COLUMN

歯列矯正の基礎知識コラム

【監修:増岡尚哉】



お子さんの口呼吸や鼻づまりでお困りの親御さんは多いのでは無いでしょうか?放置すると歯列・顔貌と多くのことに影響を及ぼします。詳しく原因と治療法を解説していきます。

【目次】
1、お子さんにこんな症状があったら要注意
2、考えられる口呼吸の原因
 ・歯並びによるもの
 ・鼻炎アレルギーなどの鼻づまりによるもの
 ・アデノイドや扁桃の肥大によるもの
3、口呼吸が及ぼす影響
 ・口ボコ、出っ歯など歯並びを悪くする
 ・感染リスクが高まる
 ・むし歯や歯周病のリスクや口臭が増える
 ・滑舌が悪くなる
4、子どもの口呼吸、鼻づまりを治す方法
5、口呼吸を改善する予防矯正の必要性
6、歯並びによる口呼吸が気になる方はぜひ当院にご相談を!

お子さんにこんな症状があったら要注意

  • 無意識のうちに口をポカンと開けている
  • 上唇が常に渇いている
  • 鼻づまりの傾向がある
  • 口臭が気になる
  • 滑舌が悪い
  • 就寝中に口を開けていたり、いびきを描きやすい
  • 風邪をひきやすい
  • 猫背など姿勢が悪い

上記の複数の項目に当てはまると、口呼吸が習慣化している可能性があります。

口呼吸をしていると、鼻の粘膜・鼻毛のフィルターを通さずに空気が直接体内に取り込まれるので、細菌・ウイルスに感染するリスクが高まります。

また、口呼吸では口が常に開いてしまっているため、口腔内が乾燥するし、唾液の自浄
作用が働かず、虫歯・歯周病のリスクを高めることにも繋がります。

顔貌に関しても口呼吸の影響を大きく受けます。口が開いていることで、口腔周囲筋が
十分に発達せず、表情を悪くしてしまったり、面長な顔貌に成長が促されてしまいます。

舌も正しい位置から離れてしまい、咀嚼音や発音に影響します。歯並びの乱れにも繋がってしまいます。

考えられる口呼吸の原因

口呼吸を引き起こす原因、歯並び、アレルギー、アデノイドについて解説します。

歯並びによるもの

口呼吸が歯並びに影響することがあるとお伝えしましたが、逆パターンもあり、”歯並びによって口呼吸になってしまう”こともあります。

例えば、上顎前突”出っ歯”。前歯や上顎が前方に出ていることで口が閉じづらく、口呼吸の原因となってしまうことがあります。上顎前突の状態では、上あごの幅が狭く舌を正しい位置に持ってくることが難しくなっており、口が常に開いてしまうこともあります。

鼻炎アレルギーなどの鼻づまりによるもの

アレルギー疾患を患っている方は、アレルゲンが体内に入ると、くしゃみ、水、鼻づまりとして反応を示します。

これらの症状は、鼻の通りが悪くなるため、口呼吸の原因となってしまいます。

また、慢性鼻炎やアレルギーの治療を行わないと、口呼吸が習慣化してしまい、口を閉じる筋力が衰え、口が閉じづらくなってしまいます。

アデノイドや扁桃の肥大によるもの

鼻から喉につながる部分にあるリンパ組織のことをアデノイドと言います。
細菌やウイルスの体内への侵入を防ぐ役割があります。

細菌やウイルスから体を守るための免疫機能が過剰作用すると、アデノイド肥大が起き、気道が狭くなり鼻腔を塞いでしまいます。結果、口呼吸になりやすくなってしまいます。

口呼吸が習慣化することで口周り、歯並び、顔貌に影響を与え、”アデノイド顔貌”と呼ばれる特徴的な顔つきになることがあります。

口呼吸が及ぼす影響

口呼吸は、歯並、顔貌、健康と全身に悪影響を及ぼします。具体的に解説します。

口ボコ、出っ歯など歯並びを悪くする

舌は本来、”スポット”と呼ばれる位置にあります。(上顎中央前歯の裏側付け根辺り)
鼻呼吸ができ、”スポット”に舌があると、上顎の成長は促進されます。

口呼吸は”低位舌(舌がスポットから離れ、下顎方向に下がっている状態)”になります。
上顎に力がかからず、歯の外側から頬の筋肉の力がかかり、”狭窄歯列弓・V字型歯列弓”の状態となります。結果、前歯が前に突出した”上顎前突=出っ歯”や、下がった舌が下顎の歯を強く押してしまうと”下顎前突=受け口”になることもあります。
上顎前突”出っ歯”前歯は、上顎が前方に出ていることで口が閉じづらく”口ボコ”にもなってしまいます。

