COLUMN

歯列矯正の基礎知識コラム

【監修:増岡尚哉】



矯正治療は「痛みを伴う」というイメージが強く、これから治療を始めようとする方からご質問を頂くことが大変多いです。

結論から言いますと、マウスピース矯正は痛みが少ない治療法です。しかし、あくまでも少ないだけで全くないわけではありません。

今回は、どうしてマウスピース矯正は痛みが少ないのか、そして痛みを感じる場合とその対処方法についてご紹介していきます。

【目次】
1、痛みの原因
 ・歯が動くときの痛み
 ・何らかのトラブルによる痛み
2、それでも、痛みを感じたときの対処法とは?
 ・マウスピースを一旦外す
 ・痛みがでないマウスピースに戻す
 ・硬い物を食べない
3、まとめ

痛みの原因

矯正治療で感じる痛みの原因は、大きく分けると二つあります。歯が動く時の痛みと、何らかのトラブルによって生じる痛みです。

歯が動くときの痛み

矯正治療は、装置をつけて矯正力をかけることで少しずつ歯を動かしていきます。
そして歯が動く時には、歯根の周りを覆っている歯根膜というものが伸びたり縮んだりして、それに痛みを伴うことがあるのです。つまりその痛みは、歯が動いている証拠だとも言えるでしょう。
これは、マウスピース矯正とワイヤー矯正、どちらの方法であっても起こりうることです。
中には痛むまではいかずに違和感程度で済む方もいらっしゃいます。



強い力をかければ歯も早く動くのでは?と思われるかもしれませんが、歯を動かす力(矯正力)が大きすぎると非常に強い痛みを伴いますし、何よりも安全に歯を動かすことができません。

歯を安全に動かせるのは「1ヶ月に1mm程度」であり、それを超えるような強い力をかけてしまうと歯根が耐えられなくなり、歯根吸収や歯肉退縮といったリスクを高めることとなります。

マウスピース矯正「インビザライン」で使用するマウスピースは、1枚当たりの歯の移動量が0.25mmに設計されています。つまり、1ヶ月(約4枚)で最大1mmの移動量になる計算です。

手作業でワイヤーを締め上げる方法と違い、マウスピース矯正は装置を作る際にコンピュータで力のかかり方を計算しているため、必要以上の力がかかることがありません。

そのため、「痛みの少ない矯正」「優しい力の矯正」と言われることが多いのです。

何らかのトラブルによる痛み

●矯正装置が歯茎や粘膜に擦れる痛み
ワイヤー矯正は装置を取り外すことができず、角ばっている装置や細いワイヤーが常にお口の中にあります。それが粘膜に接触し続けることで傷になったり、口内炎ができてしまったりするのです。

スポーツや楽器をされるお子様では、口にボールがぶつかったり、楽器があたったときに口腔内をケガしてしまうといったことも考えられます。

一方マウスピース矯正は、ワイヤー矯正に比べて装置の接触面の当たりが優しく、たとえ長時間装置をはめていたとしても擦れて痛むことはほぼありません。

あるとすれば、マウスピースの縁が尖ってしまっていたり、アタッチメント(マウスピースをしっかりと密着させるために歯の表面につける突起)の膨らみが頬に擦れることで違和感を覚えたりする場合です。しかし前者は縁を丸めることで解決でき、後者は二、三日で慣れることができるでしょう。


●装置が外れた際の痛み

ワイヤー矯正の場合に起こることです。が、歯が動いていくうちに装置が外れることがあります。

ワイヤー矯正では、歯の表面に接着剤で装置を付けるのですが、想定外の力が加わることで外れてしまうと、口の中でブラブラしたり、ワイヤーがずれて頬に刺さったりすることがあります。

もともと装置が取り外せるマウスピース矯正においては、この心配はありません。

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それでも、痛みを感じたときの対処法とは?

マウスピース矯正において我慢できないほどの痛みが伴うことはほとんどありませんが、どうしても気になる場合は以下の方法をお試しください。

マウスピースを一旦外す

あまりにも痛むようでしたら一旦取り外しましょう。
装置を取り外せることは、マウスピース矯正のメリットのひとつです。しかし計画通りに歯を動かしていくためには、1日20時間以上はマウスピースを装着することが推奨されています。

外したままになってしまうと治療の進行に支障が出てしまうかもしれないため、はめられないほど痛む場合は早めに歯科医師にご相談ください。

痛みがでないマウスピースに戻す

新しいマウスピースを使い出した時に痛みを感じ、数日経っても慣れられないようなら、焦らずに一つ前のマウスピースを使うようにしてください。

マウスピース矯正で使用する数十個のマウスピースは、一つ一つのマウスピースの形が少しずつ違い、順番にはめていくことで歯を動かすことができます。

マウスピースのステップは飛ばすことはできず、一つずつ着実に進めていく必要があります。もしも、強い痛みを感じる場合にはひとつ前のステップで十分歯が動いていないか、治療がスムーズに進んでいない可能性が考えられます。

そのような場合には、ひとつ前のマウスピースに戻すとともに、担当医に早めに相談されることをお勧めします。

先述しましたが、マウスピースは装着していないと効果が得られません。外している時間が多かったり、正しく装着できていなかったりすると歯はシミュレーション通りに動いてくれず、次のマウスピースを使用することが難しくなってしまうというわけです。

マウスピース交換時は、痛みに対処できるように使い終わった一つ前のマウスピースは捨てずに保管しておきましょう。

硬い物を食べない

矯正治療中の歯はとても不安定です。なるべく負担をかけないようにするために、硬い物を噛むことは控えましょう。

矯正治療を行うと上下の歯が噛み合う位置も徐々に移動していくため、無意識に強く噛むと、変な方向から力が加わったり大きな負荷が掛かってしまったりする恐れがあります。

矯正治療中はかみ合わせも変化していることを理解したうえで、なるべく柔らかい物を食べるようにしてください。

まとめ

矯正治療中は、普段とは違った痛みや違和感を感じることがあります。

しかし、どんな時に痛むのか、その原因を知って正しく対処することで、痛みが少ないようにしたり長引かせないようにしたりすることはできます。

当院はマウスピース矯正「インビザライン」による矯正治療を専門に行っており、お子様から60代、70代の方まで幅広い方が美しい歯並びを手に入れられています。

当院では患者様へ無料カウンセリングを行っており、矯正治療の痛みや、治療中に痛みを感じられたときの当院のフォロー体制についても詳しいお話をお伝えしております。

もしも「痛み」が心配で矯正治療を迷われているようでしたら、ぜひ一度エムアンドアソシエイツ矯正歯科へお話をお聞かせください。