COLUMN

歯列矯正の基礎知識コラム

【監修:歯科医師・矯正認定医 増岡尚哉】


大人になって”虫歯になりやすい人”と”虫歯になりにくい人”には大きな違いがあります。なりやすい原因には歯並びが影響していることもあります。”大人の虫歯”の原因を解説し、予防方法についてお伝えします。

【目次】
1、そもそも虫歯とは?どんな状態なのか
2、最近は35歳以上の虫歯が増えている
3、大人が虫歯になる理由
  ・虫歯になる人とならない人の違い
4、大人の虫歯を予防する方法
5、歯並びの悪さも虫歯の原因に
  ・歯並びが原因の場合、矯正が虫歯予防になることも

そもそも虫歯とは?どんな状態なのか

虫歯の原因は”細菌感染”です。

虫歯の原因となる細菌”ミュータンス菌”は、常に口腔内に生息しています。糖分を含む飲食物を摂取することで活発になり、プラークを形成します。

人の口の中は中性の状態を保っていますが、プラークが酸を発生させることで、酸性に傾いていきます。

口の中が酸性に傾くと、歯の構成成分である”カルシウム”・”リン”が溶け出し、虫歯になりやすい環境へと変化していきます。

虫歯を防ぐためには、

  • 規則正しい食生活(ダラダラ食べをしない)
  • 食後にきちんとブラッシングが行えている
  • フッ素の利用が出来ている

上記3つが出来ていれば、唾液の緩衝作用(酸性に傾いた口腔内を中性に戻す作用)が働くので、虫歯になりやすい環境から脱することができます。

上記3つが出来ていないと、酸性状態が長くなり、虫歯になりやすくなります。


虫歯が進行する流れ

最近は35歳以上の虫歯が増えている

厚生労働省「平成28年歯科疾患実態調査」によると、近年35歳以下の「う蝕(虫歯)を持つ者」の人数は減っていますが、歯の保有年数が高まるにつれて35歳以上の虫歯保有も増えています。


日本ではこれまで、80歳まで自分の歯を20本を残そうという「8020運動」が推奨されてきたこともあり、残存歯数(残っている歯の本数)は増加傾向にあります。

せっかく残存歯数が増えているのに、残った歯が虫歯になってしまうのは非常にもったいないですよね。

歯を残すだけでなく、健康な歯を残すためにはどのようなことに気を付ければ良いのでしょうか?

大人が虫歯になる理由

大人が虫歯になる理由としては、

  • 2次う蝕(過去に施した詰め物の下で再度虫歯になること)
  • 根面う蝕(歯茎が下がったことによってできる歯の根元の虫歯のこと)

といったことが考えられます。

詰め物はどんなものでも、”永久的なもの”はありません。噛むことによる負荷・熱い物・冷たい物などの温度変化により金属が膨張・収縮を繰り返し、変形します。

適合の悪くなった詰め物・被せ物や、歯のひずみによって生まれたひびや隙間から、唾液や細菌を吸い込み虫歯になっていってしまうことがあります。

この場合、外側からは見えにくいため発見しにくく、進行もしやすいです。

然るべきタイミングで再治療を受けることをおすすめします。

虫歯になる人とならない人の違い

たとえ、同じように一生懸命歯磨きをしていても、虫歯になりやすい人・ならない人がいます。この差は一体何なのでしょうか?

虫歯になりやすい人の傾向として、以下のような理由が考えられます。

①歯磨き不足
正しい歯磨きが出来ていない・補助用具の使用がないとプラークが残ってしまい虫歯のリスクに大きく影響します。

②口の中のミュータンス菌が多い
ミュータンス菌の数が多ければ多いほど、酸性に傾きやすく歯も溶けやすくなってしまいます。保有する菌のバランスは人によって違うため、正確に調べるためには検査を行う必要があります。

③エナメル質構造が弱い
エナメル質の構造が弱いと、酸に弱く虫歯になりやすい傾向があります。

④唾液の「質」の問題
唾液には緩衝作用以外にも、抗菌・自浄作用があります。唾液の分泌が少ない・粘性が高いとこれらの作用が上手く作用しなくなってしまいます。元々持っている唾液の「質」によって、こうした機能に差が生まれます。

⑤糖分を含む飲食の回数が多い
糖分を含む飲食物の摂取は、ミュータンス菌を活発にし、酸を発生させます。酸は歯を溶かすため虫歯のリスクを高めます。

⑥飲食時間が長い
飲食時間が長いと酸性時間を長引かせ、中性に戻ることが出来ませず歯を溶かし続けてしまいます。

⑦歯並びや噛み合わせに問題がある
重なった歯の部分では磨き残しが増えます。噛み合わせが悪いと、かむ力のバランスが崩れることで歯の表面を傷つけてしまいます。そこから、細菌が歯の内部に侵入し虫歯へと繋がってしまいます。

大人の虫歯を予防する方法

それでは、大人が虫歯を防ぐためにはどうすれば良いのでしょうか?

