殖しやすく虫歯や歯周病の原因になりやすいです。マウスピースの洗浄は就寝前が1番大事です。
水洗いだけでは足りない場合は柔らかめの歯ブラシで優しく磨き、週に1回は専用の洗浄剤を使用しましょう。

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インビザラインの外し方

インビザラインは歯を移動させる装置であるため歯にしっかりとフィットした作りになっています。そのため、外すのに少しコツが必要です。歯を効率的に動かすためにつけられた突起である、アタッチメントがついていると特に難しいです。
外し方は、指を片側の奥歯の内側に引っかけて少し浮かせます。その後、もう片方の奥歯も同じように浮かせます。最後に前歯を内側から外して完了です。アタッチメントは歯の外側についており、外れてしまうと計画的に歯が動かなくなってしまうので、アタッチメントがはずれないように内側からはずすようにしましょう。
爪が長い方、深爪の方、爪が割れやすい方は、インビザラインを取り外す専用器具アライナーリムーバーを使う方法もあります。力を入れすぎると変形したり割れる原因にもなるので、慣れるまでは慎重に行いましょう。

インビザラインの保管方法

インビザラインは透明な樹脂素材で作られています。熱に弱く変形の原因になったり、外出先でいつもと違う場所に置くと紛失する可能性も高いです。破損や紛失してしまった場合は再作成が必要になり、その間は治療が止まってしまいます。
インビザラインは2週間毎に交換しますが、紛失などの万が一の場合に1つ前のマウスピースを保管しておく必要があります。その1つ前のマウスピースの保管方法を誤ると、間違ってそのマウスピースを使用してしまい、歯の移動が狂ってしまうこともあります。
計画通りに治療を進めるためにも保管方法について必ず守っていただきたいことが3つあります。

守っていただきたいこと3つ

『インビザラインは絶対に専用ケースに保管する』
外食時に外したマウスピースをティッシュに包んだりすると、自分は大丈夫と思っていても、お店に忘れてしまった場合に店員さんが知らずに捨ててしまうこともあるかもしれません。マウスピースをはずす時間が短時間であっても必ず専用ケースに保管しましょう。

『1つ前のマウスピースはわかりやすいケースに入れて保管する』
使用中のマウスピースのケースとは色違いのケースに保管するのがおすすめです。基本的にはインビザラインを始める時に色の違ったケースを2つ渡されるので、そのケースを使い分けて使用してもらうと良いです。

『暑い車内等に長時間放置しない』
よくあるのが、鞄の中にマウスピースをケースごと入れたままにして、暑い車内に放置してしまうことです。変改の原因になります。貴重品と同じように、できるだけ持ち歩くようにしましょう。


もし紛失・変形した時は、歯が動かない間にできるだけ早く歯科医院に連絡しましょう。

飲食時の際の注意点

●飲み物について
飲食時は必ずマウスピースを外しましょう。マウスピースを外さなくても良いのは、水を飲む時だけです。スポーツ飲料なども糖分が入っておりマウスピースをつけたまま飲むと、糖分も一緒にマウスピースに入り込んでしまい虫歯のリスクを高めてしまいます。糖分の入っていないブラックコーヒーは良いのではないかと思われるかもしれませんが、砂糖の入ってないコーヒー、紅茶、ワインなども着色がつきやすくなるためマウスピースを外してから飲みましょう。他にも、お湯は40度以下なら良いですが、熱いお湯だとマウスピースの変形の原因になることもあるのでマウスピースを外してから飲みましょう。


●飲み会があるときは?
結婚式の披露宴や飲み会など、食事の時間が長くなりインビザラインをなかなか装着できない時もあるかと思います。新しいマウスピースを使用する場合は、なるべく使いはじめの3日間はマウスピースを外す時間が長くなりそうな予定を入れないのが良いです。(新しいマウスピースの使い初めは、歯を動かす力が強くかかりやすいので、痛みを感じたり、長時間外していると歯の並びが元に戻りやすく、マウスピースが使えなくなってしまうからです。)
しかし、どうしても外せない予定もありますよね。その場合は、前回分のマウスピースの使用期間を延ばすという方法もあります。治療の進み具合により対応方法が変わってくることもあるので、前もって担当の歯科医師に相談してみましょう。


●装着したまま食事をしてしまった時は?
インビザラインで長く矯正治療を続けていると、マウスピースをつけていることに気付かず食事をしてしまうこともあるかもしれません。その場合は、気付いた時点でマウスピースを外し、歯磨きを行い、マウスピースも洗浄を行いましょう。洗浄剤を使用できるなら、コップなどを使用して洗浄剤でつけ置きするのがおすすめです。すぐに歯磨きができない時用に、歯磨きシートも一緒に携帯しておくと便利です。

まとめ

インビザラインは目立ちにくく、取り外しできるという他にはない大きなメリットのある矯正治療方法です。歯磨きも通常通り行なうことができ、マウスピースも取り外してつけ置きなどもできるため、洗浄方法も比較的簡単です。正しくケアを行なえば虫歯のリスクも抑えられるので、歯のケアと一緒にマウスピースのケアも忘れず行いましょう。