【監修:歯科医師 / 矯正指導医 増岡尚哉】


矯正治療の代表的な方法のひとつが、歯の表面に「ブラケット」を付けてワイヤーで歯を動かすワイヤー矯正(ブラケット矯正)です。
ただ、ワイヤー矯正は「装置が目立つのが不安」という方も多く、できるだけ目立ちにくい方法を探して来院されるケースも少なくありません。

この記事では、目立たないワイヤー矯正として相談が多い

・裏側矯正(リンガル矯正)
・白色矯正(ホワイトブラケット/ホワイトワイヤー)

の2つを中心に、特徴・メリット/デメリット・料金/治療期間の目安を比較します。
あわせて代替案として、インビザライン(マウスピース矯正)も解説します。

※費用・期間は症例や医院により差があります。本記事では「一般的な目安」としてご覧ください。

【目次】
1.【比較表】白色(表側)矯正 vs 裏側矯正
 1-1 どちらが「一番」目立ちにくい?
 1-2 白色(表側)矯正とは?
 1-3 裏側(リンガル)矯正とは?
 1-4 代替案:インビザライン(マウスピース矯正)もあわせて検討
2.目立たない矯正を選ぶポイント(裏側矯正/白色矯正/インビザライン)
 2-1 ①「どのくらい目立たなければ困らないか」を決める
 2-2 ②「慣れやすさ(話しやすさ・違和感)」を優先するか
 2-3 ③「自己管理が必要かどうか」を考える
 2-4 ④「費用の上限」を決める
 2-5 ⑤「治療期間の目安」と「延びたときの方針」を確認する
 2-6 ⑥「仕上がりの優先順位」を決める(見た目だけ?噛み合わせまで?)
 2-7 ⑦迷ったときの選び方
3.目立たない矯正の選び方チェックリスト(Yes/No)
 3-1 A. 裏側矯正(リンガル矯正)に向きやすい人
 3-2 B. 白色矯正(白ブラケット/白ワイヤー)に向きやすい人
 3-3 C. インビザライン(マウスピース矯正)に向きやすい人
4.目立たなさだけで決めない—後悔しないためのポイント
5.「目立たない矯正」のよくある質問(Q&A)

【比較表】白色(表側)矯正 vs 裏側矯正

まずは、2つの「目立たないワイヤー矯正」の違いを一覧で比較してみましょう。


項目 白色(表側)矯正 裏側(リンガル)矯正
見た目 近くで見ると装置が見えるが、金属よりは馴染む ほぼ見えない(正面からは全くわからない)
費用 比較的抑えられる(目安:60~100万円前後) 高額になりやすい(目安:110~170万円前後)
期間 標準的(1~3年程度) わずかに長くなる傾向がある(歯科医師の技術による)
違和感 頬の内側に装置が当たる ・舌に装置が当たりやすい
・発音しにくい場合がある
歯磨き 目視できるため磨きやすい 裏側のため確認しづらく難しい

どちらが「一番」目立ちにくい?

上の表を見ていただければわかるように、見た目の目立ちにくさを最優先するなら、基本的には 裏側矯正 が優位です(表からほぼ見えません)。

目立ちにくさと快適さ(話しやすさ・清掃性)のバランスなら 白色矯正 が選ばれやすいです。

そして「そもそもワイヤー自体を見せたくない」という方には、インビザラインも有力です(後述)。
次で詳しく、それぞれの矯正のメリットとデメリットを解説します。

白色(表側)矯正とは?


歯の「表側」に、歯の色に近いセラミックやプラスチックの装置(ブラケット)をつける方法です。ワイヤーも白いコーティングがされたものを選ぶことで、さらに目立ちにくくすることが可能です。

セラミック:歯よりも硬く丈夫で、着色や変色がほとんどありません。ただし厚みがあるため、口を閉じた時に少し盛り上がりを感じることがあります。

プラスチック:透明で目立ちにくいですが、セラミックに比べると強度が低く、長期間の使用で着色(黄ばみ)や摩耗が起こりやすい素材です。

メリット

●金属色が抑えられ、通常のメタルより目立ちにくい
●表側矯正なので、舌に当たりにくく発音への影響が少ない
●裏側矯正より、一般的に違和感に慣れやすいことが多い
●多くの症例で適用しやすく、治療設計の自由度が比較的高い
●裏側矯正に比べて、一般的に費用を抑えやすい

デメリット

●「見えない」わけではなく、近距離では装置感が分かることがある
●結紮(ゴム)やワイヤーの光り方で、意外と目立つと感じる場合がある
●素材により特性が異なり、(例:プラスチックは)着色・摩耗が気になることがある
●口腔内の状況によっては、表側装置が唇・頬に当たりやすい場合がある

料金・治療期間の目安

料金目安:セラミックブラケット60~100万円
      ホワイトワイヤーの追加費用例(+10万円)
期間目安:1~3年

裏側(リンガル)矯正とは?


