八重歯(乱ぐい歯)で部分矯正ができる例とできない例の違いとは?
- 公開日:2022/12/08
- 監修者:増岡尚哉
- 更新日:2025/12/22
八重歯(乱ぐい歯)は「部分矯正で治せる」と思われがちですが、すべての症例が部分矯正に適しているわけではありません。
実際には、矯正に必要なスペースが不足していたり、奥歯の噛み合わせに問題があったりすると、部分矯正では十分な改善ができず、治療後に後戻りしてしまうケースも少なくありません。
本記事では、八重歯で「部分矯正ができない代表的な症例」を最初に整理したうえで、その理由や、部分矯正が難しい場合に取るべき治療の考え方を矯正専門医の視点から詳しく解説します。
「自分の八重歯は部分矯正で治るのか?」と迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
【目次】
1.八重歯で「部分矯正ができない」代表的な症例
1-1 ① 矯正に必要なスペースが確保できない場合
1-2 ② 奥歯の噛み合わせに問題がある場合
1-3 ③ 歯の重なり・でこぼこが重度の場合
2.八重歯が部分矯正に対応できない理由
3.部分矯正が難しい場合にすべきこと
3-1 ① 全体矯正を検討する
3-2 ② 抜歯の必要性を確認する
3-3 ③ 長期的な安定性を優先する
3-4 ④ セカンドオピニオンを活用する
4.矯正治療後、八重歯が元に戻ってしまった方へ
5.八重歯の矯正・再治療もご相談ください
6.八重歯・部分矯正に関するQ&A
八重歯で「部分矯正ができない」代表的な症例
八重歯(乱ぐい歯)は、部分矯正で治せるケースと、部分矯正では対応できないケースがはっきり分かれる歯並びです。
特に、安易に部分矯正を選択してしまうと、思ったように歯が動かない・治療後に後戻りするといったトラブルにつながることもあります。
まずは、「部分矯正では対応できない代表的な症例」から詳しく解説します。
① 矯正に必要なスペースが確保できない場合
八重歯は、歯が生えるスペースが不足していることが原因で起こることがほとんどです。
部分矯正では、基本的に歯列全体を大きく広げたり、奥歯を動かしてスペースを作ることができません。
そのため、
- 歯列の幅が狭い
- 顎の大きさに対して歯が大きい
- 抜歯をしなければ歯が並ばない
といったケースでは、前歯や犬歯だけを動かそうとしても、物理的に並ぶ余地がありません。
無理に動かすと、歯が外側に傾いたり、口元が突出した仕上がりになる可能性があります。
② 奥歯の噛み合わせに問題がある場合
一見、前歯の八重歯だけが気になっていても、奥歯の噛み合わせに問題が隠れているケースは非常に多いです。
例えば、
- 奥歯が正しく噛み合っていない
- 上下の噛み合わせがズレている
- 噛むと一部の歯だけに強い力がかかる
このような状態で部分矯正を行うと、
見た目は一時的に整っても、噛み合わせのアンバランスによって歯が元の位置に戻りやすくなります。
噛み合わせを調整できない部分矯正では、こうした症例への対応は難しいと言えます。
③ 歯の重なり・でこぼこが重度の場合
歯の重なりやでこぼこが強い場合、歯並び全体のバランスを見ながら段階的に動かす必要があります。
重度の乱ぐい歯では、
- 犬歯が大きく飛び出している
- 歯が回転して生えている
- 前歯が大きく重なっている
といった特徴が見られます。
このようなケースでは、部分矯正で一部の歯だけを動かしても、根本的な解決にならず、後戻りのリスクが高くなります。
八重歯が部分矯正に対応できない理由
八重歯の治療では、見た目だけでなく、噛み合わせ・歯列全体のバランスを整えることが重要です。
部分矯正は、
- 気になる部分だけを動かす
- 他の歯や噛み合わせには基本的に介入しない
という治療方法のため、
- スペース不足
- 噛み合わせのズレ
- 骨格的な問題
がある場合には、治療の限界がはっきり存在します。
特に犬歯は、歯根が長く、噛み合わせを支える重要な歯です。
安易に犬歯を抜歯したり、無理に部分矯正で動かすことは、噛み合わせの安定性を損なう原因になるため注意が必要です。
部分矯正が難しい場合にすべきこと
「部分矯正では難しい」と判断された場合でも、治療そのものを諦める必要はありません。
