COLUMN

歯列矯正の基礎知識コラム

口臭を気にする女性

いつも鼻詰まりがある、気付くと鼻水をすすっている…そんな慢性鼻炎をお持ちの方もいらっしゃいますよね。

慢性鼻炎や花粉症等による口呼吸は、実は歯並びにも大きく関わってきます。

今回は、口呼吸と歯並びの関係性や口呼吸がもたらす副次的リスク、口呼吸を改善する方法をご紹介します。

【目次】
1、口呼吸になる原因
2、口呼吸が歯並びにもたらす悪影響
3、口呼吸を治す方法
4、歯並びの乱れは歯列矯正で解消

口呼吸になる原因


口呼吸になる原因として、まず思いつくのは、一年中鼻が詰まっている「慢性鼻炎」や、花粉症やハウスダストアレルギーなどによるアレルギー性鼻炎などの「鼻炎」ではないでしょうか?

確かに、鼻炎も口呼吸になる大きな原因の一つです。鼻咽腔の病気によって鼻閉状態となり、鼻で呼吸しづらくなるため、自然と口呼吸に転換されます。

子どもの場合、この鼻閉状態を引き起こす要因として、鼻炎だけでなく、アデノイド(咽頭扁桃)が肥大し、鼻の通りを悪くしていることも考えられます。

口呼吸が習慣化してしまうと、口を閉じる力が弱まる(口唇閉鎖不全)ため、常時口がぽかんと開いている状態となります。結果的に、鼻炎は改善されても「口ポカン」の状態が残り、口呼吸の習慣が残ってしまうこともあります。

また、軟らかいものばかりを食べたり、会話や口遊びが減少したりするなどして、口の周りの筋肉が低下し、口を閉じていることができず、口呼吸になることもあります。

関連記事:矯正認定医が解説!子どもの口呼吸・鼻づまりの原因と治し方

口呼吸が歯並びにもたらす悪影響

実は、口呼吸と歯並びには深い関係があります。

歯は、舌による口の内側からの力と唇顔による外側からの力によってバランスがとられ、舌を囲むように歯が並びます。しかし、口呼吸をしていると口が開きっぱなしになるため、外側からの力が適切に加わらなくなり、受け口や出っ歯など歯並びが悪い状態になってしまいます。

特にこどもの口呼吸は深刻です。こどもの歯は柔らかく動きやすいため、幼少の頃から口呼吸が癖になっている場合は、より顕著に歯並びが悪くなってしまう可能性があります。

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他にもある!口呼吸がもたらす副次的リスク

口呼吸は歯並びに悪影響を及ぼすだけでなく、口臭・虫歯の悪化や、風邪を引きやすくなってしまうというデメリットがあります。

【口呼吸のデメリット①】風邪を引きやすくなる
風邪を引き起こす菌は主に喉で増殖します。風邪をひくと咳が出るのは喉の菌を外に出そうとする防衛反応のひとつですから、理解しやすいと思います。つまり、風邪を引かないためには、いかに喉に細菌がつかないようにするかが大切になってきます。

ここで鼻と口の機構に注目してみましょう。まず、鼻の粘膜には菌やウィルスを除去するための機能が備わっており、フィルターとしての機能を果たしています。一方、口呼吸の場合、そうした生体防御機構がないため、菌やウィルスはそのまま喉へと侵入してしまいます。フィルターの役割がある鼻呼吸と、フィルター機構を持たない口呼吸を比較すると、口呼吸の方が風邪をひきやすいのは明白でしょう。

【口呼吸のデメリット②】虫歯や口臭の悪化
口の中で常に分泌されている唾液には、菌や微生物、汚れを取り除いてくれる自浄作用があります。しかし、口呼吸をしている人は口の中が乾燥するので、唾液の量が少なく雑菌が繁殖しやすい環境が整っています。具体的には、口の中が乾燥すると、歯周病菌、歯の周囲の細菌のかたまりである歯垢、虫歯菌などが増殖します。歯周病菌や歯垢は口臭の原因ですし、虫歯菌も問題です。

先述した通り、口呼吸をすると歯並びも乱れやすい傾向があります。歯磨きなど歯のケアが行き届かず、虫歯のリスクはより高くなります。

【口呼吸のデメリット③】外見への影響
口呼吸による顔の筋肉の緩みと、それによる歯並び悪化は皮膚のたるみや輪郭にも影響します。しわや、二重あごの原因にもなる可能性もあります。

慢性鼻炎が原因で、口呼吸になってしまっている方は、ただの鼻炎だからと見過ごさず、適切な治療を受けることが必要です。ただの鼻炎と侮らず、しっかりと治療を受けるようにしましょう。

口呼吸を治す方法

さまざまな悪影響を及ぼす口呼吸。できるだけ早いうちに治したいものです。ここでは、口呼吸を治す主な方法を3つお教えします。

1.鼻呼吸への転換


鼻呼吸に転換する方法が口呼吸を治す一番の近道です。ただし、この方法は、口呼吸の原因となっている鼻炎やアデノイド肥大などによる鼻閉状態が改善されているという前提条件があります。

耳鼻科を受診し、鼻閉状態が鼻の疾患によるものか、診断してもらうようにしましょう。治療によって鼻閉状態が改善されたら、普段より鼻呼吸を意識的に行うようにします。

2.歯列矯正

鼻呼吸は、舌が上顎についている状態で初めてスムーズに行えるようになります。上顎が小さいせいで、舌を吸着できるスペースが確保できず、口呼吸を余儀なくされているケースもあります。

特にこの状態は、顎が成長途中にある子どもに多い症状であり、その場合は、歯列矯正で上顎を広げる処置をとります。

また、特別なマウスピースを使い、子どもの歯並びを改善させる「予防矯正」という方法があります。

「プレオルソ」「ムーシールド」「マイオブレース」等さまざまな予防矯正器具が販売されています。特徴や用法、効果が多少の違いがあるため、小児歯科や矯正歯科を受診して、相談してみるとよいでしょう。

関連記事:プレオルソ、ムーシールド・・・子供の予防矯正は本当に有効なの?矯正認定医が解説

3.トレーニング

口呼吸が習慣や舌癖による場合は、「あいうべ体操」や舌癖改善トレーニング(MFT)などのトレーニングを行います(※やり方は下記の記事を参照)。通常、このトレーニングは前述の予防矯正と並行して行います。

関連記事:

▼あいうべ体操
矯正認定医が解説!子どもの口呼吸・鼻づまりの原因と治し方

▼舌癖改善トレーニング(MFT)
知っておきたい「正しい舌の位置」セルフチェック法と舌癖改善トレーニング方法を解説

歯並びの乱れは歯列矯正で解消

鼻炎が原因で歯並びが乱れやすいという話をしましたが、歯並びが悪いと歯のケアが行き届かず、虫歯や口臭の原因となる場合もあります。そのため、歯列矯正を行い、より歯並びを美しく保ちやすい口内環境を目指すことも可能です。

歯列矯正をする際は、ワイヤーを使うブラケット矯正と透明なマウスピースを使う矯正方法があります。当院で行っているマウスピース矯正、インビザラインでは以下のような特徴があります。

  1. 透明のマウスピースを使用するため目立たない。
  2. 食べ物の制限がなく、食べるときはマウスピースを外して、好きな時に好きなものを食べられる。
  3. マウスピースを取り外して、歯を磨くことも可能。
  4. 通院回数は2~3ヶ月に1回程度ですむ。

口呼吸で歯並びが気になる人は、ぜひインビザラインでの歯列矯正も検討してみてくださいね。