学校歯科検診の「要注意 乳歯」とは?すぐに治療すべき?
学校歯科検診では虫歯や歯並び、噛み合わせを審査することはもちろんですが、「要注意乳歯」という項目があります。
この聞きなれない「要注意乳歯」とは?治療をしなければいけない歯なの?
「要注意乳歯」について詳しくお話します。
【目次】
1、「要注意乳歯」とは?
2、「要注意乳歯」と診断されたら何をすべき?
3、「要注意乳歯」治療が必要なケース
・「要注意乳歯」の治療方法
・「要注意乳歯」を放置するリスク
4、「要注意乳歯」にさせないためにできること
・親が歯の適切な抜け代わり時期を把握し、毎日チェックする
・定期的に歯科検診を受ける
・予防矯正という方法も
5、当院ではお子さまの矯正も行っています
「要注意乳歯」とは?
小学校に入学する6歳ころから、「6歳臼歯」と呼ばれる最初の大人の歯が生えてきます。
そして、前歯の乳歯、臼歯の乳歯が抜けて徐々に大人の歯に生え変わります。
学校歯科検診では、虫歯や歯並び、噛み合わせのチェックの他に「要注意乳歯」という項目があり、検診結果でその項目にチェックが付いているというお子さまもいらっしゃいます。
この「要注意乳歯」とは、虫歯になりそうな歯という意味ではありません。乳歯や後から生えてくる永久歯との関係に何らかの問題がある場合に指摘されます。
- 乳歯がグラグラ大きく揺れている
- 乳歯が抜けていないのに横や後ろからから永久歯が生え始めている
このような状態の場合に「要注意乳歯」となります。
「要注意乳歯」と診断されたら何をすべき?
「要注意乳歯」と診断され、永久歯が生えそうなのに乳歯がグラグラせずになかなか抜けそうにない場合はレントゲンを撮影して診断します。
乳歯の下にある永久歯の位置や、乳歯の根っこの形などを歯科医院で詳しく診てもらい、必要であれば抜歯をすることがあります。親御さんやお子さん自身が無理矢理歯を抜こうとすると、根っこが折れたり割れたりしてかけらが残ることがあるので注意が必要です。
なかなか抜けない乳歯がある場合、後から生えてくる永久歯に影響を及ぼします。乳歯が邪魔で本来生える位置からずれることで歯並びが悪くなったり、乳歯と永久歯が前後に生えていると歯磨きがしにくく虫歯になる恐れもあります。
早めに歯科医院を受診することが大切と言えます。
「要注意乳歯」治療が必要なケース
〇永久歯が生えてきたのに乳歯がグラグラしない
本来乳歯の下に永久歯があり、乳歯の根っこを溶かしながら乳歯がグラグラして抜けます。永久歯が近くに見えるのに乳歯がグラグラしない場合は治療が必要です。
〇永久歯が歯の前後、左右の脇から生えてきている
永久歯が本来生える位置からズレて生えてくると歯並びや噛み合わせに影響があります。
〇乳歯が抜けずに周りの歯肉が腫れて痛みがある
乳歯がグラグラしてくると歯と歯肉の間に隙間ができ、汚れや細菌が入りやすくなり歯肉が腫れて痛むことがあります。
〇乳歯が抜けた後に乳歯の欠片が残っている
乳歯がグラグラして抜けそうなっている状態で無理やり抜くと、根っこや歯の欠片が残ることがあります。
〇乳歯がむし歯でボロボロになって欠けている
虫歯が進行すると歯が弱くなり、ボロボロに欠けてきます。
〇永久歯が生えてくるのが見えず乳歯が残っている
小学校高学年になってきても乳歯が動かず永久歯も生えてこない場合は、永久歯が先天的にない場合があります。
「要注意乳歯」の治療方法
「要注意乳歯」は多くの場合、次に生えてくる永久歯への影響が最小限になるように適切な時期に抜歯が必要になります。
グラグラしてきた歯をご家庭で抜くとなると、痛みや出血が心配になることでしょう。また、無理矢理抜くと歯の根っこが折れて歯茎に残ることも心配です。お子さんご自身が汚れた手で乳歯を触ることも歯肉の炎症に繋がります。
先述のように、稀に永久歯が生えてこない場合は、大人になっても乳歯を長く保っていく必要があるので虫歯や歯周病から守ることが大切です。