重要なのは、
- なぜ部分矯正が難しいのか
- どの治療法なら安全に改善できるのか
を正しく理解することです。その上で、次のステップで検討すべきポイントをご紹介します。
① 全体矯正を検討する
八重歯は犬歯が歯列から外れてしまった状態で、スペース不足が原因であることがほとんどです。軽度なら部分矯正で改善できますが、歯列全体に強い叢生(ガタガタ)がある場合や噛み合わせに影響している場合は部分矯正では限界があります。
その場合、全体矯正を行うことで、歯並び全体の調和と噛み合わせを整えることが可能になります。
② 抜歯の必要性を確認する
八重歯は「歯が並ぶためのスペース不足」が大きな原因です。
犬歯の隣の小臼歯を抜歯してスペースを作る
奥歯を後方へ移動させる装置を使う
といった方法でスペースを確保することがあります。
無理に部分矯正で並べると、前歯が前方に押し出されて「口ゴボ」になったり、歯列全体のバランスを崩すリスクがあります。
③ 長期的な安定性を優先する
八重歯を部分矯正だけで治すと、歯を横に押し広げたり前に動かすだけになり、治療後の後戻りリスクが高いといわれています。見た目を早く整えるだけでなく、噛み合わせや将来的な安定性を考えた治療法を選ぶことが大切です。
④ セカンドオピニオンを活用する
八重歯の矯正は医院によって「部分矯正で可能」とするか「全体矯正が必要」とするか判断が分かれることがあります。
もし「部分矯正では難しい」と診断された場合も、他院で意見を聞いて比較検討することで、自分にとって納得できる選択ができます。
矯正治療後、八重歯が元に戻ってしまった方へ
過去に矯正治療を受けられたことがある方で「歯並びが戻ってきてしまった」というご相談が寄せられます。その中でも、部分矯正の経験者の方は年々増加傾向にあります。
特に近年、手軽に始められる部分矯正治療も普及していることもあり、部分矯正を始める方が増えた一方でそうしたトラブルも増加しているのです。
部分矯正は、他の歯並びや噛み合わせはそのままに、気になる部分のみを動かす治療方法です。他の部分に問題が無ければキレイに治せるケースもありますが、矯正を検討されている方の中で、前歯(目に見える範囲)だけ歯並びが悪く・そのほかの噛み合わせは問題ないというケースは、実はそれほど多くありません。
もしも、八重歯の歯並びが戻ってきてしまったと感じている場合、再治療を行うことで他の部分の問題を解消する必要があるかもしれません。
八重歯の矯正・再治療もご相談ください
当院では、噛み合わせのバランスがとれて、治療後の後戻りのない矯正治療を提供することを目指しています。それが、患者様にとって治療費も治療期間も一番無駄がないと考えるからです。
マウスピース矯正「インビザライン」は八重歯の矯正や後戻りの再治療にも対応しています。まずはお気軽に無料カウンセリングにてご相談いただければと思います。
八重歯・部分矯正に関するQ&A
Q1 八重歯は必ず全体矯正になりますか?
A. いいえ。軽度でスペースや噛み合わせに問題がなければ、部分矯正で対応できる場合もあります。ただし精密検査による判断が不可欠です。
Q2 部分矯正の方が安くて早いと聞きましたが本当ですか?
A. 条件が合えば治療期間・費用は抑えられますが、適応外の症例では後戻りや再治療のリスクが高くなります。
Q3 犬歯は抜いたほうが早く治りますか?
A. 犬歯は噛み合わせに重要な歯のため、安易な抜歯はおすすめできません。必要性は慎重に判断します。
Q4 部分矯正後に戻ってしまった場合、再治療は可能ですか?
A. はい、可能です。再治療では噛み合わせや歯列全体を見直すことで、より安定した仕上がりを目指します。
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監修者:増岡尚哉
歯科医師・歯学博士(D.D.S. , Ph.D.)|マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置(製品名インビザライン 完成物薬機法対象外)の講師として歯科医師向けに講義・講演活動をしています。
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