COLUMN

歯列矯正の基礎知識コラム

【監修:歯科医師・矯正認定医 増岡尚哉】


歯並びが悪く噛み合わせた時に隙間がある状態だと、うまく発音ができないことがあります。その悪い歯並びの1つに出っ歯が挙げられます。

悪い歯並びや噛み合わせの原因は遺伝だけではありません。小さい頃の指しゃぶりや口呼吸、舌や唇の悪い癖なども関係しています。

一般的なワイヤー矯正以外にも、着脱式の装置を使い舌や唇のトレーニングを行なって歯並びを改善する「MFT:口腔筋機能療法」という方法もあります。このコラムでは「歯並びと発音の関係」や「MFT」についてお伝えします。

【目次】
1、なぜ出っ歯だと発音が悪くなるの?
2、歯並びが悪いとサ行がうまく言えない?
3、出っ歯だけではない-発音を悪くする不正咬合
  ・下顎前突(かがくぜんとつ)・受け口
  ・叢生(そうせい)
  ・空隙歯列(くうげきしれつ)・すきっ歯
  ・開咬(かいこう)
  ・過蓋咬合(かがいこうごう)
4、矯正治療で発音が改善する可能性があります
5、歯並びだけでなく舌にも原因があるかも?
6、出っ歯だけでなく低位舌も歯科医院で改善できる?MFTとは
7、矯正治療・MFTをご検討の方は当院へ

なぜ出っ歯だと発音が悪くなるの?

出っ歯(上顎前突)だと、歯を噛み合わせた時に上下の前歯に隙間ができ、発音する時に隙間から息が漏れ出てしまうため、発音が乱れてしまいます。

とはいえ、発音が悪くなる原因が全て歯並びにあるわけではありません。舌、唇、筋肉の使い方などが原因になることもあります。そのため、歯並びを治しても発音が改善されない場合は舌や唇のトレーニングを行ない、発音を改善する方法もあります。

アナウンサーや歌手の中にも、発音を改善するために、まず歯並びを治す治療を受ける方がいらっしゃるのも事実です。それだけ歯並びと発音は大きく関係しています。

歯並びが悪いとサ行がうまく言えない?

歯を噛み合わせた時に隙間があると、空気が漏れ出るため発音が乱れ、正確に発音することが難しくなります。特にサ行、タ行、ナ行、ラ行は、舌を歯の裏側にあてて発音するため、歯並びによる影響が大きいです。

特にサ行は「歯擦音」といわれ、上下の歯を擦り合わせ、その隙間から息を通して発音します。そのため、上下の歯が噛み合わず隙間が空いている場合は発音しにくくなります。

出っ歯だけではない-発音を悪くする不正咬合

出っ歯以外にも発音に影響する歯並びはあります。

悪い歯並びだと歯と歯の間や上下の歯の間に隙間ができたり、舌が正常に動かしづらくなることがあるからです。それらの不正咬合を5つ紹介します。

下顎前突(かがくぜんとつ)・受け口

歯を噛み合わせた時に上下の前歯の位置が反対になっている状態で下の前歯が前に出ている状態をいいます。上下の歯に隙間ができるため発音に影響します。


叢生(そうせい)

歯が凸凹に並んでいる状態をいいます。凸凹による隙間があることや、舌が正常に歯に接することができず発音しにくくなります。


空隙歯列(くうげきしれつ)・すきっ歯

永久歯が生えそろっても歯と歯の間に隙間がある状態をいいます。その隙間から息が抜けてしまうため発音に影響します。


開咬(かいこう)

歯を噛み合わせた時に前歯が噛み合わず隙間ができている状態をいいます。上下の歯に隙間ができるため発音に影響します。


過蓋咬合(かがいこうごう)

