COLUMN

歯列矯正の基礎知識コラム

【監修:歯科医師・矯正認定医 増岡尚哉】


”出っ歯の治療”を受けたが、結果に納得いかない場合にすべき4つのステップは①治らなかった原因を考える②かかりつけ医へ相談③セカンドオピニオン④再治療先と方法を考えるです。

今回は、この4つのステップについて詳しく解説します。

【目次】
1、症状によって治療に違いがある出っ歯矯正
2、STEP1:まず、治らなかった原因を考えてみる
3、STEP2:かかりつけ医に相談する
4、STEP3:セカンドオピニオンをもらう
 ・セカンドオピニオンをお考えの方へ
 ・セカンドオピニオンを受ける医院の探し方
 ・セカンドオピニオンの流れ
5、STEP4:再治療と方法を考える
 ・ワイヤーブラケット矯正
 ・マウスピース矯正
5、かかりつけ医と他院、どっちがいい?
6、今度こそ再治療を成功させるために
 ・詳細な治療計画を立てる前に、精密検査を行ってもらうこと
 ・矯正装具装着時のルールを守る
 ・保定をしっかりする
 ・定期的に通院する
7、当院では再治療のご相談も承っております

症状によって治療に違いがある出っ歯矯正

”出っ歯”には以下の3つの原因があります。

  1. 癖や習慣によって上顎が突き出している”歯性”
  2. 遺伝などにより上顎が出ている”骨格性”
  3. 上の前歯と上顎の両方が前突している”歯性と骨格性”

それぞれの原因によって治療方法も異なります。

  1. ”歯性”の場合 ➡︎ IPR・マウスピース・ワイヤー・セラミック治療
  2. ”骨格性”の場合 ➡︎ 抜歯を伴う歯科矯正治療・外科手術(骨切り術)
  3. ”歯性”と”骨格性”の場合 ➡︎ 抜歯を伴う歯科矯正治療・外科手術(骨切り術)

STEP1:まず、治らなかった原因を考えてみる

実際に、出っ歯が治らなかった原因にはどのようなものがあるのでしょうか?

<しっかりと保定を行わなかった>
矯正治療終了直後は、顎骨に固定されるまでに3年程の期間を要します。

この期間に、保定装置をきちんと使用しないと歯は動いてしまいます。顎骨に固定されるまではしっかりと保定装置を使用する必要があります。

<抜歯が必要なのに非抜歯にこだわったため十分なスペースが確保できなかった>
出っ歯の改善には、前に出ている歯を後ろに下げるためのスペースが必要です。

十分なスペースが確保ができない場合は抜歯を検討する必要があります。

抜歯をせずに治療を進めることで余計に出っ歯が酷くなってしまう場合もあります。

<歯ぎしり・食いしばり・習慣によって症状が悪化した>
歯ぎしり・食いしばり・舌の悪習癖があると歯に余計な力が加わり、後戻りの原因になります。矯正直後の歯は動きやすいため悪習癖には注意が必要です。

<担当医の技術不足等>
専門的な知識や技術がなくても歯科医師は矯正治療を行うことが可能です。そのため、担当医の技術不足により、治療がうまく進まなかったというトラブルも考えられます。

