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歯列矯正の基礎知識コラム

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「最近、歯並びが気になるようになってきた…」そんなお悩みを抱えていませんか?
永久歯が生えそろった後、成人してからも歯並びは変わることがあり、「親知らずが生えてきたこと」もその原因の1つとして挙げられます。
親知らずといえば「抜歯をしなければいけない」というイメージが強いと思いますが、実は状態によって異なります。
ここでは、親知らずが歯並びに及ぼす影響と、どのような時に抜歯が必要になるのかについてお話していきます。

【目次】
1、親知らずと歯並びの関係
2、親知らずは抜歯した方が安心?
3、まとめ

親知らずと歯並びの関係

そもそも親知らずとはどんな歯なのでしょうか?
永久歯は、個人差はありますが基本的には12歳から13歳頃までに生えそろいます。
そして20歳頃になると、上下左右の一番奥に親知らずが生えてきます。(口腔内の管理を保護者の手を借りずに自分で行うようになった頃に生えてくるため、「親が知らない=親知らず」と呼ばれるようになったという説もあります。)
もちろん、必ず全てが生えてくるわけではありません。1本の方や4本の方、もともと親知らず自体存在しない方もいらっしゃいます。存在するのに埋まったまま生えてこない…なんてこともあります。

この親知らずですが、「親知らず」という特別な名前で呼ばれてはいますが

  • お口の中に悪影響を及ぼさない
  • 歯としての機能をしっかり果たす

この2点を満たすことさえできていれば他の永久歯と何も違いはありません。

ただ、虫歯になりやすかったり、腫れて痛むことが多かったりと何かとトラブルになりやすいという特徴もあるため、抜歯を選ばれる方が多いのです。

歯並びへの影響

親知らずがお口の中へ及ぼす悪影響の1つとして、「歯並びへの影響」が挙げられます。
これには親知らずの生え方が関係しています。
近年、日本人の顎は小さくなっていく傾向にあり、それに伴って歯が生えるスペースは狭くなっていっています。
生えるスペースが足りないことによって親知らずはまっすぐに生えることができず、横向きに生えて手前の歯を押してしまい、結果、歯並びは崩れていきます。

また、学生時代に矯正治療を行なったのに、その後横向きに親知らずが生えてきたことによって歯並びが再度崩れてしまった…なんてことも中にはあります。

親知らずは、生え方によって歯並びを乱す原因になったり、矯正した後に「後戻り」の原因になることもあるため、矯正をお考えの方には抜歯をお勧めするケースもあります。

歯並び以外への影響

親知らずは、歯並びの悪化以外にもお口の中に様々なトラブルを引き起こします。
「親知らずが生えるスペースが足りず、手前の歯を押してしまうことで歯並びが崩れる」と先述しましたが、それによって上下の歯がかみ合う位置もずれ、かみ合わせが悪化することにもつながります。
かみ合わせのずれは、ひどくなると顎の痛みや肩こり、頭痛などの症状が出る顎関節症の原因になることもあります。
また、お口の中の一番奥に生える親知らず周辺は、歯ブラシが届きにくいため磨き残しが発生しやすく、虫歯や歯周病にもなりやすいといえます。
厄介なことに、親知らずだけではなく親知らずの手前の歯までもその影響を受けてしまい、重症化すると歯を失うことになってしまうかもしれないのです。

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親知らずは抜歯した方が安心?

悪影響を起こしてしまう親知らずなら、抜歯をした方が安心だとお考えになる方もいらっしゃるでしょう。
ですが、中には抜歯をしなくても良い場合もあります。

抜歯が不要なケース

そもそも歯には、お口の中で食べ物をしっかりと噛み砕くという役割があります。
親知らずは「大臼歯」と呼ばれる位置の歯で、その名の通り臼のような形をしており食べ物をすり潰す役割を担っています。
真っ直ぐきれいに生えていて上下の歯がしっかりと噛み合っていれば、親知らずは歯として機能することができます。
これには歯の大きさや顎の大きさが関係してきますが、親知らずが生えてきても手前の歯を押したりせず歯並びに影響しない、ということもポイントです。
そして、きれいに生えてきた親知らずは他の歯と同じように歯磨きを行うことができるため、虫歯や歯周病のリスクも少なくトラブルを起こす可能性も低いのです。

また、虫歯や歯周病などで歯を失ってしまった部分へ親知らずを移植するという治療方法もあります。(条件によっては移植できない場合もあります。)

つまり、歯としての機能を果たし、しっかりと管理していくことができる状態の親知らずなら、必ずしも抜く必要はないのです。

抜歯が必要なケース

しかし実際は、トラブルを伴う親知らずの方が多いのが現状です。
先述したように、手前の歯を押すような形で生えてきてしまい歯並びに悪影響を及ぼしてしまうことだけではなく、

  • 中途半端に生えてきたことで他の歯と同じように歯磨きを行うことができず、虫歯や歯周病になりやすいこと。
  • 炎症が起きやすく、歯茎の腫れや痛みが繰り返し起きてしまうこと。

なども、抜歯をした方が良い理由として挙げられます。

また、矯正治療をお考えの方には後戻り(矯正後に歯並びが戻ってしまう)を防ぐために抜歯をお勧めすることがあります。

このように、抜歯をした方が良い理由は症状や目的によって違います。「なぜ抜歯をした方が良いか?」という説明をきちんと受けて、納得したうえで抜歯をされることをお勧めいたします。

まとめ

まずは、ご自身の親知らずがお口の中にどのような影響を及ぼすのか、しっかりと診断を受けましょう。
親知らずがある状態でも特に問題ないのか、もし抜歯が必要ならどのタイミングで抜けば良いのかなどは、矯正治療を行う上では非常に重要です。
歯並びと親知らず両方でお悩みの方は、矯正専門医による矯正治療を視野に入れた親知らずの診断をされることをお勧めいたします。