COLUMN

歯列矯正の基礎知識コラム

【監修:増岡尚哉】


歯並びが遺伝する確率は2%程度といわれており、遺伝による歯列不正の確率はごくわずか。歯並びを悪くする9割近くが指しゃぶりや爪を噛むといった癖・生活習慣です。良い歯並びのために気をつけるべきことをご紹介します。

【目次】
1、歯並びの悪さが遺伝するのは2%程度
2、お子さまを良い歯並びにするために気をつけたいこと
  ①軟らかいものばかり食べさせない
  ②歯並びに悪影響を与える癖を改めさせる
  ③姿勢を正すようにする
3、歯並びの悪さが気になったら矯正を考えてみても

歯並びの悪さが遺伝するのは2%程度


上記グラフより、遺伝が原因の歯列不正の割合はわずか2%。不正咬合の多くは”後天的な癖”が原因です。

癖の中でも歯並びに最も大きく影響を及ぼしているのが”口呼吸”。次いで、”舌・口唇の癖”。この2つで約半数を占めています。その他、姿勢・指しゃぶり・食いしばり…と、不正咬合の原因の9割近くが生活習慣・癖など後天的なものなのです。

お子さまを良い歯並びにするために気をつけたいこと

生活習慣・癖など、後天的なものが不正咬合の原因の9割近くを占めます。日常生活で無意識に行っている”癖”に気をつけることができれば”良い歯並び”に近づけます。

気をつけるべきこと3点をご紹介します。

①軟らかいものばかり食べさせない

口周りの筋肉や骨の発達には顎の運動である”かむ”ということが必要不可欠です。

食生活の欧米化が進んだことで”かむ”回数も激減しています。

軟らかいパン、ポテトやハンバーグなど数回噛んだだけで飲み込めるような食事が定着していますが、これらの”軟らかい”食事は顎を使う回数を減らし顎の成長を遅らせてしまいます。

【和食中心の食事】
和食では干物、漬物、乾物などの歯ごたえのある食材を多数使用します。和食中心の食事にするだけでかむ回数を増やすことができます。

【調理法を工夫】
いつもより大きめに食材をカットする、野菜などは火を通しすぎないようにすると歯ごたえをキープでき噛む回数を増やすことができます。

【おやつも歯ごたえのあるものを】
よく噛む習慣づくりのためにおやつにも工夫が必要です。干しいも、するめ、かた焼きせんべい、いりこなどがあります。

②歯並びに悪影響を与える癖を改めさせる

【3歳以降の指しゃぶり】
吸っている指が前歯を押し、開咬や上顎前突の原因に。

▷乳歯が生え始めたころからやめられるようにしましょう。

【歯ぎしり・食いしばり】
歯に負担がかかることで根の向きが変わり、歯並びが乱れる。

▷ストレス発散をする、メモを見えるところに貼って意識をしましょう。

【爪や唇をかむ】
上下の歯に強い力を与え、上顎前歯が前へ出る・下顎が前後に乱れる。

▷しっかり睡眠をとり、健康的な食事を心がけストレスケアをしましょう。

【舌癖(舌を出す・舌を歯に押し付ける・舌が悪い位置にあるなど)】
舌がスポットから離れ、前歯に余計な力がかかり上下顎前突、開咬の原因となる。

▷舌をスポットにおくように意識をしたり、あいうべ体操を行ってみましょう。

【頬杖】
片方に力がかかり、交叉咬合(歯列の途中が交叉している状態)や左右非対称の歯並びの原因になります。

▷頬杖をつく癖は気が付いたらしないようにし早めに治しましょう。

【うつ伏せ寝】
顔を押し当てることで歯が圧迫され歯列不正を引き起こします。口呼吸にもなりやすく、その結果、上顎前突になることもあります。

▷横向き寝も片方に力がかかるので、仰向けで寝るようにしましょう。

【口呼吸】
舌が下方に下がり上顎が上手く拡がることができず、上顎前突や開咬の原因になります。また舌が歯を押し出し叢生にもなります。

▷テープを利用したり、できるだけ鼻呼吸を意識しましょう。

③姿勢を正すようにする

猫背になると胸を広げることが出来なくなり呼吸がしづらくなります。すると、酸素が少なくなり多くの空気を吸い込もうとするために口呼吸になりやすくなってしまいます。口呼吸では舌の位置が下がってしまい上顎前突、開咬、叢生の原因となります。

悪い姿勢が口呼吸の原因となり、口呼吸が不正咬合を引き起こしてしまいます。

姿勢を正すためには膝をしっかり伸ばして骨盤をたて、頭の重心が背骨に乗るように心掛けましょう。ストレッチをして筋肉の緊張をほぐしてあげることも大切です。

【歯並びが悪いことによっておこるリスク】

①審美面
ガタガタしている見た目により審美性が低下します。また、不正咬合によって筋肉や顎骨の発達不足がおき、顔の歪みを引き起こしコンプレックスなどの精神的影響を及ぼすことがあります。