歯の「裏側(舌側)」に装置をつける方法です。 最大のメリットは「他人に気づかれない」こと。口を大きく開けて笑っても、装置が見えることはほぼありません。ただし、高度な技術が必要なため費用が高額になりがちで、舌に装置が当たるため、慣れるまでは話しづらさを感じることがあります。

メリット

●正面から装置がほぼ見えず、見た目の目立ちにくさが最も高い
●スポーツ時の転倒や衝突の際、唇の内側を装置で切ってしまうリスクが少ない
●歯の裏側は常に唾液が循環しており、表側に比べて虫歯になりにくい(ただし歯磨き不足は厳禁)

デメリット

●表側より費用が高くなりやすい
●舌に当たりやすく、発音のしづらさ/違和感に慣れるまで時間がかかることがある
●裏側は見えにくく磨きにくいため、歯磨きが難しいと感じる場合がある
●技術難易度が高く、医院・術者の経験差が出やすい(症例によっては適応が限られる)
●装置の位置関係により、食事中に舌が疲れる/口内炎ができるなどの不快感が出ることがある
調整に時間がかかるため、1回あたりの診療時間が長くなったり、トータルの治療期間が長引いたりする場合がある

料金・治療期間の目安

〇料金目安:全体矯正で110万~170万円など
〇期間目安:2~3年

代替案:インビザライン(マウスピース矯正)もあわせて検討


「ワイヤー自体を見せたくない」「食事や歯磨きのときに外したい」という方には、透明なマウスピース矯正(インビザライン)も選択肢になります。

メリット

●装置が透明で、気づかれにくい
食事や歯磨きの際は外せるため、衛生的で食事制限もない
●ワイヤーに比べて、締め付けられるような痛みが少ない

デメリット

●装着時間など、自己管理が治療結果に直結しやすい
●症例によってはワイヤーのほうが適する場合もある
●取り外せる分、なくしたり踏んで壊したりするトラブルに注意が必要

料金・治療期間の目安

料金目安:全体矯正で80万~120万円など
期間目安:1~3年

目立たない矯正を選ぶポイント(裏側矯正/白色矯正/インビザライン)

「目立たない矯正」と一口に言っても、見えにくさのレベルや生活への影響、費用は方法によって大きく異なります。ここでは、本記事で紹介している 裏側矯正(リンガル)/白色矯正(白ブラケット・白ワイヤー)/インビザライン に合わせて、選び方のポイントを整理します。

①「どのくらい目立たなければ困らないか」を決める

●絶対にワイヤーを見せたくない(接客・営業・ショービジネスなど人前で立つ機会が多い)→ 裏側矯正が第一候補
●近距離でなければOK/金属色が気になる程度→ 白色矯正が現実的
●ワイヤーそのものが苦手/取り外せる方が安心→ インビザラインも検討

②「慣れやすさ(話しやすさ・違和感)」を優先するか

裏側矯正:舌に当たりやすく、慣れるまで発音が気になることがある
白色矯正:表側なので比較的慣れやすい(頬や唇に当たることはあり得る)
インビザライン:装置の突起が少なく、違和感が少ないと感じる方が多い

「仕事で話す量が多い」「会食が多い」など、日常の条件で向き不向きが出ます。

③「自己管理が必要かどうか」を考える

インビザラインは、外している時間が長いと歯が動きにくくなるため、装着習慣が結果に直結します。
その点、白色矯正/裏側矯正(ワイヤー矯正)は固定式なので、自己管理の影響が比較的小さく、安定して進めやすい面があります。

④「費用の上限」を決める

目立たない矯正は、装置の種類によって費用差が出ます。比較するときは、初期費用だけでなく以下も確認しましょう。

●調整料・管理料が別か込みか
●装置の追加や再作製の費用
●保定装置(リテーナー)費用が含まれるか

一般的には、裏側矯正は高額になりやすく、白色矯正は比較的抑えやすい傾向があります。

⑤「治療期間の目安」と「延びたときの方針」を確認する

矯正は、途中で計画通りにいかないこともあります。大事なのは、

期間の根拠(なぜその見込みなのか)
ずれたときにどうするか(装置の調整/追加/方法変更)
仕上げ(噛み合わせの微調整)まで含めた説明があるか

といった“出口までの設計”が示されていることです。

⑥「仕上がりの優先順位」を決める(見た目だけ?噛み合わせまで?)

