COLUMN

歯列矯正の基礎知識コラム

【監修:歯科医師 増岡尚哉】


「歯列矯正」は子供や若い方がするもの、というイメージをお持ちではありませんか?エムアンドアソシエイツ矯正歯科には、40代はもちろん、50代、60代から矯正を始められる方も多くいらっしゃいます。今回は「矯正は今更遅いのではないか」「40代以降に矯正は可能なのか?」とお悩みのあなたに、後悔しないために知っておきたいリスクと、40代で始める矯正のメリットをご紹介します。


【目次】
1、増えている40~50代の矯正
2、40代からの歯列矯正で知っておきたいリスク
  ①虫歯や歯周病の治療が必要になる可能性が高い
  ②歯茎が下がって見えることがある
  ③歯の移動に時間がかかる
  ④装置に慣れるまでに時間がかかる
3、40代から歯列矯正を始めるメリットとは?
  ①歯周病になりにくくなる
  ②しっかり噛むことができる
  ③消化が良くなる
  ④長年のコンプレックスが解消
4、40代の歯列矯正には3つの治療方法があります
5、歯並びで後悔しないために。40代からでも遅くありません!


1、増えている40~50代の矯正



【データ出典】
・患者調査 / 平成29年患者調査
・患者調査 / 令和2年患者調査 確定数 全国編 報告書

厚生労働省の「患者調査」によると、矯正治療を受けている40代(40~49歳)患者は、2017年900人にいたのに対し、2020年は1100人と200人ほど増加しています。
当院でも、40代の患者様が増加しており、審美目的の方や、若いころに一度矯正し、後戻りをしたために再治療をされる方、年をとっても自分の歯を存続させたいと矯正治療を開始される方と、その目的はさまざまです。

2、40代からの歯列矯正で知っておきたいリスク

それでは、40代で歯列矯正を開始するにあたり、どんな点に気を付ければよいのでしょうか。考えられるリスクを書き出しておきます。

①虫歯や歯周病の治療が必要になる可能性が高い


まず第一に、年齢を重ねるほどお口の中のむし歯や歯周病が進行している可能性が考えられます。

気づかないうちに虫歯ができている方、過去に治療した虫歯が再発している方、また歯周病も年齢に伴ってリスクが高まるものの一つです。

こうした場合、矯正治療を始める前に進行している方も多くいらっしゃいます。

これまであまり歯科健診やクリーニングなどに通っておられなかった方の場合、先に虫歯や歯周病の治療を行い、お口を健康な状態にする必要があるので、矯正治療がスタートできるまでに時間がかかる場合があります。

②歯茎が下がって見えることがある

歯周病や加齢で歯茎が下がっている場合は矯正治療をすることによりさらに歯茎が下がってしまうこともあります。

実際に他院にて治療中の方でも「歯ぐきが下がっている気がする」と当院にセカンドオピニオンに来院される患者様もいらっしゃいます。

当院では、こうしたトラブルを防ぐためにもお口の中の状況を踏まえた上で治療計画を立てております。

またトラブルを未然に防ぐために大事なのは「定期的なチェック」です。歯や歯ぐきの状態をチェックするため、当院では少なくとも2ヶ月に1度は通院をお願いしています。

もし40代で矯正治療を始める場合には、定期チェックにもしっかり通えるかどうか、スケジュールを検討してみるのも非常に大切なことです。

③歯の移動に時間がかかる

矯正治療で歯を動かす仕組みは、ワイヤーなどで力がかかっている方向の骨が後退する一方で、反対側の骨が新たに形成されることによるものです。

矯正治療は歯の周りの組織の新陳代謝が大きく関わっているのです。

その為、個人差はありますが年齢を重ねていくほど、代謝が落ちてしまうため歯の移動にも時間がかかります。また、治療後の保定装置もしっかりと使用方法・使用期間を守って歯の位置を固定していくことが大切です。

④装置に慣れるまでに時間がかかる

矯正治療には多かれ少なかれ違和感があるものです。歯が浮くような痛みも生じます。

年齢が若ければこうした違和感があってもすぐに慣れてくるものですが、年齢が上がるにつれてこのような違和感に慣れるのに時間がかかってしまうこともあります。

3、40代から歯列矯正を始めるメリットとは?

