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歯列矯正の基礎知識コラム

【監修:歯科医師・矯正認定医 増岡尚哉】


ふと鏡を見たとき、ほうれい線が目立つように感じたことはありませんか?年齢や体調によっても、その変化に気づくことがあるかもしれません。

ほうれい線の有無は見た目の年齢に大きな影響を与えます。歯列矯正の観点から言うと、出っ歯もほうれい線に影響を与える要因の一つとされています。

この記事では、ほうれい線と口元の形、特に出っ歯との関連性について矯正歯科医が詳しくお伝えします。

【目次】
1、口ゴボや出っ歯でほうれい線ができる理由
  ・①歯並びやかみ合わせの悪さによるもの
  ・②口呼吸によるもの
  ・③加齢によるもの
2、自力で行うほうれい線の改善方法
  ・①表情筋を鍛えるエクササイズを行う
  ・②マッサージを行う
  ・③しっかりとスキンケアを行う
3、根本的な治療には歯列矯正がおすすめ
  ・目立たない矯正①マウスピース矯正
  ・目立たない矯正②裏側矯正
  ・目立たない矯正③ホワイトワイヤー
4、歯列矯正でほうれい線が目立つこともある?
5、口ゴボ・出っ歯のほうれい線にもヒアルロン酸は効果アリ?
6、口ゴボ治療にもインビザラインで解決

口ゴボや出っ歯でほうれい線ができる理由

①歯並びやかみ合わせの悪さによるもの

歯並びやかみ合わせが悪い状態では、食事の際に顎の骨に過度な負担がかかる可能性があります。この負担が長期にわたって蓄積されると、顎関節の歪みや変形を引き起こすことがあります。

このような変化は、顎の位置の変動につながることがあり、さらには顔の他の部位、例えば目や鼻の位置のズレを引き起こす可能性があります。

これらの変化は、結果としてほうれい線の深化にも影響を与えることがあります。

②口呼吸によるもの

出っ歯や口元の形状により、唇を適切に閉じることが難しい場合があります。

これにより、口呼吸や低位舌(だらんと下がった舌)を引き起こすことが多く、結果として周囲の筋肉の筋力が低下します。

筋力の低下は顔のたるみに繋がり、ほうれい線の形成に影響を与える可能性があります。

こうしたことからほうれい線ができる理由となる場合があります。

③加齢によるもの

ほうれい線が目立つ一因として、加齢が挙げられます。加齢により、皮膚のハリが変化し、これがほうれい線の上部で目立つようになります。

皮膚は表皮、真皮、皮下組織の三層構造で構成されています。特に真皮層には、肌のハリや弾力を支えるコラーゲンやエラスチンが含まれていますが、これらの成分は年齢とともに減少します。

この減少がたるみやほうれい線といった変化として現れるようになることがあります。

自力で行うほうれい線の改善方法

ほうれい線が目立ってきたら、どのように改善したらいいのでしょうか?

①表情筋を鍛えるエクササイズを行う

ほうれい線を改善してく方法として、すぐにできるのはエクササイズです。
一般的なエクササイズをいくつかご紹介します。
<口を左右に動かすエクササイズ>
・「う」の形に口を結び、唇を前に突き出します。
・口を思い切り右に動かし、次に左に動かします。
・左右に動かす動きを1セットとし、3セットを目安に行います。

<頬を膨らますエクササイズ>
・片方の頬に空気を入れて頬を膨らませます。
・膨らませた状態を10秒間キープします。
・反対側の頬にも同様の動作を行い、左右1セットとして3セット行います。

<舌の運動>
・口を閉じた状態で、舌を使ってほうれい線に沿って上下に動かします。
・舌で左右のほうれい線をなぞりながら、ほうれい線を伸ばすように意識します。
・この動作を左右で1セットとして、3セットを行います。

これらのエクササイズは、ほうれい線を自然に引き伸ばし、顔の筋肉の調子を整えるのに役立ちます。しかし、エクササイズを行う際には過度に力を入れ過ぎないようにし、肌を傷めないよう注意してくださいね。

②マッサージを行う

<リフトアップマッサージ>
・クリームやオイルを手に取り、肌に馴染ませます。
・顎から始めてこめかみに向かって、螺旋を描くようにマッサージします。
・常に下から上へという方向に意識を持ちながら行いましょう。

<皮下脂肪にアプローチるすマッサージ>
・目や口の周り、頬などをマッサージします。
・顔の中心から外側に向かって優しくマッサージし、耳の周りからリンパ節に向けて流します。
・この動作は余分な水分の排出を助け、ほうれい線の予防につながります。

<リンパとツボをマッサージ>
・手をグーにして、顔のリンパ節やツボに沿ってマッサージします。
・顎から頬にかけて、コリをほぐしながら上向きにマッサージします。
・特に目の周りや頬は、耳に向かって引き上げるように行い、目の下は指で優しくなぞります。
・リンパの流れを促進すると同時に、ツボを刺激することでたるみの予防が可能です。