●見た目を整えるだけでなく、奥歯の噛み合わせまで作るなら、治療の設計と管理が重要になります。
●見た目の希望(前歯の印象)と、噛み合わせ(機能)の希望を分けて伝えると、適切な提案を受けやすくなります。

⑦迷ったときの選び方

見た目最優先:裏側矯正
目立ちにくさ×快適さ×費用のバランス:白色矯正
ワイヤーを避けたい/取り外し重視:インビザライン(自己管理が前提)

目立たない矯正の選び方チェックリスト(Yes/No)

以下に当てはまる項目をチェックしてみてください。Yesが多い選択肢が、あなたの優先順位に合いやすい方法です。

A. 裏側矯正(リンガル矯正)に向きやすい人

▢仕事上、装置が見えると困る(接客・営業・人前に出る機会が多い)
▢写真撮影やイベントが多く、見た目のストレスを最小限にしたい
▢多少の発音の慣れや違和感より、「見えない」ことを優先したい
▢費用が高くなっても、目立たなさを最優先したい
▢「表側に装置が付いている状態」をどうしても避けたい

Yesが多い方:裏側矯正が第一候補になりやすいです。

B. 白色矯正(白ブラケット/白ワイヤー)に向きやすい人

▢金属のギラつきが苦手で、できるだけ自然に見せたい
▢「完全に見えない」までは求めず、目立ちにくければ十分
▢発音への影響や舌の違和感は、できるだけ避けたい
▢目立ちにくさと費用のバランスを取りたい
▢ワイヤー矯正の安定感を重視しつつ、審美性も上げたい

Yesが多い方:白色矯正が現実的で満足度が高い傾向です。

C. インビザライン(マウスピース矯正)に向きやすい人

▢ワイヤーやブラケットそのものが苦手で、透明な装置がいい
▢食事や歯磨きは普段通りがいい(外せる方が楽)
▢毎日コツコツ続けるのが得意で、装着習慣に自信がある
▢人に気づかれにくい方法を優先したい
▢外したままにしない/紛失しないなど、自己管理ができる

Yesが多い方:インビザラインの適性が高い可能性があります。

目立たなさだけで決めない—後悔しないためのポイント

矯正は「どれが一番良いか」ではなく、あなたの歯並び・噛み合わせの状態と、生活上の優先順位(目立ちにくさ/快適さ/費用/自己管理)に合う方法を選ぶことが大切です。
裏側矯正・白色矯正・インビザラインは、それぞれメリットがある反面、向き不向きもあります。自己判断で決めてしまうと「思っていたのと違った」と感じる原因にもなりやすいため、まずは診断で、

  • どの方法が適応になるか
  • 仕上がりのイメージ
  • 期間・費用の目安

を確認することをおすすめします。
目立ちにくい矯正をご検討中の方は、まずは無料相談でお気軽にご相談ください。

「目立たない矯正」のよくある質問(Q&A)

Q1. 「一番目立たないワイヤー矯正」はどれですか?
A. 見た目だけでいえば、一般に裏側矯正が最も目立ちにくい方法です(正面から見えにくい)。

Q2. 白色矯正は「まったく見えない」のでしょうか?
A. 完全に見えないわけではありません。白い素材で目立ちにくくできますが、近距離では装置感が分かることがあります。

Q3. 裏側矯正は治療期間が長くなりますか?
A. 傾向として長くなることがあるとされ、例として2~3年などの目安が紹介されています。ただし症例・設計で変わります。

Q4. 仕事上「絶対にワイヤーを見せたくない」場合は?
A. 裏側矯正またはインビザラインが候補です。どちらが適するかは歯並び・噛み合わせ・生活習慣で変わります。

Q5. 結局どれを選べばいいか分かりません
A. 目立ちにくさだけでなく、違和感・清掃性・費用・期間・適応を総合して決めるのが安全です。まずは診断で「何をどれだけ動かす必要があるか」を確認しましょう。

インビザラインは、マウスピースを使用する矯正方法です。透明なマウスピースを使用するため、装置を付けていても矯正治療をしていると気づかれにくいです。

また、ブラケットのように歯に装置を付けないため、違和感や痛みが少ないという特徴もあります。そして、もうひとつ欠かせないメリットとして挙げられるのが、取り外し可能ということです。食事、歯磨きの際には取り外すことができるため、その時だけは、矯正治療を行なっていない状態で過ごすことができます。

しかし、はめていないと歯を動かす力を加えられないため、「毎日しっかりはめる」という、ご自身の習慣が必要になります。また、外したまま紛失してしまう、マウスピースを破損してしまうというトラブルもあり、取り扱いには注意が必要です。


いかがでしたでしょうか? 矯正治療をお考えの方にとって見た目は避けては通れない問題のひとつです。ですが、使う素材や装置次第では、その程度を抑えることができるかもしれません。ご自身のお口の状態やお悩みにあった装置はどれなのか、しっかりお話を聞かれてから、治療方法を決定されることをお勧めいたします。

無料相談はこちらから


監修者:増岡尚哉

歯科医師・歯学博士(D.D.S. , Ph.D.)|マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置(製品名インビザライン 完成物薬機法対象外)の講師として歯科医師向けに講義・講演活動をしています。

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【矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について】

① 矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間~1、2 週間で慣れてきます。
② 歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。
③ 矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
④ 治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。
また、歯が動くと隠れていたむし歯があることが判明することもあります。
⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
⑧ 矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
⑨ 治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。
⑩ 治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。
⑪ 歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
⑫ 矯正歯科装置を誤飲する可能性があります。
⑬ 矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
⑭ 動的治療が終了し装置が外れた後に現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。
⑮ 動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや、咬み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。
⑯ あごの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。
⑰ 治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがあります。
⑱ 矯正歯科治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。

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