COLUMN

歯列矯正の基礎知識コラム

【監修:歯科医師 / 矯正指導医 増岡尚哉】


絵で描かれた電球を支える手

アデノイド顔貌(がんぼう)は、外見面だけでなく健康面にも影響することがある症状です。自分やご家族がアデノイド顔貌なのでは?とお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。
アデノイド顔貌の特徴はどのようなものでしょうか?どこで検査をしてもらえるのでしょうか?
気になる治療方法や費用などに関する疑問にもお答えします。

【目次】
1、アデノイド顔貌とは?
2、歯科矯正でアデノイド顔貌を治療

アデノイド顔貌とは?

アデノイド顔貌とは一体どのようなものでしょうか。以前から当てはまる気がしていたけど診察する機会がなかった方や、もしかしたらうちの子もそうではないかと悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。

アデノイドとは鼻から喉につながる部分にあるリンパ組織のことを指し、咽頭扁桃(いんとうへんとう)とも呼ばれます。風邪をひいた時に扁桃腺が腫れることがありますが、アデノイドはさらに上部にあり、口を開けても直接見えません。

アデノイドには、扁桃腺と同様ウイルスや細菌が体内に入るのを防ぐ役割があります。過剰に反応すると大きくなり、口周りをはじめとして、顔つきにも影響を及ぼします。または口呼吸が習慣化してしまうと、アデノイド自体は正常な大きさであっても、同様の顔つきになることがあります。これをアデノイド顔貌と言います。

アデノイド顔貌の特徴

以下のような特徴に当てはまるかどうか、チェックしてみてください。

  • 口呼吸により口が少し開いたままになる。
  • 口の中が乾燥して細菌が増え、口臭や虫歯につながる。
  • 口周りの筋肉が弱まって下あごが引っ込むことで、前歯が出っ歯に見える。
  • あごの発達が悪くて小さすぎるため、歯並びが悪くなる。
  • 鼻が詰まりやすくなり、鼻水も多い。
  • 鼻の下が伸びて面長になる。
  • 中耳炎になることが多い。
  • 首と顔の境目がはっきりしなくなったり、二重あごになったりする。
  • 下唇が厚ぼったく見える。
  • いびきをかきやすく、睡眠時無呼吸症候群になることもある。

当てはまる項目が多ければ、アデノイド顔貌である可能性が高いといえます。とはいえ、検査をしてみないと確定的なことは言えませんので、一度診察してもらってくださいね。気になる症状に応じて、矯正歯科や耳鼻咽喉科で診てもらいましょう。診察では、外見や症状からの判断とともに、必要に合わせて内視鏡検査や、レントゲン検査が行われます。

アデノイド顔貌のため歯並びに問題が生じているため、歯科矯正に関心のある方は、当院の初回カウンセリング(無料)をお気軽にご利用ください。

無料カウンセリングについて

アデノイド顔貌の原因

6歳くらいまでの幼児期には、鼻から入るウイルスや細菌に反応してアデノイドが大きくなりやすいものです。成長するにつれて体全体の免疫力が上がり、アデノイドは徐々に小さくなっていきます。しかし中学生や高校生になっても大きいままの場合があります。

鼻呼吸ではなく口呼吸が習慣化したことで、口から入るウイルスや細菌が多く、アデノイドが過剰に反応して大きくなると考えられます。アデノイドが大きいと鼻の奥がふさがれて鼻呼吸がしにくくなり、口呼吸がさらに常態化する、という悪循環に陥ってしまいます。

歯科矯正でアデノイド顔貌を治療

治療にはいくつかの方法があります。口呼吸から鼻呼吸に移行させるため、口周りや舌の筋肉を鍛えたり、鼻づまりの治療を行ったりします。症状がひどい場合はアデノイドを切除するという方法もあります。

歯科矯正治療も効果を発揮します。大人になってから治療する場合、口呼吸を直しただけでは、アデノイド顔貌そのものを変えるのは難しくなります。顔つき、特に口周りを変えるには、歯並びを整える必要があるでしょう。

矯正だけでは改善が難しい場合は、顎骨体(がくこつたい)移動術などの外科手術を行う方法があります。比較的簡単な手術でも、通常2週間ほどの入院をすることになるでしょう。

歯科矯正で治療するメリット

アデノイド顔貌が原因で口呼吸が習慣化している場合、歯並びを改善することで鼻呼吸しやすくなります。しかも同時に外見上の問題も改善できる可能性があります。

歯科矯正と聞くと、目立つ器具を長期間装着することに抵抗を感じる方も少なくありません。その点、インビザラインなら周りの人に気づかれずに治療可能です。
治療期間は年齢や症状の程度によって異なりますが、1~3年ほどです。当院では、子供なら1年弱、大人なら2年程度が目安です。

気になる費用についてですが、一般的には50~100万円ほどといわれています。当院の場合、子供の矯正治療や大人の矯正でも軽度のものなら40万円、大人の矯正治療は80万円が相場です。分割払いやクレジットカード払いにも対応しています。

お支払い方法について

保険が適用される条件

歯科矯正は、従来のワイヤーによる治療でも、当院のようなインビザラインによる治療でも、健康保険の適用外です。もしも顎変形症(がくへんけいしょう)と診断されて、外科矯正治療としてオトガイ形成術などの手術を行う場合なら、健康保険が適用されます。保険適用になるか気になる方もぜひ当院にご相談ください。

大人になってからでも、歯科矯正で歯並びを直すことで鼻呼吸を促し、アデノイド顔貌を改善することは可能ですが期待できます。インビザラインによる矯正なら、矯正中の見た目を気にすることなく、徐々に解消されていきますよ。





【矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について】

① 矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間~1、2 週間で慣れてきます。
② 歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。
③ 矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
④ 治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。
また、歯が動くと隠れていたむし歯があることが判明することもあります。
⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
⑧ 矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
⑨ 治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。
⑩ 治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。
⑪ 歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
⑫ 矯正歯科装置を誤飲する可能性があります。
⑬ 矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
⑭ 動的治療が終了し装置が外れた後に現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。
⑮ 動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや、咬み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。
⑯ あごの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。
⑰ 治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがあります。
⑱ 矯正歯科治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。