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歯列矯正の基礎知識コラム

乳歯が抜けて永久歯が生えてくるという「歯の生え変わり」を、お子様の成長記録の1つとして楽しみにされている親御さんもいらっしゃるでしょう。
歯の生え変わりは5、6歳くらいから始まり、12歳くらいまでに終わるのが一般的です。しかし、中には中学生以降になっても乳歯が抜けなかったり、永久歯が生えてこなかったりする場合もあり、原因によっては何らかの対処が必要かもしれません。
ここでは、歯の生え変わりの仕組みや生え変わらない場合の対処法について、詳しくご紹介していきます。

【目次】
1、乳歯が抜けない…いつ生え変わるのが正常?
2、乳歯が抜けない原因は?
3、乳歯が抜けないと永久歯にどんな影響がある?
 ・永久歯が生えない場合の治療法
 ・歯並びが悪くなってしまったら

乳歯が抜けない…いつ生え変わるのが正常?

体の成長と同じように、歯の成長、生え変わりにも個人差があります。
乳歯はおおよそ3歳くらいまでに、上10本、下10本の合計20本が生えてきます。
そして徐々に顎が成長し、6歳ころから12歳くらいにかけて上14本、下14本の合計28本の永久歯に生え変わっていきます。


乳歯列と永久歯列

永久歯はまず、顎の骨の中に歯胚という歯の卵のようなものができ、ゆっくりと成長していきます。
ある程度まで歯の形ができると、永久歯の上にある乳歯の根は細胞によって少しずつ溶かされていきます。
根が溶けて支えがなくなった乳歯はグラグラして自然に抜け落ち、そこへ永久歯が顔を出します。
これが、永久歯への生え変わりの仕組みです。


乳歯が生え変わる位置

乳歯Aには永久歯1、Bには2というように、基本的にそれぞれの乳歯に対応する永久歯は決まっていて、乳歯Aが抜けた部分に永久歯1が生えてくるように永久歯は作られます。
下の前歯から始まり、上の前歯、下の奥歯から上の奥歯という順番で生え変わっていくのが一般的です。
しかし、6・7番目の「大臼歯」と呼ばれる永久歯に対応する乳歯はなく、大臼歯は乳歯Eの後ろの歯茎から顔を出します。生えだす時期から、6番目の永久歯は「6歳臼歯」、7番目は「12歳臼歯」と呼ばれています。
8番目の永久歯は「親知らず」です。7番目までの永久歯が生え変わり、10代後半から20代くらいになると生えてきます。ただ、全ての方に存在するわけではありません。お口全体のレントゲン写真を撮影することによって、歯胚があるかどうか、あるとしたらどのように生えてくるのかなども予想することができます。

乳歯が抜けない原因は?

乳歯が抜けない原因は、大きく分けると3つあります。

その1:永久歯の成長が遅い
永久歯への生え変わりは、おおよその時期は決まっていますが「必ずその時期に生えてこなければいけない」わけではありません。
体の成長速度に個人差があるように、永久歯の成長速度にも個人差があるからです。早い人もいれば遅い人もいて、生える順番が前後することもあります。

その2:先天性欠如
何らかの原因で歯胚が作られず、生まれつき永久歯がないことを「先天性欠如」といいます。
永久歯がないと細胞が乳歯の根を溶かすこともないため、乳歯が抜けることはありません。
そのため、乳歯のままずっと過ごすことになります。

その3:埋伏歯
骨や粘膜に埋まったまま生えてこない永久歯のことを「埋伏歯」といいます。
親知らずがこの状態になることが多いです。
完全に埋まっているもの、半分だけ埋まっているもの、横向きに埋まっているものなど種類は様々ですが、特にトラブルになるようなことがなければ、そのままにしておくこともあります。

乳歯が抜けないと永久歯にどんな影響がある?

「生え変わりが遅いかも…」と心配になった時、一番に気にしなければいけないのは「永久歯があるのかどうか」です。これは、レントゲン撮影をすればはっきりします。
永久歯がちゃんと存在していることがわかったなら、あとは経過観察をしながら永久歯の成長を待ちましょう。

永久歯が生えない場合の治療法

生まれつき永久歯が存在しない「先天性欠如」が原因で永久歯が生えてこない場合は、乳歯のまま過ごすことになります。しかし、元々乳歯は「永久歯に生え変わる」まで使用するためのもので、一生使えるほど強くはなく大人になると抜けてしまうことが大半です。
乳歯が抜けると、本来あるべき永久歯の数(親知らずを除く上14本、下14本)よりも上下のどちらかが少なくなり、バランスが崩れることでかみ合わせや歯並びなどにも影響が出てきてしまいます。
そのため、乳歯の状態を経過観察しながら、抜けた部分にどのような治療を行なっていくかを歯科医師と相談して決めていくことになります。

歯並びが悪くなってしまったら

歯が抜けた部分にはスペースが空きます。

永久歯の成長を待たずに何らかの原因で早期に乳歯が抜けてしまう、先天性欠如によって後から生えてくる永久歯がないなど、すぐにそのスペースを埋めることができないこともあります。

その場合、歯は空いている方向に動いてしまうため、スペースの両隣の歯が倒れるなど歯並びは徐々に崩れていってしまいます。そして、それによって噛み合わせも崩れていくのです。

崩れてしまった歯並びを綺麗にするには、矯正治療が必要です。

現在では、ワイヤー矯正に加えてマウスピース型矯正装置での矯正治療法もあります。

歯が抜けた後すぐなら、ブリッジ、インプラントなどスペースを補う治療を行うことも可能ですが、歯並びが崩れてしまってからではそうはいきません。

放置せずに、なるべく早い段階で歯科医師にご相談ください。

まとめ

大切なのは、なるべく早い段階で「永久歯がなかなか生えてこない」原因をはっきりさせることです。子供の頃に先天性欠如がわかれば、成長に合わせながら治療プランを立てることができます。
少しでも心配になったら早めに歯科医院を受診してレントゲン撮影を行いましょう。





【矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について】

① 矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間~1、2 週間で慣れてきます。
② 歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。
③ 矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
④ 治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。
また、歯が動くと隠れていたむし歯があることが判明することもあります。
⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
⑧ 矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
⑨ 治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。
⑩ 治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。
⑪ 歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
⑫ 矯正歯科装置を誤飲する可能性があります。
⑬ 矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
⑭ 動的治療が終了し装置が外れた後に現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。
⑮ 動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや、咬み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。
⑯ あごの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。
⑰ 治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがあります。
⑱ 矯正歯科治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。