STEP2:かかりつけ医に相談する

治療をしたのに出っ歯が治らなかった場合、放置しておくと歯並びがもとに戻ってしまったり、トラブルが生じる可能性があります。

現在の症状を、まずはかかりつけ医に相談をしてみましょう。

かかりつけ医に相談することで、過去の検査結果・経過が分かったり、保証がある場合には、再治療が安く済む場合もあるためです。

並行して、失敗した理由・再計画治療・費用と期間・目指すゴールについて確認・相談をしてみましょう。

STEP3:セカンドオピニオンをもらう

思うように治療の効果・結果が得られていない、担当医の方針・治療計画に納得できない場合には、他院で”セカンドオピニオン”を受けることも可能です。

必要に応じて転院も選択肢として考えても良いでしょう。

セカンドオピニオンをお考えの方へ

セカンドオピニオンとは、納得のいく治療方法を選べるように、主治医とは違う医師に診断・治療方針について求める”第二の意見”のことです。

セカンドオピニオンはまだ馴染みのない方も多いと思いますが、実はネガティブなことではありません。

新たな治療法を探すことだけが目的ではなく、セカンドオピニオンを受けることで主治医の治療に改めて納得されるケースもあるからです。

セカンドオピニオンを受ける医院の探し方

セカンドオピニオンを受ける際には経験と実績のある矯正認定医を選ぶことが大事になります。

同じ歯並びであっても、一から治療を始めるのと再治療をするのでは、再治療の方が難易度がはるかに高くなります。

加えてセカンドオピニオンを希望されるということは、これまでの治療の中で何かしらの問題やご不安を抱えていることが考えられます。

そのため、より専門的な意見を聞くことが何より大事になるでしょう。

一つの目安として日本矯正歯科学会の認定医・指導医・臨床指導医(旧専門医)がいるなど、ドクターの経歴などをチェックしてみましょう。

例えば、認定医になるためには5年以上の専門的な研修を受け、学会の試験に合格しなければなりません。

認定を持っているということは、矯正治療の経験と知識が豊富であることを表しています。来院する前に一度確認すると良いでしょう。

▼病院を探すポイント(例)

  • 主治医に相談し、専門の医療機関を紹介してもらう
  • インターネット・雑誌などから自分で探す
  • 民間の情報サービスを利用する

セカンドオピニオンの流れ

セカンドオピニオンを受診される場合、できるだけ詳細な資料があった方が具体的な相談をすることができます。

もし、現在の主治医に紹介状や治療データを貰えそうな場合は依頼してみましょう。

「まだ転院を迷っている段階で言い出しづらい」といったこともおおいにあると思います。その場合には、紹介状がなくても相談自体は可能です。

ただ、紹介状やデータが無い状態では治療歴が分からず、現在のお口の中の状況が把握しづらいため、状況に応じて検査を案内されることもあります。

セカンドオピニオンを受けるまでの一般的な流れは以下の通りです。

  1. 主治医の意見をよく聞いてから理解する
  2. セカンドオピニオンを受ける医院を決める
  3. 主治医にセカンドオピニオンを受けることを伝え、紹介状・必要データを受け取る(可能な場合)
  4. セカンドオピニオンを受ける
  5. 主治医に、セカンドオピニオンを受けた医師から受け取った書類を渡し、結果を伝えて相談する
  6. 治療する医院を決め、主治医にご自身の出した結論を伝える

矯正治療の転院については、トラブルを防ぐために日本矯正歯科学会においてガイドラインが示されています。転院時の返金の目安や、新たにかかる治療の費用の目安といったルールが定められています。

各クリニックはそのルールに則り転院の手続きをすることになりますが、細かなルール(保証の有無等)についてはクリニック毎に異なる場合がありますので、事前にしっかり確認するようにしましょう。

STEP4:再治療と方法を考える

再治療を受ける場合には、あなたの歯並びの状態や、これまでの治療歴を踏まえて適切な矯正装置を選択する必要があります。

治療法によって、それぞれ得意とする動きがあるので、あなたにとって最適な方法を選択していきましょう。

ワイヤーブラケット矯正

ブラケットと呼ばれる器具を歯1つ1つに接着させ、ブラケットにワイヤーをつけ、歯を移動させる治療法のこと。一度接着させると簡単には外すことはできません。

部分矯正の場合は、ブラケットを治したい部分にだけつけます。

< 治療期間 >
●部分:3ヶ月〜1年半
●全体:2〜3年      
※部分・全体共に個人差はあります。

< 費用 >
※一般的な費用の相場は以下の通りです。
●部分:30〜45万円
●全体:70〜150万円

<メリット>
●歯列矯正の効果が得られやすい
●歯列を細かく調整することが可能

<デメリット>
●費用が高い
●取り外しができないため、歯磨きがしにくく虫歯や歯茎の腫れを引き起こしやすい
●ワイヤー調整後は痛みが出やすい
●痛みにより、食事や睡眠に支障をきたすことがある

マウスピース矯正

一人ひとりに合わせたマウスピースで歯を動かす治療方法。(マウスピースは1週間〜10日ごとに交換、1日20時間以上つける必要があります。)

