COLUMN

歯列矯正の基礎知識コラム

【監修:増岡尚哉】



お子様が受け口になり始めている気がする、笑ったときに顎が出る、といったことはありませんか?

実は、お子さまの「受け口(しゃくれ)」は、遺伝よりも日ごろの癖・習慣が原因になっている場合が多いことが分かってきています。

今回はお子様の歯並び(受け口)が遺伝か癖によるものなのか、さまざまな原因についてお伝えしていきます。

【目次】
1、子どもの受け口の原因は遺伝よりも癖によるものが多い
 お子さまの「受け口」を予防する方法
2、子どもの受け口(反対咬合)の有効な治療法
 ①フェイスマスク(上顎前方牽引装置)
 ②側方拡大装置・リンガルアーチ・リンガルアーチ
 ③チンキャップ
 ④マウスピース
マウスピース型矯正装置による子どもの受け口に対する矯正治療

子どもの受け口の原因は遺伝よりも癖によるものが多い

自分の子どもに歯並びが遺伝してしまうのではないか…と心配される方も多いのではないでしょうか?

遺伝によるものもあると言われていますが、実は幼少期の生活習慣や癖が原因で歯並びが悪くなってしまうことが多くあります。

指しゃぶり

指しゃぶりは3~4歳までにやめていた方がよいとされています。

5歳を超えても指しゃぶりが続いていると前歯で指を噛んでいるため前歯が指に押されてしまいます。

これを何年も続けていると歯並びにも影響を与えてしまう可能性があり、舌で前歯を押す癖や頬杖など歯に力がかかるような癖は受け口の原因になると言えるでしょう。

顎の大きさ

上顎、下顎が癖によって十分に発達しなかった場合遺伝的な要素とは別に受け口になってしまう可能性があります。

口呼吸

鼻詰まりがあると鼻で呼吸ができず口呼吸になります。

口呼吸が癖になってしまうと受け口になりやすいと言われています。

口を閉じているときは舌が上顎についているのが正しい位置です。

口呼吸になると口がずっと開いているため、舌が上にあがらず顎の成長に影響が出て過度な力がかかりすぎてしまうことにより、受け口になってしまうといわれています。

お子さまの「受け口」を予防する方法

3歳児歯科検診で全体の4~5%のお子様が受け口と診断されています。

自然に治ることはありません。

お子さまが幼いうちに受け口にならないように予防することが大切です。

よく噛む

食生活にも受け口になる原因は潜んでいます。

現代の食事は歯ごたえのない食事が増えています。

子供が好んで食べるものを食卓に出しがちです。

柔らかく食べやすいものばかりではなく野菜や歯ごたえのあるものを出してみるのもいいでしょう。

口呼吸をやめる

口呼吸は、鼻や鼻の骨の機能が不十分です。

鼻と上顎の骨は連動しているため、上顎の成長不全が起こり、下顎が上顎よりも大きく成長してしまいます。

口から呼吸をしようとすると舌の位置か下がってしまい気道が圧迫されて狭くなってしまい、その結果下顎を前に出して呼吸をしてしまうため受け口になってしまいます。

頬杖をつかない

骨格が固まっていないうちに頰杖をしたりすると顎の変形につながります。

頰杖をつくことにより手で下顎を押し上げるため、顎が前に出てきてしまい、時には顔が歪んだりすることもあります。

うつ伏せや横向きで寝るのをやめる

うつ伏せや横向きで寝ると、頬に力がかかるため顎関節症の原因になります。

歯並びや噛み合わせが悪くなり体や顔の歪みにつながります。寝るときの姿勢も重要です。

爪噛みをやめる

爪を噛む癖があると前歯に負担がかかります。

噛み合わせにも影響が出て、前歯で噛む癖がついてしまうと、下顎が発達し受け口の原因になります。

虫歯にならないようにする

乳歯が虫歯になってしまい、早いうちに失ってしまうと、後から萌出してくる永久歯の歯並びが悪くなってしまい噛み合わせにも影響がでます。

舌を正しい位置におく

舌がどこにあるのか?どんな動きをするのかによっても影響がでます。

舌が前歯を押してしまう癖がついてしまうと受け口になってしまうことがあります。

舌は上顎の前歯の裏の歯ぐきのあたりにくっついているのが正しい位置です。

正しい位置に舌があるか確認してみましょう。

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子どもの受け口(反対咬合)の有効な治療法

治療を始めるにあたり、どのような治療方法が有効なのか?