●自宅でのセルフケア
量より質です。正しい磨き方を習得することが重要です。歯間の清掃には補助用具(デンタルフロス・歯間ブラシ等)が必須です。

●歯科医院でのプロフェッショナルケア
セルフケアだけでは不十分なため、歯科医院でのクリーニングも3〜6ヶ月に1回は受けましょう。また、定期的な検診を受けることで、詰め物・被せ物の状態をチェックでき、2次う蝕の予防にも繋がります。

●フッ素塗布
フッ素には、酸によって歯から溶け出した、”カルシウム”・”リン”を補う ”再石灰化”を促進する作用があります。虫歯への抵抗力を高めるので、3〜6ヶ月に1回の塗布を心掛けましょう。

●ダラダラ食べ・糖分の過剰摂取をやめ、規則正しい食生活を心掛ける
間食をゼロにする必要はありません。時間を決めて摂取するようにしましょう。

”テレビを見ながら”・”スマートフォンを触りながら”などの”ながら食べ”はダラダラ食べに直結してしまうので気を付けましょう。

歯並びの悪さも虫歯の原因に

80歳で20本以上の歯が残っている人を対象に「どのような歯並びの人が多いか?」という調査が行われたことがあります。

興味深いことには、20本以上自分の歯がある方々の中で、不正咬合(悪い歯並び)の方は一人もいなかったという結果が報告されました。

歯並びが悪い場合、虫歯・歯周病のリスクが高まったり、かみ合わせが悪く歯に負担がかかったりすることで歯の寿命が縮んでいくことが考えられます。

虫歯のリスクが高まる理由としては、下記のようなことが考えられます。

①清掃不良になりやすい
歯が重なり合ってデコボコしていたり、歯が斜めに倒れてしまっ ているとプラークは溜まりやすく、歯ブラシも行き届きにくくなるため虫歯のリスクが高まります。

②口呼吸になりやすい
噛み合わせが悪いと口が閉じにくくなることが多いです。口呼吸をしていると、口腔内が乾燥し、唾液の分泌量が減少します。

唾液のが減ることで、

▶自浄作用(口腔内の汚れを洗い流し、きれいに保つ作用)
▶抗菌作用(抗菌物質によって、粘膜等を保護する作用)

これらの働きが減り、ミュータンス菌が増殖、口腔内が不衛生となり、むし歯のリスクが高まります。

③自然にプラークが落ちない
正常な噛み合わせであれば、上下の歯が接触することでプラークが自然に落ちることがあります。しかし、噛み合わせが悪いと歯がうまく接触しないことにより、自然に落ちるプラーク量が減ってしまいます。

歯並びが原因の場合、矯正が虫歯予防になることも

歯科矯正を施すことは、”審美性(見た目)”の改善だけではなく、虫歯予防にも繋がります。

歯並びや噛み合わせを改善することで、歯磨きがしやすくなり、一部の歯に大きな負担をかけることがなくなります。

代表的な矯正治療方法は大きく3つ。

【ワイヤー矯正】
ブラケットと呼ばれる器具を歯に接着させ、ブラケットにワイヤーをつけ歯を移動させる矯正治療のこと。一度接着させると簡単に外すことは出来ません。

【インビザライン矯正(マウスピース矯正)】
一人ひとりに合わせたマウスピースで歯を動かす治療方法。(マウスピースは1週間〜10日ごとに交換、1日20時間以上つける必要があります。)

【補綴治療(かぶせ物治療)】
セラミッククラウン:歯を削って形を整え、セラミックを被せる治療方法。
ラミネートベニア:歯面を0.5㎜程削り、セラミックを貼り付け隙間を埋める方法。 

特に、インビザライン矯正は多くのメリットがあり、おすすめです。

【インビザラインのメリット】

  • 透明で目立たない
  • 取り外せるので衛生的
  • 小さな力で歯を動かすことが可能なので痛みが少ない
  • ワイヤー矯正で起こる装置による傷・口内炎のリスクが低い
  • 普段通りの食事が可能
  • ワイヤー矯正に比べて通院回数が少ない

エムアンドアソシエイツ矯正歯科では、矯正治療を検討中の方に「無料カウンセリング」を実施しております。

日本矯正歯科学会認定医・矯正指導医が実際に口腔内の状態を確認し、60分間しっかりご相談にお答えします。

また「いきなり相談するのはハードルが高い」という場合には、無料メール相談や、オンライン相談などからもご相談を受け付けております。

矯正治療は「審美性」に注目されがちですが、実は、虫歯・歯周病・かみ合わせの問題を改善し、ご自身の歯を長く・健康に維持していただくために非常に効果的な治療方法なのです。

少しでも気になることがあればお一人で悩まれず、ご相談下さい。

それではあなたからのご相談をお待ちしております。

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