COLUMN

歯列矯正の基礎知識コラム

【監修医:矯正歯科学会 認定医&指導医 増岡 尚哉】



インビザライン治療をする際に、ゴムかけをするように担当の医師から指示をされたことはないでしょうか。
しかし、指示を受けるも、ゴムかけのやり方や効果がわからず不安に思う方がいるかもしれません。
本記事では、インビザライン治療をする際のゴムかけの効果や正しいやり方について解説します。
理想の歯並びに近づくために、正しいゴムかけをおこないながら治療を進めましょう。

【目次】
1、ゴムかけとは?どんな効果がある?
  ・ゴムの種類と適した歯並び
2、ゴムかけのタイミングはいつからいつまで?
3、装着が難しい?【動画】で解説 正しいゴムかけのやり方・コツ
4、ゴムかけする時に守りたい注意点
  ・できる限り長時間使用する
  ・正しい手順で正しい場所にかける
  ・指定の期間は必ず毎日付ける
  ・予備のゴムを持ち歩く
5、正しいやり方と期間を守って、理想の歯並びへ

ゴムかけとは?どんな効果がある?

ゴムかけとは、歯並びや噛み合わせを正しくするためにゴムの力を利用してすすめる治療法です。
歯にアタッチメントを取り付けて、「エラスティックゴム」と呼ばれるゴムをかけ、マウスピースだけではかけられない矯正力を与えることで、歯列矯正がスムーズに進みます。またワイヤーに比べて目立ちにくい、つけ外しが可能というメリットがあります。

ただしゴムかけは、患者さんご自身で毎日付け外し・交換をおこなわなければなりません。
しかし、正しい方法で継続できれば、理想の歯並びへアプローチできます。

ゴムの種類と適した歯並び

ゴムの種類は多種多様であり、患者さんによって太さや大きさの異なるものを使用します。
主なゴムの種類と適応症例は以下のとおりです。

  • 垂直ゴム(適応症例:開咬)
  • 交叉ゴム(適応症例:交叉咬合)
  • Ⅱ級ゴム(適応症例:出っ歯)
  • Ⅲ級ゴム(適応症例:受け口)

症例によって適したゴムを使用することで歯列の改善が見込めますが、マウスピースの切れ込み部分やゴムかけ用のボタンが粘膜にあたるおそれがあります。ダメージが蓄積されると口内炎になるケースもあるため、注意が必要です。

噛み合わせに問題がない場合、ゴムかけなしになるケースもあります。
気になる方は医師に相談し、指示を仰ぎましょう。

ゴムかけのタイミングはいつからいつまで?


ゴムかけを始めるタイミングや期間は患者さんによって異なります。
ゴムかけ開始のタイミングは、ある程度歯並びが整う中盤から後半にかけておこなわれることが多いでしょう。

ゴムかけをする期間は、短いパターンの場合、1ヶ月で済むケースがある一方で、歯の移動距離が長い場合などは、半年以上の期間を要するケースもあるでしょう。

ゴムかけのタイミングや期間が気になる方は、担当医師に直接確認してみましょう。

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装着が難しい?【動画】で解説 正しいゴムかけのやり方・コツ

先に述べたように、ゴムかけは患者自身がおこなわなくてはなりません。そこで、インビザラインの正しいゴムかけのやり方とコツをご紹介します。

マウスピースが歯にピッタリとはまると、フックにゴムをかけるのが難しいケースがあります。この場合は、爪でフックを外側に少し折り曲げましょう。

このときに注意すべきことは、力加減です。力いっぱいフックを外に曲げると、外側に向きすぎてしまい、頬に当たって痛みが生じる原因になるため、注意してください。

ゴムをかけるのが難しい場合は、アライナーリムーバーを使用するとかけやすくなるため、おすすめです。
動画でも解説していますので、参考にしてください。

ゴムかけする時に守りたい注意点

正しいやり方を覚えたら、それを必要な期間、継続することが重要です。
以下のポイントも正しいやり方とともに、覚えておきましょう。

  • できる限り長時間使用する
  • 正しい手順で正しい場所にかける
  • 指定の期間は必ず毎日付ける
  • 予備のゴムを持ち歩く

できる限り長時間使用する


ゴムかけする際は、食事や歯磨き以外のときはできるだけ長時間使用しましょう。装着時間の目安は、1日20時間です。
人によっては、話すときに相手に気づかれないか不安に感じる方がいるかもしれません。
しかし、装着時間を守らないと期待する効果が得られないため、医師が指示する時間のとおりに必ず装着し続けましょう。

使用するゴムは、24時間を目安に新しいものに交換する必要があります。ゴムを使いまわしすると、装着中に切れてしまう可能性があるため、注意が必要です。

もし、就寝中に食いしばりがあって痛いと感じる場合は、担当の医師に相談してください。

正しい手順で正しい場所にかける


正しい位置にゴムかけできない場合、強制力が軽減されてしまい、期待する効果が得られなかったり、効果が出るのに時間がかかったりします。

ゴムかけが慣れていない段階では、鏡を見ながら突起の場所を確認しながらゴムをかけ、またかけ終わったら正しい位置に装着できているかを確認しましょう。
どうしても上手くいかない場合は、ゴムかけ用の専用ホルダーを使用することで正しい位置にかけやすくなります。

指定の期間は必ず毎日付ける


担当の医師から指示された期間は必ず毎日装着するようにしてください。最初からゴムかけをサボってしまうと、予定通りに矯正が進まず、治療期間が伸びてしまうことがあります。

また、せっかく歯並びが治りかけていた状態で指定の時間どおりに装着できないと、後戻りするリスクもあります。

期待する歯並びへ近づけるためにも、医師の指示を守り、毎日装着し続けましょう。

予備のゴムを持ち歩く

ゴムは伸びて外れてしまったり、あくびやしゃべる時に切れてしまったりすることがあります。
また、外出先で食事をするときにゴムのつけ外しをするケースもあるため、代えのゴムを持ち歩くことをおすすめします。

正しいやり方と期間を守って、理想の歯並びへ

インビザラインのゴムかけは、正しいやり方・期間を守らなければ期待する効果が得られません。
そのため、ゴムかけをする際は、担当の医師からしっかり説明を聞き、正しい方法で取り組みましょう。
もし、ゴムかけをする際にわからないことや疑問点が出てきた場合は、遠慮なく歯科医院に相談してください。

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【矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について】

① 矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間~1、2 週間で慣れてきます。
② 歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。
③ 矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
④ 治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。
また、歯が動くと隠れていたむし歯があることが判明することもあります。
⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
⑧ 矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
⑨ 治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。
⑩ 治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。
⑪ 歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
⑫ 矯正歯科装置を誤飲する可能性があります。
⑬ 矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
⑭ 動的治療が終了し装置が外れた後に現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。
⑮ 動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや、咬み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。
⑯ あごの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。
⑰ 治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがあります。
⑱ 矯正歯科治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。