時期や期間なども気になることがあると思います。

① フェイスマスク(上顎前方牽引装置)

上の顎より下の顎が前に出ていたり、前歯の噛み合わせが下の前歯がでている反対咬合の状態。

上顎の骨の前方へ引っ張り前方に成長を促すことで噛み合わせの改善をします。

この装置は乳歯列期から思春期頃にかけて使用し、上顎が発達する時期でもあるためこの時期になると使用します。期間は1年から1年半位です。

装着時間は12時間以上が望ましく装置を使用しているときは話し辛く違和感があります。

② 側方拡大装置・リンガルアーチ

・リンガルアーチ

 固定式の装置で奥歯にバンドをつけて全体的に前方に移動させたい時などに使用します。

バネが付いておりそのバネの力で内側に入り込んだ歯を前に押し出し、1〜4本程度の反対に生えた歯を押し出すのに適しています。

治療期間は1年程度です。

・側方拡大装置

取り外しができる装置です。

顎の骨をと土台ごと側方に拡大する装置です。

主に小学校低学年〜高学年までの混合歯列期に使用されます。費用期間は約6ヵ月程度です。

③ チンキャップ

上下の顎の位置をコントロールするのに使用される装置です。

この装置は「かぶる」装置です。

チンキャップは顎の成長が進行している時期に使用します。

顎の成長が盛んなのは9〜15歳までのため小学生〜中学生までの時期に使用されることが多いです。

④ マウスピース

乳歯が生えそろう3歳くらいから治療を行います。

ただし、骨格が原因の場合は3歳ごろから治療が望ましいのです。

何もしないで放置しておくと受け口の治療は難しくなるため、子どもの頃に治療を始まることがポイントです。

マウスピースの矯正にかかる期間は6ヶ月〜2年程度です。

マウスピース型矯正装置による子どもの受け口に対する矯正治療

顎の幅を広げたり歯を動かしたりできるのは、骨格が発達している時です。

この時期の矯正治療を始めるにあたって抜歯をするリスクを下げることができます。

年齢が小さいと、普段の歯みがきも不十分で虫歯のリスクも高くなります。

いかに乳歯の時に虫歯にならないようにして永久歯の歯並びに影響を与えないようにするか?が重要です。

しかしながら、通常の矯正では歯にブラケットをつけるため、歯磨きが難しくなります。

対して、マウスピース型矯正装置は取り外しができるため清掃性に優れているので、特に歯磨きが苦手なお子様の歯を守ることができると言えるでしょう。

お子様の受け口の状態によって治療方法が異なり、早期にしかできない治療もありますので、タイミングを逃さないようお口の成長をチェックしていくのが望ましいです。

東京日本橋エムアンドアソシエイツ矯正歯科ではお子さまの矯正相談も初回カウンセリングで承っております。

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【矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について】

① 矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間~1、2 週間で慣れてきます。
② 歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。
③ 矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
④ 治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。
また、歯が動くと隠れていたむし歯があることが判明することもあります。
⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
⑧ 矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
⑨ 治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。
⑩ 治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。
⑪ 歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
⑫ 矯正歯科装置を誤飲する可能性があります。
⑬ 矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
⑭ 動的治療が終了し装置が外れた後に現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。
⑮ 動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや、咬み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。
⑯ あごの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。
⑰ 治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがあります。
⑱ 矯正歯科治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。