< 治療期間 >
●部分:3ヶ月〜1年
●全体:2〜3年      
※部分・全体共に個人差はあります。

< 費用 >
※一般的な費用相場は以下の通りです。
●部分:10〜70万円
●全体:70〜100万円

<メリット>
●目立ちにくい
●取り外しが可能なので食事・歯磨きがしやすい
●ワイヤー矯正に比べて痛みを感じにくい
●金属アレルギーの心配がない
●口内炎等の口腔内トラブルがワイヤー矯正より起きにくい

<デメリット>
●取り外しが可能な分、矯正治療の効果はご自身の頑張り次第となってしまう
●装着中は飲食ができない

また、医師との相性・認定医がいるなどの信頼度、予約の撮りやすさ、診療時間も重要です。土日祝日診療の有無、診療時間も確認し、ご自身のライフスタイルに合った矯正歯科医院を選びましょう。

かかりつけ医と他院、どっちがいい?

これまでの治療経過を知っている点や、金額の面からみるとかかりつけ医が良いですが、「信頼関係が修復できない」「転居などやむを得ない理由がある」などの場合には転院を考えても良いでしょう。

<転院する際の注意点>

  • かかりつけ医からこれまでの検査資料・治療記録をもらっておく
  • 一から検査をする必要があり、金額がかかりつけ医よりもかかる場合がある

<転院先を選ぶポイント>

  • 経験と実績のある矯正認定であるかどうか
  • 頭部全体のエックス線撮影をするセファロ検査を実施していること
  • 精密検査を実施し、分析診断した上で治療をしていること
  • 費用や治療計画が明確であること
  • 専門知識がある歯科衛生士・スタッフがいること
  • ご自身のライフスタイルに合った矯正歯科医院であるかどうか

今度こそ再治療を成功させるために

治療は長引くほどに、身体への負担も、時間や費用的な負担も重なります。

少しでも早く再治療を成功させるために、次のポイントに注意していきましょう。

詳細な治療計画を立てる前に、精密検査を行ってもらうこと

  • 頭部全体のエックス線撮影をするセファロ検査
  • 顎骨や歯根の状態、歯の向き、過剰歯の有無などを確認するレントゲン
  • 骨の厚さ・歯根の間の距離・上顎洞の位置などを立体的に把握できるCT

矯正装具装着時のルールを守る

  • アライナーチューイをかんでしっかりとマウスピースを装着する
  • マウスピースは1週間〜10日ごとに交換、1日20時間以上つける
  • 虫歯のリスクとなるのでマウスピース装着時は水以外の飲食は控える

保定をしっかりとする

後戻りは、矯正治療終了後半年と考えられています。その期間はマウスピースを終日 使用し、保定をしましょう。

その後は、経年変化を予防する目的で保定装置を継続して使用していただくこともあり ます。使用時間は終日使用から就寝時のみに切り替えていきます。

定期的に通院する

定期的に通院し、装置が正しく使用できているか、計画通りに進んでいるかチェックを受けましょう。

矯正治療中に虫歯に罹患してしまうと、装置を一度外して虫歯治療を行い、矯正治療に遅れをとってしまいます。定期的に通院し、虫歯の有無・歯周病のチェックを受けることで治療の遅れをとらないようにしましょう。

当院では再治療のご相談も承っております

当院では、日本矯正歯科学会認定医・矯正指導医が実際に口腔内の状態を確認し、カウンセリング・治療の提案をさせていただきます。

無料カウンセリングでは、

●口腔内診察・写真撮影
●iTero(光学カメラ)撮影

以上のことを実施して、これまでの治療のご相談や、再治療についての注意点など矯正治療にまつわる様々なお話をさせていただきます。

もし、より詳しいお話や診断を希望される場合には、CT・レントゲン撮影を行い、顎骨や歯根の状態などを調べた上で矯正医による分析・診断結果をお話しさせていただきます。もちろん、当院にはレントゲン設備が整っており、全ての検査を当院で受けていただくことができます。

来院診察以外にもオンライン診療や無料メール相談など様々なご相談方法をご用意しております。気軽にお問合せいただき、まずはご希望をお聞かせ下さい。

少しでも気になることがあればお一人で悩まれず、早めの受診をお勧めします。

それではあなたからのご相談をお待ちしております。

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