②虫歯・歯周病
歯が重なり合っていたりすると歯ブラシが届きにくくなるため清掃性が低下します。その部分に細菌が繁殖し虫歯や歯周病を引き起こしやすくなります。

③発音
開咬によって上下の前歯が噛み合っていない広すぎる隙間があると、そこから空気が抜けてしまいサ行、タ行の発音にも影響を及ぼします。

④口内炎
ガタガタしていることにより唇や頬を噛みやすく、口内炎ができやすくなります。口内炎を繰り返す場所では絶えず細胞の増殖と修復が行われることになるため、細胞に異常が起きる可能性が高まってしまいます。

⑤顎関節症
不正咬合によりかんだ時の力のバランスが崩れ、顎関節への負担が大きくなり、顎関節症を引き起こす可能性があります。

⑥胃腸への負担
かみ合わせが悪いと、食べ物をかみちぎることやかみ砕くことが難しくなり、よく噛まずに飲み込んでしまいます。その結果、消化を助ける唾液が出ず、胃や腸へ負担をかけてしまいます。

⑦虫歯・歯周病に罹患した際に治療の難易度が上がってしまう
患部の構造が複雑になりやすいので治療の難易度が高くなり、患者様自身にも治療の負担が大きくかかる可能性があります。

初診カウンセリング予約

歯並びの悪さが気になったら矯正を考えてみても

【ワイヤーブラケット】
ブラケットと呼ばれる器具を歯1つ1つに接着させブラケットにワイヤーをつけ歯を移動させる治療法のこと。一度接着させると簡単には外すことはできません。

部分矯正の場合は、ブラケットを治したい部分にだけつけます。

▼対象年齢:12歳〜

▼治療期間:2〜3年(個人差あり)

▼メリット

  • 歯列矯正の効果が得られやすい
  • 歯列を細かく調整することが可能

▼デメリット

  • 費用が高い
  • 取り外しができないため、歯磨きがしにくく虫歯や歯茎の腫れを引き起こしやすい
  • ワイヤー調整後は痛みが出やすい
  • 痛みにより、食事や睡眠に支障をきたすことがある

▼費用:70〜150万円

【マウスピース型矯正装置による矯正治療】
混合歯列期(乳歯と永久歯の交換期)にあるお子様のためのマウスピース型矯正装置もございます。

一人ひとりに合わせたマウスピースで歯を動かします。(マウスピースは1週間〜10日ごとに交換、1日20時間以上つける必要があります。)

▼対象年齢:おおよそ 7〜9歳(混合歯列期前期から。6歳臼歯と前歯2/3萌出している必要があります。)

▼治療期間:1年〜1年半(個人差あり)

▼メリット

  • ”顎を拡大させながら、歯列不正・不正咬合の治療を同時に行う”ことが可能
  • 取り外しが可能なので食事・歯磨きがしやすい
  • 大幅な治療期間の短縮で負担が少ない

▼デメリット

  • 取り外しが可能な分、矯正治療の効果は頑張り次第となってしまう
  • 装着中は飲食ができない

▼費用:30〜60万円(相場)

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【拡大床】
ネジのついた取り外し可能な装置を口腔内に入れて、顎を広げて歯を並べる矯正方法です。ネジは1週間のうちに数回、自宅で回してもらいます。

急速拡大法と緩徐拡大法の2つ方法があります。装置の種類には、側方拡大装置、前方拡大装置、閉鎖型装置、後方拡大装置等があります。

▼対象年齢:成長段階にあり混合歯列期のお子さん。5〜10歳頃まで。

▼治療期間:1年〜1年半(個人差あり)

▼メリット

  • 痛みが少ない
  • 取り外しが可能なので、食事・歯磨きに影響を及ぼさない
  • ワイヤー矯正よりも安価

▼デメリット

  • お子さんが非協力的だと装置着用時間が不十分となってしまい効果が得られない
  • 発音がしにくい
  • 装置による違和感・異物感が強い

▼費用:20〜40万円(相場)

エムアンドアソシエイツ矯正歯科の治療費についてはこちら

当院では随時、初診カウンセリング・ご相談を受け付けております。

お気軽に足を運んでいただき、まずはカウンセリングでご希望や心配点・疑問点などお聞かせ下さい。

それではあなたからのご相談をお待ちしております。

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「マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置(製品名インビザライン完成物薬機法対象外)」とは?

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【矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について】

① 矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間~1、2 週間で慣れてきます。
② 歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。
③ 矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
④ 治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。
また、歯が動くと隠れていたむし歯があることが判明することもあります。
⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
⑧ 矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
⑨ 治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。
⑩ 治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。
⑪ 歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
⑫ 矯正歯科装置を誤飲する可能性があります。
⑬ 矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
⑭ 動的治療が終了し装置が外れた後に現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。
⑮ 動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや、咬み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。
⑯ あごの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。
⑰ 治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがあります。
⑱ 矯正歯科治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。