アデノイドによる口呼吸では、下顎の発育不全が生じ、歯の並ぶスペースが不足し、ガタガタの歯並び”叢生”になることもあります。

口呼吸が引き起こす歯列不正4つ

<上顎前突> 出っ歯のこと。上顎の歯が下顎の歯より大きく前方に突き出している状態。口が閉じにくいため、口腔内が乾燥しやすく虫歯のリスクを高める。

口呼吸との関連:舌が下がり、上顎が上手く拡がることができず前歯が前突する。


<反対咬合> 受け口のこと。下顎の歯が上顎の歯より前に出ている状態。奥歯に負担がかかりやすく、歯磨きもしにくく虫歯のリスクを高める。

口呼吸との関連:下がった舌が下顎の歯を強く押してしまい下顎が前突する。


<開咬> 奥歯をかみ合わせた時に、上下の前歯がかみ合っていない状態。食べ物がうまく噛みきれなかったり、顎関節症のリスクが高まる

口呼吸との関連:舌がスポットに治らないと、異常嚥下癖が起き、開咬の原因になる。


<叢生・乱ぐい歯> 前後に歯が重なり、デコボコしている状態。歯磨きがしにくいため、虫歯のリスクが高まる。

口呼吸との関連:舌がスポットに治らないと、異常嚥下癖が起き、開咬の原因になる。


<叢生・乱ぐい歯> 前後に歯が重なり、デコボコしている状態。歯磨きがしにくいため、虫歯のリスクが高まる。

感染リスクが高まる

鼻呼吸では、鼻毛や粘膜がフィルターの役割をしており、有害なウイルス・最近の侵入を
防いでいます。つまり、鼻から入った空気はフィルターによって多くの異物が除去され、
いわば空気清浄機から放出された空気のような状態になっているのです。

また、鼻の中の粘液には抗体があるため、細菌・ウイルスが粘膜の細胞に付着したり侵入したりするのを防ぎます。

しかし、口呼吸では、フィルターがなく直接体内に取り込まれてしまいます。喉の奥には
リンパ組織があり、通常であれば免疫が働くのですが、鼻で排除されるべき異物まで喉に入ってくると、除去しきれなくなってしまいます。すると気道が細菌、ウイルスに感染する危険性が高まり、病気・風邪などにかかりやすくなってしまいます。

むし歯や歯周病のリスクや口臭が増える

唾液には、

  • 再石灰化作用(砂糖などの食事で溶けた歯の表面を修復してくれる作用)
  • 自浄作用(口腔内の汚れを洗い流し、きれいに保つ作用)
  • 抗菌作用(抗菌物質によって、粘膜等を保護する作用)
  • 緩衝作用(細菌の繁殖を抑える作用)

等の作用があります。

口呼吸をしていると、口腔内が乾燥し、唾液の分泌量が減少します。唾液が持つこれらの働きが減り、むし歯菌・歯周病菌が増殖し、口腔内が不衛生となり、むし歯・歯周病のリスクが高くなります。

”唾液の作用”の中の”自浄・抗菌作用”が働かなくなることは、むし歯のリスクを高めるだけではなく口臭の原因にもなります。
口腔内の衛生環境は唾液によって維持されています。口呼吸によって唾液の分泌量が減り、歯垢等が溜まりやすくなり、衛生状態が悪化し、むし歯菌だけでなく歯周病菌が繁殖し、これらが口臭の原因となってしまいます。