下の前歯が上の前歯で隠れてしまい、噛み合わせが深くなっている状態をいいます。この状態も上下の歯に隙間ができることで発音に影響します。


矯正治療で発音が改善する可能性があります

歯並びと発音は大きく関係しているため、矯正治療で不正咬合を治すことで発音が改善される可能性は非常に高いです。

矯正治療により歯並びが整うと、噛み合わせも改善され上下の歯の隙間もなくなります。そのため、息の漏れがなくなるため少しずつ発音も改善されます。また、歯並びが綺麗に並ぶことで舌を動かせるスペースもできるので、滑舌も改善されることもあります。

ただ、矯正治療で必ず発音が改善される訳ではありません。発音は歯並び以外にも舌の動きも大きく関係しているからです。舌の動きに癖などがあると、矯正治療後にその癖も改善する必要があります。

正しい発音の練習や舌の動きのトレーニングを行なう場合は、そのトレーニングプログラムを行なっている専門の歯科医院を受診する必要があります。

歯並びだけでなく舌にも原因があるかも?


本来、舌の位置は上顎(口蓋)にペタッとついている状態が正常です。

しかし、口呼吸など悪い癖があると舌の位置が正常な位置より下がってしまいます。その状態を「低位舌」といいます。

口を開いてベロの側面に歯形がついている場合は、「低位舌」の可能性があります。舌は筋肉でできていますが、低位舌の方は舌の筋肉量がかなり少ない状態です。低位舌も発音や滑舌を悪くする原因の1つと考えられています。

出っ歯だけでなく低位舌も歯科医院で改善できる?MFTとは

「低位舌」は歯並び以外にも歯の成長を妨げたり、口呼吸や睡眠時の気道閉鎖などにも繋がります。舌や口の機能を改善することができれば、こうした問題が解消され、顎の発育も促されることで歯並びにも良い効果が期待できます。

この治療法を「MFT:口腔筋機能療法」と言います。MFTでは、着脱可能な専用の装置を使用し、口の周囲や舌の筋肉を正常な状態に近づけるトレーニングを行います。

英語圏の方の場合、口全体を大きく使って明瞭な発音を行う必要があります。そのため、幼少期から発音改善のために言語療法士などが介入し、トレーニングを行う文化が根付いています。アメリカにおけるMFT治療の歴史は長く、その発祥は1918年頃とされています。

対して、日本人は主に口先だけを使って発音を行う傾向があるので、そもそも発音に対する意識が異なります。そして、言語療法士やMFTの文化もまだまだ定着していません。

こうした背景もあり、日本ではお子さまの発音へのアプローチはどうしても後回しになりがちです。それによって、お子さまの口や舌の筋肉がうまく成長できない・発音が明瞭でない・歯並びも乱れ始める・・・といった傾向が見られるのです。

近年では、日本においても、こうした問題が効果が期待できる「予防矯正プログラム」というものが少しずつ確立されてきています。

一般的には5歳前後から治療を始めることができ、治療期間は最低でも約2年は必要になります。

矯正治療・MFTをご検討の方は当院へ

歯並びを治す方法はワイヤーやマウスピースを使用する矯正治療が一般的です。ただ、それらの方法では歯を強制的に移動させて歯並びを治すことになります。

その治療期間に歯並びに対する悪い癖が治らなければ、歯並びが元に戻る「後戻り」が起こってしまう可能性が高いです。そして、大人になってから矯正治療をする場合には、スペースを作るために抜歯が必要になることもあります。

一方、歯並びを変えようとするのではなく、口の周囲や舌の筋肉を正常な状態に近づけることができれば、結果的に生まれつきのまっすぐな歯並びを手にいれることができます。そのため「後戻り」もしにくいです。

エムアンドアソシエイツ矯正歯科では矯正治療やMFT、予防矯正プログラムについて無料相談も行なっております。また、成人のMFT治療についても対応しておりますので、お気軽に当院へお尋ねください。

「マウスピース矯正」「MFT」について
メールで相談する

無料カウンセリングでドクターに相談する