これらの診断をするには、歯科医院でレントゲンを撮影して骨の中の見えない永久歯の位置や形などを確認してもらうことが必要になります。
その結果、自然に抜けるのを待って問題ない場合もありますが、グラグラしている「要注意乳歯」があることがわかったら、早目に歯科医院に抜いてもらうことをお勧めします。
歯科医院では短時間で痛みもほとんどなく抜歯ができます。検診ではできない歯のクリーニングや、生えてきたばかりの永久歯が虫歯にならないための予防ケアもお勧めします。
「要注意乳歯」を放置するリスク
「要注意乳歯」のまま放置すると、
・グラグラしている歯で食べ物を噛むと痛みが出る
・乳歯と永久歯の間に汚れが溜まると永久歯も虫歯になりやすくなる
・前歯が二重歯列(2枚歯)になっているのに乳歯がぐらついていない場合は、前歯の歯並びが悪くなる
・乳歯の根っこが歯肉からはみ出ていると、歯肉が傷付き痛み出たり腫れることがある
・汚れが乳歯と歯肉の間に入り歯肉炎を起こす
・グラグラのまま物を噛んでいると歯肉の中で根っこが折れることがある
・虫歯でボロボロのまま放置すると、後から生えてくる永久歯も虫歯になる可能性がある
・乳歯が永く残っていると永久歯が生える位置がずれて歯並びが悪くなる
・永久歯がずれて生えると、噛み合わせが悪くなる
このように、抜けるべき乳歯が長く残っていると、永久歯に様々な影響を与えることになります。
「要注意乳歯」にさせないためにできること
親が歯の適切な抜け代わり時期を把握し、毎日チェックする
乳歯が永久歯に生え変わる順番は、最初に「6歳臼歯」と呼ばれる永久歯が乳歯列の一番奥に生え、次に前歯、犬歯、奥歯の順に生え変わり、12歳~14歳頃に7番目の「12歳臼歯」が生えてきます。
お子さんがご自分で歯磨きをしたあと、親御さんが仕上げ磨きをする際のチェックポイントを挙げます。
・虫歯がないかどうか:黒っぽくなっている箇所はないか
・歯並びのチェック:イーの口をしてカチカチ噛んでみて違和感がないか
・歯肉の炎症がないか:歯と歯肉の境目が赤く腫れていないか
・グラグラしている歯はないか、永久歯が見えてないか:清潔な指で歯を揺らしてみてチェック
これらに注意してお子さんのお口の中を見てください。
定期的に歯科検診を受ける
生え始めの永久歯はとても弱いので虫歯になりやすいです。
乳歯と永久歯が混在する時期は長く、この時期に虫歯にならないためには、定期的に歯科医院での検診が重要になってきます。
歯科医院では、虫歯のチェック、歯並びのチェックの他に、歯のクリーニングで汚れをしっかり落として歯を守るためにフッ素を塗るといった予防処置を行います。
虫歯が見つかった場合でも、定期的に検診をしている場合は比較的簡単な治療で済むことが多いです。虫歯にならないためには、ご自宅での歯磨きもとても大切です
予防矯正という方法も
乳歯がうまく抜けず永久歯がずれて生えてきて歯並びが悪くなった場合、予防矯正という治療方法があります。歯並びが悪くなる原因は生え変わりが悪い場合の他に後天的な原因も多く、口呼吸やあごの発育不良など普段何気なくしている癖や姿勢が関係します。
予防矯正は、歯並びを良くするだけではなく、これらの癖や姿勢を整えるトレーニングを行うことで、歯並びを悪くする口呼吸を改善し、あごの正常な発達を促すことで歯並びと噛み合わせを改善します。
当院ではお子さまの予防矯正も行っています
当院ではお子さまの成長に合わせて歯並びを整え顎の成長を促し、普段の悪習癖を改善する予防矯正を行っています。
予防矯正で使用する装置は取り外しができるので、食事や歯磨きの邪魔になりません。また、装着時間は12時間程度と、ご家庭で過ごされる時間内に装着し、学校などの外出時には外しておくことができます。
お子さまの歯並びや噛み合わせなど、少しでも気になることがありましたら、当院にご相談ください。予防矯正について詳しくご説明させて頂きます。
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