滑舌が悪くなる

舌は発音に重要な役割を果たしますが、口呼吸は”低位舌(舌がスポットから離れ、下顎方向に下がっている状態)”になり、適切な舌の筋力がつきません。

”スポット”(上顎中央前歯の裏側付け根辺り)に舌がある場合、常に舌の筋力を使って舌を上あごに持ち上げることができ、舌に筋力がつきます。

低位舌では、舌が下顎方向に下がっている状態で筋力がつきづらいです。舌の筋力不足は
上あごに舌を打ちつけて発音する、”タ行”や”ナ行”の発音がはっきりしません。

また、口が開いたままの状態によって唇の筋力も足りず、両唇をつけて発音する、”マ行”、”バ行”、”パ行”の発音にも影響します。

子どもの口呼吸・鼻づまりを治す方法

歯並びが原因の場合にはまず、小児歯科・矯正歯科を受診しましょう。矯正治療の必要性の診断、矯正治療の開始、口腔筋機能療法といって、歯並びを整えるために必要な口・口周りの筋肉を正常に機能させるプログラムもあります。
口呼吸をはじめ、無意識に行ってしまう悪習癖では、計画を立てて、それに沿ってトレーニングを行い、改善をはかることもあります。

自宅でできることには以下の2つがあります。

●あいうべ体操で口の筋肉を鍛える

”あいうべ体操”は口輪筋と舌を鍛える簡単で効果的なトレーニングです。
”あ・い・う”は口輪筋を、”べ”は舌筋を鍛える動きです。”あいうべ体操”を継続すると、
舌が正しい位置におさまるようになり、口呼吸から鼻呼吸へ改善することが期待できます。

①”あー”と口を大きく開く。(楕円形に開く、喉の奥が見えるまで大きく)
②”いー”と口を大きく横に開く。(前歯を見せる。頬が両耳に寄るくらい大きく)
③”うー”と口を前に突き出す。(唇を尖らせ、思いっきり前へ。口輪筋を収縮させる)
④”べー”と舌を下に伸ばす。(付け根が歯に当たって少し刺激を感じるくらい)

4つの動作を1セット、1日30セットを目安に行います。


●口とじテープを使って口呼吸を防ぐ

就寝時は筋緊張が低下し、口が開きやすいです。”口テープ”は就寝中の鼻呼吸を促します。
どのテープでも構いませんが、糊が強いものは皮膚トラブルを起こす恐れがあるので控えましょう。サージカルテープは、12㎜幅から始め、慣れてきたら24㎜幅にすると効果が得られやすいといわれています。


鼻づまりが原因の場合は、耳鼻咽喉科の受診も並行し、抗生剤・点鼻薬を用いて治療を行う必要があるかもしれません。
症状がひどい場合や慢性化している場合は、アデノイドを切除する方法もあります。

口呼吸を改善する予防矯正の必要性

<予防矯正とは>
専用のマウスピース装置とトレーニングを行うことで、歯列不正の原因である口呼吸や低位舌の改善、飲み込み、姿勢等を改善し、正しい顎の発達による綺麗な歯列を獲得する治療のことです。

<予防矯正のメリット>

  • 悪い癖を取り除くことで正しい成長を促せられる
  • 健康に良い影響がある
  • 抜歯せずに歯列を正すことができる
  • 従来の矯正治療より早く終わる
  • むし歯や歯周病になりにくくしてくれる
  • 価格が安価
  • 正しい舌の位置、正しい口腔周囲筋の使い方が身につけられる
  • 痛みが少なく治療を進められる
  • 後戻りが少ない

悪い歯並びの原因である悪習癖・生活習慣から改善する予防矯正はとても重要であると
いえます。

歯並びによる口呼吸が気になる方はぜひ当院にご相談を!

当院では、歯並びを整えるだけではなく、予防矯正の相談にも対応しております。

特に、体が成長途中にあるお子様は予防矯正の効果が得られやすく、口呼吸や低位舌の改善、飲み込み、姿勢等を改善し、正しい顎の発達による綺麗な歯列口呼吸を改善することで正しい歯並びへ誘導することができるのです。

歯並びや骨格によって”口が閉じにくい”というのは自力での改善は難しく、歯科矯正によって改善させる必要もあります。

鼻で呼吸ができ、歯並びが整った状態は、むし歯や歯周病、口臭といったリスクも改善することができます。

当院では随時、無料カウンセリング、ご相談を受け付けております。
お気軽に足を運んでいただき、まずはカウンセリングでご希望や心配点・疑問点などお聞かせ下さい。

それではあなたからのご相談をお待ちしております。

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