これらの手技はリフトアップ効果を目的としており、顔の血流を促進し、リンパの流れを良くすることで余分な水分や老廃物を排出し、肌のハリを取り戻すのに役立ちます。

マッサージを行う際には、優しく肌に触れることを心がけ、強く押しすぎたり引っ張りすぎたりしないようにしてください。

また、マッサージには栄養豊かなクリームやオイルを使用すると、滑りがよくなり、肌への刺激を減らすことができます。定期的に行うことで、ほうれい線やたるみを自然に改善していくことが期待できます。

③しっかりとスキンケアを行う

ほうれい線の改善には、顔の筋肉を鍛えるエクササイズやマッサージと同様に、スキンケアも効果的です。

また、紫外線から肌を守るために日焼け止めを使い、十分な水分、栄養バランスの整った食事、充分な睡眠を取ることが全体的な肌の健康に繋がり、ほうれい線を目立たなくするのに効果的です。

根本的な治療には歯列矯正がおすすめ

ほうれい線の予防や改善にはエクササイズ、マッサージ、適切なスキンケアが有効ですが、不正咬合や出っ歯が原因で口が適切に閉じられない場合、歯列矯正が解決策となることもあります。

歯列矯正は、見た目の心配を減らす透明マウスピースや舌側矯正装置など、目立たない方法も選択できます。これにより、口周りの筋肉を正常な状態に保ち、ほうれい線の形成を防ぐことができます。

目立たない矯正①マウスピース矯正

透明なマウスピース矯正は取り外し可能で目立たず、虫歯や歯周病リスクを減らし食事の際の違和感も少ない治療法です。しかし、症状によっては適さない場合もあり、毎日20時間以上の装着が必要で自己管理が求められます。治療期間は約1年半〜2年、一般的な費用は80万〜100万円程度です。

目立たない矯正②裏側矯正

舌側矯正はワイヤー矯正の一種で、装置が歯の裏側につくため外からは見えません。技術的に高度で費用が高くなる傾向がありますが、目立たない利点があります。しかし、発音の障害や歯磨きの困難さ、装置の外れやすさと治療期間の延長がデメリットです。期間は2〜3年、一般的な費用は90〜140万円が目安です。

目立たない矯正③ホワイトワイヤー

ホワイトワイヤー矯正は、従来の金属ブラケットではなく、透明または白色のブラケットと白くコーティングされたワイヤーを使用し、目立ちにくくした治療法です。マウスピースや裏側矯正に比べ若干目立つものの、目立ちにくさを重視したい人に適しています。期間は1年半〜2年、一般的な費用は60〜90万円です。

歯列矯正でほうれい線が目立つこともある?

歯列矯正は、歯並びや噛み合わせを改善する有効な手段ですが、抜歯を伴う場合、一部の人にはほうれい線が目立つようになることがあります。これは抜歯をすることにより歯が後退し、結果として口元の構造が変わるためです。

しかし、すべての抜歯をした方にほうれい線ができてしまうわけではなく、個々の顔の状況に合わせた慎重な計画が必要です。

矯正治療を検討する際には、治療前の徹底した分析と診断が非常に重要で、これにより顔のバランスを考慮し、望ましくない変化を防ぐことができます。正確な診断と計画に基づいた矯正治療は、美しい笑顔だけでなく、全体的な顔の印象を自然な状態に保つためにも重要な役割を果たします。

関連記事:歯科矯正でほうれい線ができた人の例

口ゴボ・出っ歯のほうれい線にもヒアルロン酸は効果アリ?

ほうれい線の改善にはヒアルロン酸注射が効果的です。これは、へこんだ部分にヒアルロン酸を注入して肌に潤いを与え、ふっくらとさせることでシワを目立たなくします。手軽に行えてすぐに効果が現れるのが魅力で、外科手術が不要なのでアレルギーのリスクも低いです。ただし、効果は永続的ではなく、約半年ごとの再注入が必要です。

口ゴボ治療にもインビザラインで解決

インビザラインは、歯列矯正中も見た目に影響を与えずに口ゴボや出っ歯の改善が可能な治療法です。

歯並びが原因の口ゴボであれば特に効果的で、抜歯が必要な場合や顎の骨格に問題がある状況でも適用できる可能性があります。

ただし、個々の状況により異なるため正確な診断が重要です。特に歯列矯正で上の前歯を大きく動かす場合は治療計画を慎重に立てる必要があります。

口元の印象の改善を検討される場合は、事前にしっかりとドクターに相談して、過去の症例なども見せてもらいながら、最終的なゴールを明確にしていくことをお勧めします。

当院では口ゴボや出っ歯といった、口元の突出感の改善もマウスピース矯正「インビザライン」のみで治療を行っております。

経験が豊富な矯正医による無料カウンセリングを行なっておりますので、まずは一度、お気軽にご来院いただければと思います。

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