40代の歯列矯正にはリスクを伴いますが、40代だからこそ得られるメリットもあります。ここでは、40代からの歯列矯正で得られるメリットを解説します。

①歯周病になりにくくなる

歯を失う原因の一つが歯周病です。歯垢や歯石の細菌が付着し最近の出す毒素により歯の周りの組織を破壊し歯を支える骨が徐々に溶けてしまいます。

矯正治療で歯並びが整うとブラッシングも行き届くようになり歯がしっかり噛み合うようになることで自浄作用が高まり、歯周病にかかりにくくなります。

②しっかり噛むことができる

歯並びが悪いと、食事をする時しっかり噛み砕くことが出来なかったり、噛みやすいところで噛んでしまったりするため、偏った力がかかり過ぎ歯に負担をかけてしまいます。

強い力が歯にかかるとすり減りや知覚過敏、歯が揺さぶられてしまうため歯の寿命が短くなってしまう事もあります。矯正治療を行うことでこのような不具合を解消することができます。

③消化が良くなる

歯並びが悪い人に多くみられるのが、よく噛まずに飲み込んでしまう事。このようなことを繰り返していると胃腸に負担をかけてしまい体調不良の原因に繋がります。

咀嚼の機能は、噛み砕く・しっかり唾液と混ぜ合わせることです。矯正治療でしっかりかみ合わせを作ることができれば、しっかり噛むことができ、胃腸への負担もなく食事も楽しくなるはずです。

④長年のコンプレックスが解消



年齢を重ねるごとに、歯並びが悪くなってしまった・・・と思われている方もいらっしゃるでしょう。若い頃から自分の歯並びにコンプレックスを抱えてきた方も多いと思います。

他人との会話の時の口元が気になって人目を気にしたり、笑う時に口元に手を当てたりしてどこか躊躇していたのではないでしょうか?

精神的な問題かもしれませんが、矯正治療をすることで、その長年のコンプレックスを解消し、自信のある笑顔を手に入れることができます。

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4、40代の歯列矯正には3つの治療方法があります。

40代から始める歯列矯正は、成人矯正と言って歯に力をかけることで理想的な位置に動かしていきます。

歯を動かすための矯正装置は、大きく分けて次の3つの種類があります。

  • 表面矯正
  • 舌側矯正
  • マウスピース型矯正装置による矯正治療

それぞれについて、詳しくご紹介していきましょう。

①表面矯正

一般的にされる矯正治療のひとつです。歯の表面にブラケット(装置)をつけワイヤーを固定し移動させいて行く治療方法です。表面に装置が付くため目立ってしまうことがあります。

②舌側矯正

最も目立たない治療法は歯の裏側にブラケットを装着する裏側矯正です。しかし、装置が裏側に付くため舌が送致にあたる、しゃべりにくい、口内に違和感があるといったデメリットがあります。

③マウスピース型矯正装置による矯正治療

マウスピース型矯正装置による矯正治療は、段階的にマウスピースを交換して行くことで歯列を整えていく方法です。

装置が透明で装着時は目立たず、どうしても外さなければいけない時や食事ブラッシング時などでは自分で取外しが可能です。

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5、歯並びで後悔しないために。40代からでも遅くありません!

若い時に矯正治療をしておけばよかった・・・と後悔している方も多いと思います。今の矯正治療はどんな年齢の方でも受けられるものです。

若い年齢の時よりは色々とメリット・デメリットがあるかもしれませんが、いつまでも元気で健康でいるためには様々なリスクやデメリットを差し引いても大きなメリットがあると思います。

今からでも遅くはありません。エムアンドアソシエイツ矯正歯科では、矯正医によるカウンセリングを行っております。ぜひお気軽にご相談いただければと思います。

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【矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について】

① 矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間~1、2 週間で慣れてきます。
② 歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。
③ 矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
④ 治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。
また、歯が動くと隠れていたむし歯があることが判明することもあります。
⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
⑧ 矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
⑨ 治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。
⑩ 治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。
⑪ 歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
⑫ 矯正歯科装置を誤飲する可能性があります。
⑬ 矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
⑭ 動的治療が終了し装置が外れた後に現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。
⑮ 動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや、咬み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。
⑯ あごの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。
⑰ 治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがあります。
⑱ 矯正歯科治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。